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サービス・マーケティングとは?モノからコトへ変わる時代に必要な新しいマーケティング戦略

投稿日:2025/06/21更新日:2025/07/16タイマーのアイコン 読了時間 6分

サービス・マーケティングとは、無形性や同時性などサービス特有の性質に対応した戦略です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

サービス・マーケティングとは

サービス・マーケティングとは、サービス業や製品の付随機能としてのサービスに関するマーケティング手法のことです。通常の有形製品とは異なる、サービスならではの特性を踏まえて展開するマーケティング戦略を指します。

従来の製品マーケティングとは違い、形がない(無形性)、生産と消費が同時に発生する(同時性)、品質を標準化することが難しい(異質性)、保存ができない(消滅性)といった、サービス特有の性質を理解することが重要です。

現代のビジネス環境では、多くの企業がモノからコトへの転換を図っており、サービス・マーケティングの重要性がますます高まっています。レストランやヘアサロンなどの典型的なサービス業だけでなく、製造業でも顧客サービスの質が競争力を左右する時代になっているのです。

なぜサービス・マーケティングが重要なのか - 変化する顧客価値とビジネス環境

現代のビジネスにおいて、サービス・マーケティングの理解と実践は必要不可欠です。その理由は、経済の構造変化と顧客の価値観の変化にあります。

①サービス経済への移行が加速している

日本を含む先進国では、GDP に占めるサービス業の割合が年々増加しており、いわゆる「サービス経済」への移行が進んでいます。製造業でも単なる製品の提供だけでなく、メンテナンスやコンサルティングなどのサービスが重要な収益源となっています。

②顧客の期待値が高まっている

情報化社会の進展により、顧客は製品の機能だけでなく、購入から使用、アフターサービスまでの全体験に価値を求めるようになりました。単に良い製品を提供するだけでは差別化が困難になり、サービス品質が競争優位の源泉となっています。

このような環境変化の中で、サービス・マーケティングの知識を持たない企業は、顧客満足度の低下や競争力の失墜につながるリスクを抱えることになります。

サービス・マーケティングの詳しい解説 - 4つの特性と実践のポイント

サービス・マーケティングを理解するには、サービスが持つ4つの特性を深く理解する必要があります。これらの特性は、従来の製品マーケティングとは異なるアプローチを必要とします。

①無形性(intangibility)- 形がないという特性

無形性とは、サービスには物理的な形がないという特性です。例えば、ヘアサロンのカット技術やコンサルティング会社の提案には、手で触れることのできる実体がありません。

この特性により、顧客はサービスの品質を事前に判断することが困難になります。そのため、サービス提供者は顧客の不安を軽減するための工夫が必要です。具体的には、資格証明書の掲示、過去の実績紹介、体験談の提供などにより、サービスの品質を「見える化」する取り組みが重要になります。

②同時性・不可分性(simultaneity・inseparability)- 生産と消費が同時発生

サービスは生産と消費が同時に発生するという特性があります。美容師がヘアカットを行うとき、サービスの提供(生産)と顧客がカットを受ける(消費)は同じ時間と場所で発生します。

この特性により、サービス提供者と顧客の相互作用が品質に大きく影響します。そのため、スタッフの教育と顧客とのコミュニケーション能力向上が欠かせません。また、一度提供されたサービスはやり直しが困難なため、初回からの高品質な提供が求められます。

③異質性(heterogeneity)- 品質の標準化が困難

サービスは人的要素に大きく依存するため、提供者や状況により品質にばらつきが生じやすいという特性があります。同じ美容師でも、その日の体調や気分、顧客との相性により、サービス品質が変動する可能性があります。

この課題に対処するため、企業は研修制度の充実、マニュアルの整備、品質管理システムの導入などを通じて、可能な限り品質の標準化を図る必要があります。しかし、完全な標準化は困難であることを前提に、顧客の期待値管理も重要な要素となります。

④消滅性(perishability)- 保存ができない特性

サービスは在庫として保存することができません。航空会社の座席やホテルの部屋など、その時間に使用されなかったサービスは永続的に失われてしまいます。

この特性により、需要予測と供給管理が極めて重要になります。繁忙期と閑散期の需要変動に対応するため、価格調整、予約システムの最適化、スタッフの柔軟な配置などの工夫が必要です。また、需要の平準化を図るための施策も重要な戦略となります。

サービス・マーケティングを実務で活かす方法 - 成功のための具体的アプローチ

サービス・マーケティングの理論を実務に活かすためには、具体的な場面でどのように応用するかを理解することが重要です。

①インターナル・マーケティングの重要性

サービス業において、顧客との接点となるスタッフの満足度は、直接的に顧客満足度に影響します。レストランの接客係やホテルのフロントスタッフなど、顧客と直接やり取りする従業員の姿勢や技術が、サービス品質を左右するためです。

したがって、従来の顧客向けマーケティングだけでなく、従業員に向けたインターナル・マーケティングが重要になります。スタッフの研修制度充実、モチベーション向上施策、働きやすい環境づくりなどを通じて、従業員満足度を高めることが、結果として顧客満足度向上につながります。

②適切な期待値管理と継続的な改善

サービス・マーケティングでは、顧客の期待値を適切に管理することが重要です。例えば、「カリスマ美容師」を売り出すマーケティング施策は、一見効果的に見えますが、実際には様々な問題を引き起こす可能性があります。

特定の美容師への集中により稼働率の偏りが発生し、他のスタッフの満足度低下や、過度に高まった顧客期待値に応えられない場合の顧客満足度低下などのリスクがあります。このような問題を避けるため、サービス全体の品質向上と適切な期待値管理のバランスを取ることが重要です。

また、サービス品質の継続的な向上のため、顧客フィードバックの収集と分析、定期的な研修の実施、サービスプロセスの見直しなどを組織的に行うことが必要です。これにより、サービス・マーケティングの効果を最大化することができます。

参考ページ

MBA経営辞書「サービス・マーケティング」

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