※この記事は、GLOBIS学び放題で配信中の『リーダーの挑戦』の中から、「能力開発」にまつわる一部の内容をご紹介するものです。
(肩書きは2021年10月7日撮影当時のもの)
リクルートでの偶然の出会いが能力開発の始まり
藤原氏はファーストキャリアであるリクルートへの入社を「間違えて入っちゃった」と表現します。しかし、この選択が藤原氏の未来を大きく変えるのです
「4年生どうしようかというときに、たまたまリクルートから1枚のハガキが来て。“スーツを着て名刺持って営業やってもらいます”みたいな。それで“ビジネスのシミュレーションができる”と思って、バイトで応募したら300人の中から2人採用されて。入ってみたら居心地がよくて、結局そのままリクルートに就職したんです」
計画されたキャリアでもいい。しかし、偶然に飛び込んだ現場から学びを得ることもできるというのは、能力開発において大きな示唆となります。
情報処理ではなく“情報編集力”を鍛える──仮説構築の実践
藤原氏は、現代のビジネスに必要なのは「情報処理力」ではなく、「情報編集力」だと明言します。
「ずっと講演でも言ってるのが“情報処理力ではなく、情報の編集力”。仮説を出して、しかも自分の中からだけではなく人からも仮説をもらい、自分が納得し、かつ関わる他者を納得させられるような仮説を導いていく。それを編集していくんです。自分の知識・経験・技術だけじゃなくて、人の知識や経験、技術も全部手繰り寄せて編集する」
この“編集力”は、新規事業の立ち上げや改革の場面で特に発揮されたといいます。仮説構築力は、一人の知見だけでは成立しない。他者を巻き込むことで精度が高まる——これはあらゆる組織にとって示唆に富む視点です。
営業は「売る」ではなく「創る」──驚きと感動で信頼を得る
リクルートで初めて経験した営業という職種について、「売り込む仕事」ではなく、「価値を創造する仕事」だと説きます。
「営業って売り込むというよりも“付加価値をつける”。クリエイトする方の力がつく。“お客さんのロールプレイ”ができなければ、いい商品は売れないし、開発もできない。同じように編集なら“読者のロールプレイ”ができないと、いい特集は組めない」
さらに、社内での“営業マン同士の評価基準”も非常にユニークでした。
「飲みに行くとね、“お前、あのお客さんをどうやって驚かせたのか”“感動させたのか”って会話になるんです。お客さんを驚かせて喜ばせて、しかも申込書をもらって、できたら先に入金してもらう。驚かせて喜ばせた結果、ちゃんと“数字”に結びつけられるかが勝負だったんです。」
営業とは、相手の想像を超える価値を提示し、信頼を得て初めて成り立つ“創造的プロセス”と言えるのかもしれません
現場主義と“信頼”の積み重ねが能力を磨く
藤原氏が力を込めて語ったのは、「現場主義」の大切さです。
「研修よりも、お客さんに会って、驚かせて、信頼関係を築く。その積み重ねでしか力はつかない」
「組織対組織の関係じゃダメ。“部長と部長”より“担当者と担当者”の間での信頼感がなきゃ、前金での入金なんてお願いできない。だから僕は会社に戻る途中で、公衆電話から担当者に電話して、その日のうちに会いに行ってたんです」
この姿勢が、人としての信頼をベースにした取引を生み出し、その後のキャリアにもつながっていったのです。
「ブランドでなく自分」で勝負する覚悟
最後に藤原氏が語ったのは、“リクルート事件”によるブランドの剥奪が、自分を磨く転機になったという話でした。
「リクルート事件が起きた瞬間に“藤原です。私は何ができます”って言わないと、誰も相手にしてくれなくなった。それまでは“リクルートの藤原です”って言えば済んだ。でもそれが通用しなくなったから、“自分で勝負する”覚悟がついたんです」
藤原さんは今でも「○○高校の校長」などの肩書きより、「藤原和博として信頼されるか」を重視しています。この考え方こそ、“個の力で信頼を得る”ビジネスパーソンの原点と言えるでしょう。

GLOBIS学び放題で配信中の『リーダーの挑戦』の中から、藤原和博氏の「能力開発」にまつわる内容をご紹介しました。
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