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定額法とは?減価償却の基本をマスターして経営の数字を理解しよう

投稿日:2025/06/25更新日:2025/07/22タイマーのアイコン 読了時間 5分

定額法とは、資産の価値を毎年均等に減価償却する会計手法です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

定額法とは

定額法(straight-line method)とは、減価償却費を各期間にわたって均等に計上する会計手法のことです。

企業が設備や機械などの固定資産を購入した際、その資産は時間の経過とともに価値が減少していきます。この価値の減少分を費用として計上することを「減価償却」と呼び、定額法はその計算方法の一つです。

定額法では、資産の取得時から廃棄時まで、毎年同じ金額の減価償却費を計上します。計算式は「減価償却費 = (取得原価 - 残存価格)÷ 耐用年数」となり、非常にシンプルで理解しやすいのが特徴です。

現在の法律では残存価格はほぼゼロとして扱われるため、実際の計算はさらに簡単になっています。

なぜ定額法が重要なのか - 企業経営の基盤となる会計処理の基本

定額法の重要性は、企業の財務管理と経営判断において欠かせない役割を果たしているからです。

①経営の透明性を高める基本ツール

定額法は、企業の資産価値を正確に把握するための基本的な仕組みです。設備投資を行った際に、その投資額を適切な期間にわたって費用配分することで、各年度の業績を正確に把握できるようになります。

これにより、経営者は真の利益を理解し、投資家や取引先に対して透明性の高い財務情報を提供できます。また、銀行からの融資を受ける際にも、適切な会計処理を行っていることは信頼性の証明となります。

②意思決定の質を向上させる情報基盤

定額法による正確な減価償却計算は、設備投資の回収期間や投資効果の測定に必要不可欠です。毎年一定の減価償却費を計上することで、設備投資による利益への影響を予測しやすくなり、将来の投資計画も立てやすくなります。

さらに、製品やサービスの原価計算においても、減価償却費は重要な構成要素となるため、適切な価格設定や収益性分析にも直結します。

定額法の詳しい解説 - 計算方法から特徴まで徹底理解

定額法をより深く理解するために、その具体的な仕組みや他の償却方法との違い、歴史的背景について詳しく見ていきましょう。

①定額法の具体的な計算プロセス

定額法の計算は非常にシンプルです。例えば、1000万円で購入した機械の耐用年数が10年の場合、「1000万円 ÷ 10年 = 100万円」となり、毎年100万円ずつ減価償却費を計上します。

残存価格については、以前は取得原価の10%程度を見積もることが一般的でしたが、現在の法律改正により、ほぼゼロとして扱うことができるようになりました。これにより計算がさらに簡素化され、実務での運用が容易になっています。

耐用年数の設定については、企業が自由に決められる建前になっていますが、実際には法人税法で定められた耐用年数を使用することがほとんどです。これは税務処理との整合性を保つためです。

②定率法との根本的な違い

定額法と対照的なのが定率法です。定率法は、資産の帳簿価額に一定の償却率をかけて減価償却費を算出する方法で、初期の償却額が大きく、年々減少していくという特徴があります。

定額法が「毎年同じ金額」であるのに対し、定率法は「毎年同じ割合」で償却するという違いがあります。新しい設備ほど高い生産性を発揮し、古くなるほど効率が落ちるという実態に、定率法の方が合っているとも考えられます。

しかし、定額法は予算計画が立てやすく、コストの予測が容易という実務上の大きなメリットがあります。

③無形固定資産における定額法の特殊性

無形固定資産(ソフトウェア、特許権、商標権など)の場合、定額法による償却が原則となっています。これらの資産は物理的な劣化がないため、残存価格をゼロとして全額を耐用年数で割って償却します。

デジタル化が進む現代において、無形固定資産の重要性は増しており、定額法による適切な償却処理は企業価値の正確な評価に欠かせません。特にIT企業やソフトウェア開発会社では、無形固定資産の償却が業績に大きな影響を与えるケースも多くあります。

定額法を実務で活かす方法 - 経営に役立つ具体的な活用シーン

定額法の理解は、日常的な経営判断や財務管理において実践的な価値を発揮します。具体的な活用方法を見ていきましょう。

①設備投資計画での活用ポイント

設備投資を検討する際、定額法による減価償却費の計算は投資回収期間の算出に直結します。例えば、年間200万円の利益向上が期待できる1000万円の設備投資を検討する場合、定額法で10年償却すると年間100万円の減価償却費が発生します。

この場合、実際のキャッシュフロー改善効果は200万円ですが、会計上の利益向上効果は100万円(200万円 - 100万円)となります。このような分析により、投資の真の効果を正確に把握できます。

また、複数の投資案を比較する際も、定額法による均等な費用配分により、長期的な収益性を公平に評価できるため、合理的な意思決定が可能になります。

②予算管理と業績評価での実践的な使い方

定額法の最大のメリットは、毎年一定の減価償却費により予算管理が容易になることです。年度予算を作成する際、設備関連の費用が予測しやすく、安定した予算計画を立てることができます。

さらに、部門別の業績評価においても、定額法による減価償却費の配賦により、各部門の設備利用コストを公平に評価できます。これは、部門間の業績比較や資源配分の決定において重要な判断材料となります。

月次の業績管理においても、減価償却費が毎月均等に計上されるため、季節変動や一時的な要因を除いた本業の収益性を正確に把握することが可能になり、迅速で適切な経営判断をサポートします。

参考ページ

MBA経営辞書「定額法」

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