アクセラレータープログラムとは
アクセラレータープログラムとは、スタートアップの成長を短期間で加速させることを目的とした支援プログラムを指します。プログラム中には、メンタリングやネットワーキング、講義を通じてビジネスモデルや事業戦略を磨き、スタートアップ各社は次の成長ステージに進む成功確率を高めていきます。
グロービスでは2019年から「ユニコーン企業を100社輩出するプラットフォーム」を掲げたアクセラレータープログラム、「G-STARTUP」を開始しました。将来日本を代表するベンチャー企業へ成長することが期待されるスタートアップの起業家を採択し、著名な起業家・VCによるメンタリング、資金調達やネットワーキングの支援を実施。プログラム最終日には、プログラムを経て磨き込んだプロダクトや事業計画についてプレゼンするピッチイベント、DemoDayが実施され、優勝者を決定しています。
今回は第3回から第5回までで優勝した3名の起業家、そしてG-STARTUP事務局長の田村菜津紀の4名で鼎談を実施。プログラム期間中を振り返って得たもの、その後の事業成長について語り合いました。
スタートアップがアクセラレータープログラムに参加する理由
田村:みなさん、なぜG-STARTUP(以下G-STA)に応募しようと思われたんですか。
IssueHunt代表取締役 横溝 一将氏(以下敬称略):実は当時、「何かアクションをしないともう潰れるぞ」というところだったんです。トラクションもほぼなかったですし、キャッシュもなかった。幸いメンバーは全員残ってくれていたのですが、逆に言えば「人しかいない」という状況でした。その打ち手としてアクセラレータープログラムには手あたり次第応募しようとしていて、藁にも縋る想いでしたね。
株式会社any style 代表取締役 萩原 湧人氏(以下敬称略):自分たちも4th Batchに参加した時は、少し前にしたシード調達の資金が尽きそうな状況だったので、縋る想いだったのは同じです。G-STAは採択されると資金提供があるので、かなりありがたいスキームでした。
初めて参加したのは3rd Batchの時です。もともと別のべンチャーキャピタルから調達をしていたのですが、そのコミュニティの中で「G-STAには質の高い起業家が集まっている」と聞いており、興味が湧いて申し込むことにしました。
しかし、3rd ではMain TrackではなくIncubate Track(Main Trackに準じて採択される企業)での採択で。Main Trackに選ばれて優勝した津田さん含め先行く起業家たちの背中を見て、本当に悔しく思ったんです。4thに参加したのはそこから火がついたこともあって、もう1度とチャレンジした結果Demo Dayでは優勝させていただきました。
株式会社Resilire(レジリア)代表取締役 津田裕大氏:私は当時、ビジネスのアイディアしかなく、プロダクトは何もないという状況だったんです。そんなとき、もともと知り合いで何度か壁打ち議論をさせていただいていたGCPの中村さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ 中村 達哉)に、「アイディアを形にするタイミングであれば、G-STAに出るのが良いんじゃない?」とご提案いただいたのがきっかけです。
次の資金調達もこれから考えていこうとしていた時に、プログラム期間中に色々な投資家の方々とも会えると聞いていましたし、中村さんのおすすめなら、と応募を決めました。
プログラムに参加したメリット
投資家やメンター、事務局からの親身なフィードバック・サポート
田村:津田さんにはG-STAの期間中も中村さんがメンターとして伴走されていましたね。メンタリングのほか、よかったことを教えてください。
津田:まずプログラムの初回に、メンターを見つけるマッチングデーで10数人の投資家のところをぐるぐる回ったのが印象に残っています。ドッと疲れたというのもその理由ですが (笑) 1日で10数人からフィードバックを貰えるという、貴重で濃密なインプットでした。
さらにそれを受けてブラッシュアップする段階では、中村さんと週に2回程とかなり高頻度にミーティングさせていただきました。VCの方にこんなに時間を使ってもらえるのか、というのも驚きと共にありがたかったです。
田村:メンターはみなさんはG-STAに縁を感じて力を入れてくださる方々ばかりです。一方、横溝さんの場合はIncubate Trackでの採択だったので、個別メンターは付きませんでしたが、グループメンタリングをGCPの仮屋薗さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ 仮屋薗 聡一)が担当されていました。仮屋薗さんからのフィードバックはいかがでしたか?
横溝:本当に貴重な時間でした。メンターの方との距離の近さはやっぱりこのプログラムならではだと思います。スタートはIncubate Track としての採択でしたが、最後のDemo Dayで巻き返して5th batchの最優秀賞につながったピッチは、仮屋薗さんが骨子を作ってくださいました。この時使った資料は一部分ではありますが使っていますし、プレゼン中の振る舞いも何度も見ていただきましたね。
田村:横溝さんは、これまでの参加者の中でも特に非常に明確な目的意識を持たれて参加されていたのが印象的です。目的は達成できましたか?
横溝:当時の目的……というより危機感はトラクションを作る、以上でした。期間中も田村さんに「営業のチャネルを探してるんです」と相談させていただきました。
田村:紹介してほしい先のリストがバンと送られてきて(笑)数はあまりできなかったかもしれませんが、いくつか紹介したり、検討まではしてもらったりとお手伝いしましたね。
横溝:これだけ起業家に寄り添って労力をかけてくださるところが、すごいプログラムだったなと改めて思います。
スタートアップコミュニティでの交流
津田:もともと関西出身で、当時東京に来てからまだ1年くらいだったのですが、G-STAを通じて同じ3rd Batch採択の起業家を中心にいろいろな方と仲良くなり、スタートアップコミュニティに入っていくきっかけになりました。他のところで会った起業家とも、お互いG-STAの経験があるとなれば盛り上がります。
田村:コミュニティの活用と言えば、萩原さんは採択企業同士で協業もされていますよね。
萩原:いくつか取り組んでいるのですが、例えば3rd BatchのMain Track採択企業:PalledAdには、VTuberを使ったイベントのためによくサイネージ広告出稿させてもらっています。起業家は孤独だと思っているので、こうして協業先ができたり、仲間ができたりするのはありがたいです。
直近だとG-STAのインキュベーション施設に入居して、住友不動産虎ノ門タワーという企業として信頼感の出るアドレスをコスパよくいただけているのですが (笑)そこの仲間でもコミュニティを深めていければと思いますね。
横溝:G-STA特有のコミュニティでいえば、ベンチャー経営に関わる学者・政治家・官僚・メディア等の第一線で活躍するリーダーたちが集まるG1ベンチャーにご招待いただいて、名だたる経営者のすごさを体感できたのはいい経験でした。
田村:シード期のスタートアップ起業家だけでなく、日本のあらゆるセクターのリーダー陣が参加するコミュニティに参加してネットワークをつくれるのは、グロービスだからこそかもしれません。視座が上がる機会にもなるので、このコミュニティも活用していただけたらなと思います。
セミナーやMBAメソッドによる経営ナレッジの習得
田村:G-STARTUPではプログラム期間中、国内屈指の起業家やGCPのキャピタリストによるセミナーや対談、さらにグロービス経営大学院のノウハウでMBAのケーススタディを学ぶ機会があります。こうしたインプットもG-STAの特徴かもしれません。
萩原:MBAのケーススタディでいうと、まだまだビジネス初心者だった自分にとっては、Amazonやマネーフォワードなどを題材にしたケーススタディは勉強になりましたね。プラットフォームビジネスならハーベストループはこう回っていくから……といった「仕組み作り」の思考トレーニングができて、これは今にも生きていると思います。今になったら当たり前に考える話なのですが、実はあまり本を読んでも出てくる話ではないですし、当時立ち上げ期からかなり工数をかけたサービスを作りがちだったので、考え方が変わりました。
津田:アイディア検証をしていくタイミングには、セオリーと先人の失敗をしっかりインプットするのも大事ですよね。このインプットがG-STAを通じて非常に効率的に短期間で行えたなと思っています。
萩原:また、今野さん(GCP代表パートナー:今野穣)から、PMFとは何か?実際どんなKPIがどう評価されるのか?シリーズAとは何か?などをより具体的に教えてもらうことができ、シリーズAに向けたマイルストンの解像度を上げられたことは大きかったと思っています。シリーズAがひとつ自分の中で大きな目標になりました。
(次回に続く)
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