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顧客内シェア(ウォレットシェア)とは?顧客の財布の中身を狙い撃ちする効果的な戦略

投稿日:2025/06/21更新日:2025/07/16タイマーのアイコン 読了時間 5分

顧客内シェアとは、顧客の支出のうち自社商品が占める割合を示す指標です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

顧客内シェアとは

顧客内シェア(ウォレットシェア)とは、ある一顧客が特定の商品群に支出した金額のうち、自社商品が占める割合を示すマーケティング指標です。

たとえば、あるオフィスが月に10万円の文房具を購入しており、そのうち自社商品が3万円分であれば、顧客内シェアは30%ということになります。この数値により、競合商品と比べて自社商品がその顧客にどの程度浸透しているかを把握できます。

顧客内シェアは、自社や自社商品への顧客ロイヤルティを測る重要な指標として位置づけられており、既存顧客との関係性の深さを数値化したものと言えるでしょう。

なぜ顧客内シェアが重要なのか - 効率的な売上アップの鍵

顧客内シェアが注目される理由は、限られたマーケティング資源を効果的に活用できるからです。新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍とも言われており、既存顧客の顧客内シェアを高めることは、費用対効果の高い成長戦略として機能します。

①既存顧客との関係性を深めるメリット

すでに自社商品を購入している顧客は、商品の品質やサービスについて一定の信頼を寄せています。こうした顧客の顧客内シェアを高めることで、安定的な売上増加を実現できます。また、既存顧客は新商品の情報を受け入れやすく、追加購入への障壁も低いという特徴があります。

②市場シェア拡大との違いと戦略的意義

市場全体のシェアを広げる方法には、カバレッジを増やす方法と顧客内シェアを高める方法があります。製品の特性や市場環境によっては、後者の方がマーケティングの費用対効果が高くなる場合が多く、特に成熟した市場では顧客内シェアの向上が重要な成長戦略となります。

顧客内シェアの詳しい解説 - 業界別の特徴と活用方法

顧客内シェアの概念は、業界や商品の特性によって異なる意味を持ちます。効果的な活用のためには、自社のビジネスモデルに適した理解が必要です。

①消費財とBtoB商品での違い

消費財において顧客内シェアの概念にフィットしやすいのは、ファッション、化粧品、エンターテインメントなどの製品・サービスです。これらの商品は、顧客が複数のブランドを使い分ける傾向があり、顧客内シェアの向上余地が大きいという特徴があります。

一方、BtoBビジネスのほとんどが顧客内シェアの概念とフィットするという特徴があります。ITサービス、オフィス備品、研修受託、金融サービスなどは、企業顧客が複数の供給業者を使い分けることが一般的であり、顧客内シェアの向上が売上拡大の鍵となります。

②競合の範囲を広く捉える重要性

顧客内シェアを考える際には、同じ業種に限定せず、同じニーズを満たすものすべてを競合と捉えることが重要です。たとえば、中食の販売店であれば、同じ中食だけでなく、ファストフードやコンビニエンスストアなど、異業種も含めてシェアを考える必要があります。

これは「同じニーズを満たすものは競合」というマーケティングの原点に立ち返る考え方で、真の競争環境を正確に把握することにつながります。

③顧客ロイヤルティとの関係性

顧客内シェアは、単なる売上指標ではなく、顧客ロイヤルティの度合いを示すバロメーターとしても機能します。顧客内シェアが高い顧客ほど、自社商品への愛着や信頼が深く、長期的な取引関係を築きやすいという特徴があります。

また、顧客内シェアの高い顧客は、口コミによる新規顧客獲得の起点となることも多く、間接的なマーケティング効果も期待できます。

顧客内シェアを実務で活かす方法 - 具体的な戦略とアプローチ

顧客内シェアを効果的に活用するためには、既存顧客の購買行動を詳細に分析し、戦略的なアプローチを展開することが重要です。

①大口顧客の顧客内シェア向上戦略

BtoBビジネスにおいては、顧客内シェアが低い大口顧客への集中的なアプローチが効果的です。まず、その顧客が同カテゴリの商品やサービスにどの程度の予算を投じているかを調査し、自社商品の占める割合を算出します。

次に、競合他社が提供している商品やサービスを分析し、自社商品の優位性を活かせる領域を特定します。そして、段階的な提案により顧客内シェアを拡大していく戦略を立案します。

②既存顧客の維持と深耕のバランス

顧客内シェアの向上には、新規獲得顧客の育成と既存優良顧客の維持という二つの側面があります。すでに高い顧客内シェアを実現している大口顧客については、そのシェアを維持しつつ、さらなる深耕の機会を探ることが重要です。

一方、顧客内シェアの低い顧客に対しては、段階的なアプローチにより信頼関係を構築し、徐々にシェアを拡大していく戦略が効果的です。顧客の購買パターンや決裁プロセスを理解し、適切なタイミングで提案を行うことが成功の鍵となります。

③データ活用による効果測定

顧客内シェアの向上には、継続的な測定と改善が不可欠です。顧客別の購買履歴データを分析し、顧客内シェアの変化をモニタリングすることで、施策の効果を定量的に把握できます。

また、顧客内シェアの変化要因を分析することで、成功要因を他の顧客にも横展開できるようになります。このようなデータドリブンなアプローチにより、顧客内シェアの向上を継続的に実現することが可能になります。

参考ページ

MBA経営辞書「顧客内シェア」

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