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シーズ発想とは?自社の強みを活かした商品開発のアプローチと実践のコツ

投稿日:2025/07/20更新日:2025/08/15タイマーのアイコン 読了時間 6分

シーズ発想とは、自社の技術や資源を起点に新たな商品や事業を構想する発想法です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

シーズ発想とは - 自社の宝を活かす商品開発の出発点

シーズ発想(Seeds-oriented thinking)とは、自社が持つ技術や経営資源、強みをベースにして「こうした商品や事業ができないか」と考える発想方法です。

「シーズ(Seeds)」は種という意味で、自社に眠っている技術やノウハウ、設備といった「種」から新しいビジネスを芽吹かせるアプローチを指します。特にメーカーでよく使われる手法で、研究開発部門が開発した新技術や、製造現場で培った技術力を商品化につなげる際の基本的な考え方となります。

この発想法では、まず「うちの会社は何が得意なのか」「どんな技術を持っているのか」を洗い出し、それらを活用して市場にまだない価値を提供できないかを検討します。

なぜシーズ発想が重要なのか - 企業の持続的成長を支える原動力

シーズ発想が多くの企業で重要視される理由は、自社の強みを最大限に活かせる点にあります。外部の技術やトレンドに振り回されることなく、自社ならではの競争優位性を築けるのです。

①独自性のある商品を生み出しやすい

自社の技術や強みをベースにした商品開発では、他社が簡単に真似できない独自性を持った製品が生まれやすくなります。長年培った技術力や独自のノウハウは、一朝一夕には模倣できない貴重な財産だからです。

②既存の経営資源を有効活用できる

新規事業を始める際、まったく新しい技術や設備を一から揃えるのは大きなコストがかかります。しかし、シーズ発想なら既存の技術や設備を活用できるため、効率的に新商品開発を進められます。

シーズ発想の詳しい解説 - 成功のポイントと落とし穴を知る

シーズ発想を効果的に活用するためには、そのメカニズムと特徴を深く理解する必要があります。単純に「技術があるから商品化しよう」というだけでは、市場で受け入れられる商品は生まれません。

①シーズ発想と対をなすニーズ発想との違い

シーズ発想とよく比較されるのが「ニーズ発想」です。ニーズ発想は市場の要求や顧客の困りごとを出発点として商品開発を行うアプローチです。

シーズ発想が「自社の技術で何ができるか」から始まるのに対し、ニーズ発想は「お客様は何を求めているか」から始まります。どちらも商品開発には欠かせない視点ですが、シーズ発想の方が技術革新やイノベーションを生み出しやすい特徴があります。

一方で、ニーズ発想は市場のニーズに直結するため、売れる可能性が高い商品を開発しやすいという利点があります。理想的には、両方の発想を組み合わせて商品開発を行うのがベストです。

②隠れた価値を見つける視点の重要性

シーズ発想で成功するためには、既存の技術や資源の「隠れた価値」を見つける視点が重要です。元記事で紹介されている電車の例は、この考え方の好例といえます。

電車は本来「人を運ぶ輸送手段」ですが、別の視点から見ると「多くの人が集まる場所」でもあります。この気づきから、電車内の中吊り広告やドアステッカー広告というビジネスモデルが生まれました。

このように、一つの技術や資源を多角的に見つめ直すことで、まったく新しい用途や価値を発見できるのです。

③シーズ発想の陥りやすい落とし穴

しかし、シーズ発想にも注意すべき点があります。最も大きな問題は「技術優先の発想に陥りがち」という点です。

特にメーカーでは「こんなに高性能で優れた技術を開発したのに、なぜ売れないのか」という状況が生まれることがあります。これは技術の素晴らしさに注目するあまり、顧客にとっての価値や使いやすさを見落としてしまうからです。

また、自社の経営資源にこだわりすぎて、必要に応じて他社と協力したり外部の資源を活用したりする柔軟性に欠けるケースも見られます。

シーズ発想を実務で活かす方法 - 成功につなげる具体的なステップ

シーズ発想を実際のビジネスで活用するためには、体系的なアプローチが必要です。闇雲に技術を商品化しようとするのではなく、戦略的に進めることが重要です。

①自社の強みとシーズの棚卸しを徹底する

まずは自社が持つ技術や経営資源を徹底的に洗い出しましょう。研究開発部門の技術だけでなく、製造技術、品質管理のノウハウ、営業ネットワーク、ブランド力なども含めて幅広く検討します。

この際、「当たり前すぎて価値がない」と思っているものほど、実は貴重なシーズかもしれません。長年の経験で身についた技術やノウハウは、他社にとっては簡単には真似できない競争優位の源泉だからです。

また、過去に開発したものの商品化されなかった技術や、別の用途で使っている技術にも注目してみてください。時代の変化とともに、新しい活用方法が見えてくることもあります。

②市場ニーズとのマッチングを意識する

シーズ発想の弱点を補うためには、技術シーズと市場ニーズのマッチングを常に意識することが大切です。自社の技術で何ができるかを考えると同時に、それが顧客にとってどのような価値をもたらすかを検討しましょう。

顧客インタビューや市場調査を行い、自社の技術が解決できる課題や満たせるニーズがあるかを確認します。また、既存の競合製品と比較して、自社の技術がどのような優位性を持てるかも分析が必要です。

③小さく始めて段階的に展開する

シーズ発想による商品開発では、最初から大規模な投資を行うのではなく、小さく始めて段階的に展開することをおすすめします。まずはプロトタイプを作成し、限定的な市場でテストしてみる。そこで得られた反応やフィードバックをもとに改良を重ね、徐々に本格展開していくのです。

このアプローチなら、万が一市場の反応が良くなかった場合でもリスクを最小限に抑えられます。また、実際の使用場面での気づきをもとに、当初想定していなかった新しい用途や価値を発見できる可能性もあります。

成功事例を積み重ねることで、社内でのシーズ発想による商品開発への理解と支援も得やすくなるでしょう。

参考ページ

MBA経営辞書「シーズ発想」

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