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パワー学派とは?組織の権力争いが戦略を決める驚きの理論

投稿日:2025/07/20更新日:2025/08/15タイマーのアイコン 読了時間 5分

パワー学派とは、戦略が組織内外の権力関係や政治的交渉によって形成されるという現実的な理論です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

パワー学派とは - 権力が戦略を動かす現実的な理論

パワー学派とは、経営学者ヘンリー・ミンツバーグが分類した戦略論の10の学派の中の1つです。

この学派の最も特徴的な考え方は、戦略の形成が組織内外の権力関係や政治的な動きによって決まるというものです。つまり、理論的な分析や計画よりも、実際に組織で起きている権力争いや政治的なやり取りこそが、戦略を決める重要な要素だと考えています。

パワー学派は記述的な学派に分類され、「戦略はこうあるべきだ」という規範的な提案よりも、「実際の戦略形成はこのように行われている」という現実を描写することに重点を置いています。

なぜパワー学派が重要なのか - 組織の現実を理解する鍵

多くの企業や組織では、表向きは論理的で合理的な戦略策定プロセスがあるように見えます。しかし、実際の現場では様々な利害関係者が自分たちの立場や利益を守ろうとする動きが常に存在しています。

①現実の組織運営を理解できる

パワー学派の視点を持つことで、なぜ理論的に正しい戦略が採用されないのかなぜ一見不合理な意思決定が行われるのかといった疑問に答えることができます。実際の組織では、部門間の利害対立や個人の思惑が戦略決定に大きな影響を与えているのです。

②政治的スキルの重要性を認識できる

この理論を理解することで、ビジネスパーソンにとって論理的思考力だけでなく、交渉力や人間関係構築能力といった政治的なスキルがいかに重要かを認識できます。優れた戦略を持っていても、組織内で支持を得られなければ実現できないからです。

パワー学派の詳しい解説 - 権力争いが生む戦略形成の実態

パワー学派が注目する権力争いは、単純な上下関係だけではありません。組織内外で繰り広げられる複雑な政治的プロセス全体を対象としています。

①組織内での権力争いとその影響

組織内では日常的に様々な政治的動きが起きています。部門間の予算獲得競争昇進をめぐる人事の駆け引き新しいプロジェクトの主導権争いなどがその例です。

これらの権力争いでは、交渉、説得、対立、懐柔、時には強制といった様々な手法が用いられます。そして、これらの政治的プロセスの結果が、最終的な戦略の方向性を決めることになります。

例えば、マーケティング部門と営業部門が予算配分をめぐって対立した場合、最終的にどちらが勝利するかによって、企業の戦略の重点が「ブランド構築」になるか「直接的な売上拡大」になるかが決まってしまうのです。

②外部パートナーとの複雑な関係

パワー学派は組織内だけでなく、外部の利害関係者との関係も重視します。取引先との交渉力のバランス業界団体での影響力政府や規制当局との関係なども戦略形成に大きな影響を与えます。

特に現代のビジネス環境では、企業は単独で戦略を決めることが難しくなっており、パートナー企業や取引先との力関係が戦略の選択肢を大きく左右します。例えば、大手小売チェーンと取引する製造業者は、小売チェーンの要求に応じて戦略を変更せざるを得ない場合があります。

③政治的プロセスの二面性

パワー学派が指摘する政治的プロセスには、ポジティブな側面とネガティブな側面の両方があります。

ポジティブな側面としては、多様な意見の調整機能があります。異なる立場の人々が議論や交渉を通じて合意形成を行うことで、より現実的で実行可能な戦略が生まれる可能性があります。

一方で、ネガティブな側面として、個人や部門の利益が優先され、組織全体にとって最適でない戦略が選択される危険性があります。また、権力争いに時間とエネルギーが消費され、本来の事業活動がおろそかになるリスクもあります。

パワー学派を実務で活かす方法 - 政治的現実を戦略的に活用する

パワー学派の理論を理解することで、より効果的な戦略実行が可能になります。重要なのは、組織の政治的現実を認識し、それを戦略的に活用することです。

①ステークホルダー分析と関係構築

実務においてパワー学派の考え方を活用する第一歩は、詳細なステークホルダー分析を行うことです。自分の提案や戦略に影響を与える可能性がある人物や部門を洗い出し、それぞれの利害関係や影響力を把握します。

その上で、重要なステークホルダーとの関係構築を戦略的に進めます。これには日常的なコミュニケーション、相手の立場を理解した提案の仕方、時には相手にとってもメリットのあるウィン・ウィンの関係作りが含まれます。

例えば、新しいシステム導入を提案する際は、IT部門だけでなく、実際にシステムを使う現場部門、予算を管理する財務部門、そして最終的な意思決定を行う経営陣それぞれの立場や懸念を理解し、それぞれに適した説明や交渉を行うことが重要です。

②コアリション(連携)の形成

パワー学派の考え方では、単独で権力を持つことよりも、同じ目標を持つ人々との連携が重要視されます。自分の提案を支持してくれる人々を見つけ、彼らと協力関係を築くことで、より大きな影響力を発揮できます。

この際、表面的な合意だけでなく、真の利害の一致を見つけることが大切です。一時的な協力関係ではなく、継続的なパートナーシップを築くことで、長期的な戦略実行が可能になります。

③政治的リスクの管理

パワー学派の視点を持つことで、戦略実行における政治的リスクを事前に予測し、対策を講じることができます。反対勢力の存在を想定し、彼らの懸念に対する対応策を準備しておくことで、戦略実行の成功確率を高められます。

また、組織の政治的な変化(人事異動、組織再編など)が戦略に与える影響を常に監視し、必要に応じて戦略の調整を行うことも重要です。

参考ページ

MBA経営辞書「パワー学派」

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