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ブランド・エクイティとは?企業の隠れた財産を見える化する戦略的思考法

投稿日:2025/07/12更新日:2025/08/08タイマーのアイコン 読了時間 7分

ブランド・エクイティとは、ブランドが持つ経済的な資産価値のことです。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

ブランド・エクイティとは

ブランド・エクイティ(Brand Equity)とは、ブランドが持つ資産的価値のことです。

簡単に言えば、「コカ・コーラ」や「Apple」といった有名ブランドが持つ、お金に換算できる価値のことを指します。かつては「ブランドなんて目に見えないもの」として軽視されがちでしたが、今では企業の競争力を決める重要な要素として注目されています。

たとえば、同じスマートフォンでも「iPhone」のロゴがあるだけで、他の製品より高い値段で売れる現象を考えてみてください。これこそが、ブランド・エクイティの力なのです。消費者がそのブランドに感じる信頼や愛着、品質への期待が、実際の売上や利益として現れているのです。

なぜブランド・エクイティが重要なのか - 現代ビジネスに不可欠な競争の源泉

現代のビジネス環境において、ブランド・エクイティが重要視される理由は明確です。商品やサービスの差別化が難しくなった今、ブランドの力こそが企業の生き残りを左右する決定的な要因になっているからです。

①企業の真の価値を正確に把握できる

従来の財務諸表では見えなかった企業の価値を可視化できます。特に現代では、工場や設備といった有形資産よりも、ブランドや技術、人材といった無形資産の方が企業価値に占める割合が高くなっています。ブランド・エクイティを測定することで、企業の本当の実力を数値化できるのです。

②戦略的な意思決定に活かせる

ブランド・エクイティの概念を使うことで、M&Aの際の買収価格の妥当性を判断したり、ライセンス契約の料金設定をしたり、マーケティング予算の配分を決めたりする際の根拠となります。感覚に頼らない、データに基づいた経営判断が可能になるのです。

ブランド・エクイティの詳しい解説 - 3つの評価アプローチと4つの構成要素

ブランド・エクイティを理解するには、その評価方法と構成要素を知ることが重要です。実際にブランドの価値をお金に換算する方法は複数あり、それぞれに特徴があります。

①金額評価の3つのアプローチ

コスト・アプローチは、そのブランドを作るためにこれまでかかった費用の総額を計算する方法です。広告宣伝費や商品開発費など、実際に投資した金額を積み上げて算出します。計算が比較的簡単である一方、過去の投資額が必ずしも現在の価値を反映しているとは限らないという課題があります。

キャッシュフロー・アプローチは、そのブランドが将来生み出すと予想される利益を現在の価値に換算する方法です。たとえば、「このブランドがあることで、今後10年間で毎年100億円の追加利益が見込める」という場合、その価値を現在価値に割り戻して算出します。将来性を考慮できる反面、予測の精度に依存するという特徴があります。

マーケット・アプローチは、実際に市場で取引された類似ブランドの価格を参考にして評価する方法です。不動産の査定と同じような考え方で、「似たようなブランドがいくらで売買されたか」を基準にします。市場の実態を反映しやすい一方、比較対象となる取引事例が少ないことが課題となります。

②理解しやすい4つの構成要素

ブランド・エクイティは、4つの要素に分けて考えるとより理解しやすくなります。

まず「ブランド認知」は、消費者がそのブランドをどの程度知っているかを表します。単に名前を知っているだけでなく、どんな商品・サービスを提供しているかまで理解されているかが重要です。

「知覚品質」は、消費者がそのブランドの品質をどう評価しているかを示します。実際の品質以上に、消費者が感じる品質の高さが価値を決めるのです。

「ブランド連想」は、そのブランドを聞いたときに消費者が思い浮かべるイメージのことです。「高級感」「信頼性」「革新性」など、ポジティブな連想が多いほど価値が高まります。

最後に「ブランド・ロイヤルティ」は、消費者がそのブランドを継続的に選び続ける度合いを表します。一度購入した顧客が再び同じブランドを選ぶ確率が高いほど、安定した収益を見込めます。

③測定における注意点

どの評価方法を使う場合でも、数字の選び方や前提条件の設定、データの調整などが必要になります。同じブランドでも、評価する人や手法によって結果が大きく異なることがあるため、複数のアプローチを組み合わせて総合的に判断することが重要です。

ブランド・エクイティを実務で活かす方法 - 具体的な活用シーンと成功のポイント

ブランド・エクイティの概念は、様々なビジネスシーンで実践的に活用されています。理論だけでなく、実際の経営判断において重要な指標として機能しているのです。

①M&Aや企業売買における価値算定

企業の買収や合併を行う際、ブランド・エクイティの評価は欠かせません。たとえば、製造設備や在庫などの有形資産だけでは説明できない企業価値の差が、ブランドの力によるものかもしれません。買収価格が適正かどうかを判断する際、ブランド・エクイティの算定結果が重要な根拠となります。

実際に、有名ブランドを持つ企業の買収では、帳簿価格の数倍の値段がつくことも珍しくありません。これは、そのブランドが将来にわたって生み出す価値を見込んでの投資なのです。

②戦略的なマーケティング投資の意思決定

限られた予算をどのブランドに重点的に投資するかを決める際にも、ブランド・エクイティの評価が役立ちます。複数のブランドを持つ企業では、「どのブランドを育てることが最も効率的か」「投資に見合うリターンが期待できるか」を客観的に判断できます。

また、新商品の開発や既存商品のリニューアルを行う際も、ブランド価値への影響を事前に予測することで、より戦略的な判断が可能になります。ブランドイメージを損なうリスクと、新しい価値を創造する機会のバランスを慎重に検討できるのです。

③ライセンス契約や提携交渉での価格設定

自社のブランドを他社にライセンスする際や、逆に他社のブランドを使用する契約を結ぶ際にも、ブランド・エクイティの評価が基準となります。感覚的な交渉ではなく、数値的な根拠に基づいた適正な価格設定ができるため、双方が納得できる契約を結びやすくなります。

特に国際的なライセンス契約では、文化や市場環境の違いを考慮したブランド価値の評価が重要になります。同じブランドでも、国や地域によって認知度や価値が大きく異なることがあるからです。

④成功のために押さえておくべきポイント

ブランド・エクイティを効果的に活用するためには、継続的な測定と改善が欠かせません。一度評価したら終わりではなく、定期的にブランド価値を見直し、市場の変化に応じて戦略を調整することが重要です。

また、社内でブランド・エクイティの重要性を共有し、全社的にブランド価値の向上に取り組む体制を整えることも成功の鍵となります。マーケティング部門だけでなく、営業、開発、カスタマーサービスなど、あらゆる部門がブランド価値に影響を与えることを認識する必要があります。

参考ページ

MBA経営辞書「ブランド・エクイティ」

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    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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