マーケティングに携わる者にとって、この動画は見過ごせない。必見である。コア・コンセプト研究所代表の大西宏さんのブログ「マーケティングエッセンス」に紹介されていた「TheFuntheory.com」からの実験映像である。
Funtheory.comは、「fun(おもしろい事、楽しみ)が人々の行動を変える」という趣旨のもと、世界中からアイデアを募っている。どうもフォルクスワーゲンがサイトをサポートしているようだが、はっきりとしたことは分からない。
「理性は常に感情の奴隷でしかない」と言った哲学者がいる。マーケティングに携わる者にとって大事にしたい言葉である。売れる仕組みは、経済合理を優先するような理性だけでは作れない。
それを証明してくれるような「あまりに人間的なマーケティング実験」がTheFuntheory.comに掲載されているので紹介する。
一つ目は……。
エスカレーターより、ピアノ模様の階段!
地下鉄の階段をピアノ模様にしたら、実に66%の人たちがエスカレーターではなく、ピアノの階段を使ったという。
二つ目は……。
世界一深いゴミ箱。
街にあるゴミ箱に「世界一深いゴミ箱」と表記し、ゴミ箱入れたらひゅゅゅゅぅぅぅすとんと、地中深く落ちていく音がする細工をする。すると、多くの市民達は、そのゴミ箱を積極的に使い出す。
三つ目は……。
ペットボトルの銀行
街の中の空き缶入れに、電光掲示のカウンターを付けたゲームにする。ただそれだけで、その空き缶入れは、人気を博す。
人間は、本来が怠け者である。
だから、脳みそは、ラクをする方を選択する傾向にある。よって、合理的な方が、より素晴らしいと考える。そして、その合理的選択が、社会の画一化を進めている。賢いコンサルタントやマーケッターには、このお手伝いをしている人達が多い。
しかし、上記の実験のように、ときにクリエイティブや遊び心が理性を上回る。
非合理的選択の推進こそが、ほんとの「売れる仕組み」には必要なのだ。本来怠け者である人間の感情を揺さぶってこそのマーケティング。私は、こんな階段やゴミ箱のある、マーケティングエッセンスに溢れた街に住みたいと思う。