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G-STARTUP最優秀賞バズリーチ――「何段階も視座が上がった」プログラム

投稿日:2020/02/13

グロービスのアクセラレータープログラム「G-STARTUP」第1期デモデイで優勝したバズリーチ代表取締役 猪川崇輝さんと、メンターを務めたUB Ventures代表取締役 岩澤脩さんに、3カ月間にわたるG-STARTUPを振り返っていただきました。G-STARTUPのプログラムを通して猪川さんは「視座が上がった」と話されます。(全2回、後編)

「ユニコーンに手が届く」と感じる著名起業家による講義

岩澤:G-STARTUPの定例プログラム(起業家による講義)は受けてみてどうでしたか。

猪川:あれはお金払ってもいいんじゃないか、と(笑)。さすがグロービスさんだと思いました。

誰でも知っているような著名な起業家の方々が講義をしてくださるのですが、そういう方たちには「すごい」のは大前提であるじゃないですか。でも、最初から「すごい」わけではない。今僕たちが経験しているようなプロセスをみなさんが通ってきているというのを、生々しい話を通して聞けたので、自信になったといいますか。シンプルに「愚直に進んでいけばユニコーンになれるかもしれない」と思いました。

岩澤:特にこの人のこの言葉が印象に残ったというものはありますか?

猪川:GREEの田中さんの自信に満ちた発言は、同じ経営者としてかっこいいと思いました。それに、何をやって何をやらないか、そのスタンスがクリア。例えば、アメリカから撤退すると判断したらスッと実行される。

可能性があると、僕らもあれもこれもやりたくなるんです。でもただでさえリソースが足りないなかで、あれこれ手を出すと本流が磨かれないことにもなりかねない。だから、選ぶものは選んで、引くものは引くという引き際の決断は大事だな、と。あの話を聞いてすごく勉強になりました。

岩澤:今回のメンタリングも、ペインポイントとソリューションのひも付きを確認して、「何を捨てるか」の決断の指針を確認し続けた面もあったかもしれないですね。

猪川:それはあると思います。あのピッチ1回で完成ではないですし。事業が進んでいくにあたって、何度もペインとソリューションを紐づき直していくと思うんですけど、それを伝える場として、アクセラという場があるのを、今回初めて「いいな」と思いました。

あまり表に出ないVCとスタートアップの関係

猪川:もう1つ印象深かったのが、GCP(グロービス・キャピタル・パートナーズ)の今野さんと、スマートニュース鈴木さんの対談です。

スマートニュースへの投資の際に、ギリギリのやり取りがあったようなんです。それを思い出した今野さんが「あれからここまで来て」と言葉に詰まられて。それを見て、VCのイメージが少し変わったといいますか。そういうところがやってるアクセラなんで、なおさら面白かったなと思います。

岩澤:VCとスタートアップの関係性は、あんまり表に出ないですからね。

猪川:出ないですね。自分たちもVCに入ってもらってますが、一旦のゴールまで行ってるところのストーリーを聞けるのはシンプルに面白かったです。

アクセラに応募しようという人は、これから調達っていうタイミングのスタートアップが多いと思うんです。で、僕らもそうだったんですけど、VCって「怖いな」っていうイメージがあるじゃないですか。入ったあとは定期的に事業報告とかして、事業成長性のところをガチガチ言われるみたいな。

今野さんの話を聞いたら、VCの見方が変わってくると思うんですよ。「資金調達をしたい」と思ってる人たちが、相談もできますし、モヤモヤしてるところが解決したりしますし。そういう意味でもすごくいい場所だったと僕は思います。

岩澤:アメリカのトップVCだと、投資した直後のアーリーステージの起業家を、自分たちが投資しているユニコーンの起業家に一気に会わせるんです。その環境に投げ込まれると必然的に視座が高まる。G-STARTUPには、そういう要素があると思うんですよね。

猪川:視座は本当に上がりましたね。そもそもユニコーンの可能性があるスタートアップとして採択してもらっている時点で視座は上がります。そのうえ著名な起業家たちとセッションもできる。結構、何段階でも上がる印象です。

小さいことなんですけど、著名な起業家の方々と名刺交換できるだけでも、距離感が縮まったように感じるというか。「ああ、自分たちも場合によっては目指せるところにいるんだ」とも受け取れるので。

課題を持って挑めば、解決する環境がある

岩澤:僕自身はG-STARTUPが初めてのメンター経験でしたが、このプログラムを通じて、多くの学びがありました。

キャピタリストとしては、どうしてもビジネスモデルや立ち上がりの実績など今現時点のベースでバリュエーション(企業価値)を考えてしまうのですが、必ずしも起業家の方が、自分が描いている全てを表現できているわけではないんだなというのが分かりました。

起業家の方たちが何にペインを感じて、何に情熱を持っているのかを、いかに最初の段階で引き出して、言語化させてあげられるか。その能力は、猪川さんとのコミュニケーションを通して、僕自身が学び、成長した点だと思います。

猪川:自分や普段のメンバーだけでは分からないところがありますよね。僕らはピッチの5分で伝えるっていうことでしたけど、客観的にメンターであり現役VCである岩澤さんから気づきを得るところで、かなり満足度が高かったですね。

しかも、シードからシリーズAの資金調達をするタイミングのスタートアップも多いと思うので、このメンタリングの期間をうまく使ってもいいかなと思いますし。

岩澤:事業の振り返りの場としてね。

猪川:そうそう。振り返りとして。スタートアップあるあるだと思うのですが、多分、メンバーともケンカしたりする時期だと思うんですよ(笑)。ある程度プロダクトができて「いくぞ!」っていうときに、1回壁にぶちあたって、「俺はこう思う」「こう思う」みたいにそれぞれが主張して。自分たちが描く未来に向けて集中している時期が故に、考え方が内々になりやすいので、そこを見直す意味でも、客観的な意見を聞けるのはすごくいいですよね。

岩澤:客観的な意見を聞いて、よりミッションとかプロダクトのバリューとかを考え直すというか、より鮮明にしていく、そのための手段としてのG-STARTUPというのもありかもしれないですね。

猪川:そうですね。

岩澤:ときには、夜中の3時4時までディスカッションしましたよね。

猪川:他の方にお勧めしていいかわかりませんが、結果的に岩澤さんと僕は3時4時まで飲んで打ち解けましたね(笑)

岩澤:作業しながら(笑)。優勝という意味では、諦めずに細部にこだわり続けたところが勝因かもしれません。共同創業者の青柳さんやPR責任者の安保さんが、社長に対して「ここまで言うか」って思いましたけど、一言一句やり込んで。

猪川:あれは大きかったですね。

岩澤:では、最後に2期のメンバーに向けてメッセージをお願いします。

猪川:参加するにあたって、自分の中での仮ゴールを決めて挑まれたら、間違いなく解決できるような環境とメンバーだと思うので、そこを決めていくといいと思います。

岩澤:そのニーズを最初にぶつけてもらって、我々メンターの方も「こういう強みがあるよ」「こういう価値提供ができるよ」というのを伝えて、マッチングしていけるといいなと思います。

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