本記事は、第9回CLO会議パネルディスカッション「HRテクノロジー活用による人材・組織開発」の内容を書き起こしたものです。
上野勇氏(以下、敬称略):みなさん、こんにちは。私はセプテーニ・ホールディングスの上野と申します。会社としては、2000年から現在の主力事業となっているインターネット事業に携わり始めて、今はセプテーニグループ全体で1500人程度の従業員が在籍しています。本日は弊社の「デジタルを活用した人事」の取り組みをご案内したいと思います。
人事施策はすべて「方程式」として概念化する
まず、弊社の人事ですが、「すべての人事施策は、すべて方程式の中で解釈を行なっている」というのが基本的な考え方でございます。
この概念について、イコール(=)の右と左で分けてご説明しますが、まずは右側、これは「適材適所」という表現をしております。「P」というのはパーソナリティー(個性)ですね。そこに良い環境「E」を提供すると、イコールの左側にあるように成長「G」が加速される。これにより人事は、いかに社員の成長「G」を加速させるか、最大化するかというところが一番重要なミッションになってきます。
それぞれの方程式の合理性についてですが、「P×E(相性)」については、株式会社ヒューマンロジック研究所の協力を得て、FFS理論で明らかとなっている関係性のアルゴリズムと、過去傾向より抽出した独自のアルゴリズムを掛け合わせることで計算方法を導き出しました。
「G(評判)」は、人事の方はもう慣れ親しんでいらっしゃるかと思いますが、360度評価で算出しています。ただ弊社で行っているのは、一般的な360度評価をより簡易にした手法により運営しています。
弊社では「G」の採取に20年。右側の方程式、つまりデータの整理から方法論の確立に至っては、10年かけて取り組みを続けています。本日は人材育成というところですので、これを通じて弊社がどういう取り組みを行なっているか、というのをお伝えしたいと思います。
シミュレーションを通じて個人に最適なキャリアプランを提供
まず、新卒採用活動において内定伝達時に「キャリアシミュレーション」と呼ばれるものを通じて、当社が定義した個別の育成計画を提供します。続いて配属決定時には、さきほどご案内した適材適所を実現する技術を活用し、配属チームおよび担当する仕事との相性を定義します。ニューカマーにおいては、なるべく希望する仕事を提供すべきという考え方もありますが、これまでの実績で、相性が良いところだと、比較的良い評価を得やすいということがわかってきました。
このような取り組みを2015年以降本格的に運用した結果、早期戦力化していく新入社員の割合が増えているという成果が確認できています。
職場適応期間を経た後は、個々のトレーニングが開始されていきますが、キャリアを重ねていく中で、調子が良いときも悪いときもあります。それを予測した上で、ダウントレンドの時に補完するトレーニングを提供する準備を進めています。仕事における調子の良し悪しは人によって違うため、提供の仕方は個々で異なりますし、提供するプログラムも個々によって異なってきます。トライアルを繰り返す中で、かなり良い結果が出ていますので、これをプログラムとして確立していきたいというのが、ここ1、2年の人材育成の目標です。非常に駆け足になりましたが、ご清聴ありがとうございました。