経営視点からの「逆算力」で営業はもっと進化できる

福島さん2

ビジネスシーンの最前線を担う職種――「営業」。売上がそのまま存在価値に直結するシビアな世界、というイメージが強い営業職ですが、今どのような変化を迫られているのでしょうか。Tableau Japan 株式会社のEnterprise営業部門長を務め、グロービス学び放題のコース「冷静と情熱の営業」にも出演する福島隆文氏に、「経営視点」を持った営業職へと進化するための4つのヒントを聞きました。

これからの営業に必要なのは「つなぐ人」であること

これからの時代に求められる「イノベーション人材」。もはやバズワードのようにも聞こえますが、ビジネスの現場ではそれほど具体化されていないまま、言葉だけが独り歩きしているような印象を持たれることもしばしばあります。

そんな「イノベーション人材」について、営業の世界では具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。「いかに相手にバリューを伝えられるか」「相手は何を考えているのか」を常に意識する必要がある、と語る福島氏は、続けて意外な言葉を口にします。

「今の私の業界でいうと、ITを使ってとにかく新たなビジネスを興していくような話は枚挙に暇がないんです。だめだったら捨てるし勝ち筋が見つかったらそれを伸ばす。しかも、自社に閉じずに他社や外部人材と連携することが普通になってきている。だからこそ自分が様々なビジネスで出会う人を大切にする、さらにどんどんお客さんに紹介してあげる。これがすごく大切だと思います。業界を越えていろんな人をつないであげることが、普通にできなければいけません」

一見非効率なようにも見えるこの動きですが、実は自分の価値を高めることに直結していると、福島氏はいいます。

「とにかく相手にとって必要そうな人同士をつないでいく。そうすれば、『福島に聞けば、何か考えてくれるよ』『なんかいいネタ持ってるんじゃない?』と思ってくれるし、大したやつだと思ってもらえるんです」

回り道が最短距離。福島氏がそんな「これからの営業」像を確立していく裏には、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

大事なのは「常にお客さん側にいる」こと

一般に営業職といえば、「売り手」として「買い手」をどう攻略するか、ということを考えるもの。これは見方を変えると、顧客を「敵」として捉える考え方になってしまう、と福島氏は異議を投げかけます。

「お客さんとの関係は壁をいかに乗り越えるか、みたいな話が多いのですが、本来はそうではなくてみんな同じ船に乗っているようなイメージが理想です。その船にどんな人を乗せていくか、ということです。だからこそ、常にお客さん側の立場にいるというスタンスを持っていることがすごく重要です。そんな姿勢で仕事をしていれば、お客さんとの信頼関係ができていくのです」

自社と顧客の板挟みにあう立場である営業は、つい自社の都合に目を向けがちになってしまうときもあります。一方で、お客さん側に立てばなぜこれが必要か、ということを顧客の課題やWHYの観点で話ができるようになります。そうすれば結果的に自社内部の調整もスムーズになる、というわけです。

福島氏がこれらのことに気づくことになった原点は、なんといっても営業の現場にありました。

「営業の現場でいろんな人に出会い仕事をしていく中で、これまでに挙げたスキルが磨かれていきました。仕事を通じて出会う周りのすべてから色々な影響を受けています。そんな現場からの学びに加えて、グロービス経営大学院でMBAを学ぶ中でのインプットが重要な要素でした。それらを実務でアウトプットしていくことも、強く意識していたことのひとつです」

ただ漫然と業務をこなすのではなく、すべての出会いや機会をインプットに変えアウトプットしていく。そんな日々が福島氏の今をつくったのです。

モデルにできる先輩の存在はあるか?

そんな福島氏ですが、過去にはいくつもの失敗を乗り越えてきたといいます。

「若かったころは当然お客さんの方がシニアなので、自分でやるべきことをお客さんに任せてしまい、全うできなかったり、相手は売上などの数字を見てものを言っているのに、私は感覚的にしか捉えられずに見当違いのことを言ってしまったり…。見積もりの数字がちょっと違うとか、そういう初歩的な失敗もありました。営業としてまったく価値を出せない時期でした」

そんな日々を乗り越えることができたのは、指針にすべき「スーパー営業」な先輩達の姿があったからこそでした。

「もちろん上司や先輩から、私が価値を出せていないことについて小うるさく言われることもありました。全然できていませんでしたから。でも、経営視点をもった『スーパー営業』と言えるような人たちがいて、彼らの姿を見てきたからこそ、今があるんじゃないかなと思っています。また、大事なのはその先輩たちの存在が偶然ではなく、必然だったことです。なぜなら、上司や先輩たちがいなければ、そもそも会社や事業が成り立っていないわけですから」

経営視点が「ゴール」へと導いてくれる

福島氏が経営視点を持った「これからの営業」像にたどり着くための要素として、周囲からのインプット以外にもMBAを通じて学んだことが大きかったといいます。

「一番大きいのは、意思決定者が何を求めているかという観点で物事を考えられるようになったことです。経験と勘だけでなく本質がわかるようになった。問われていることが何か、までを考えられるようになったことで、自分が何をすべきか、どうすべきかがわかるようになりました。MBAで学ぶ前の考え方だと遠回りしていたようなことも、今ならすぐに到達できる。四半期で結果を継続的に出さなきゃいけない身においては、最短でクリアできることは非常に大きいですよね」

福島氏はさらに、こう続けます。

「営業が経営的な視点を持つことでできるようになるというのは、やはり意思決定からの逆算ができるということ。つまりこれが必要だからこれをしなきゃいけない、これができていないんだったらまずここからやらなきゃいけない。そう考えていけば、積み上げで試行していたときよりも早くゴールにたどり着ける。営業が成長するために、MBAで学べる経営的な視点が果たす役割は間違いなく大きいんです」

彼が最後に語ったのは「営業」という仕事の魅力と可能性でした。

「経営視点を持った人間が取り組む営業とは、ビジネスそのものをデザインするということだと言えます。特に受注とは、すなわちそれまでのプロセスを結実させ形にしていくこと、さらにそれをお客様に寄り添ってやっていくということです。これこそが営業の醍醐味だと思います。お客様が取り組むビジネスの全体をコーディネートしながら、最終的には自分がコミットして形にしていくという話です。営業というのは、そういうスーパー職業だと思います」

ときには顧客の興味に寄り添って、ビジネスとは直接関係ない時代小説のインプットにも取り組むことで、顧客と「個人対個人の関係」をつくることにも取り組むという福島氏。彼が見据える「これからの営業」は、目先の営業成績ではなく、徹底的に顧客に寄り添うことで中長期の関係づくりも実現していくという経営視点をもった「スーパー職業」でした。

福島氏が講師を務めるグロービス学び放題のコース「冷静と情熱の営業」では、営業職が持つべきスタンスから、実際の提案業務において求められるスキル、大詰めでの「数字」の使い方まで解説しています。従来の常識を超える、「つなぐ人」としての営業職のあり方を動画でぜひ学んでみませんか。

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