目標設定の仕方を変えるだけで社員の意欲が沸き、会社の雰囲気も変わります。会社の明暗は目標設定で決まるといっても過言ではありません。目標設定を成功させるには、その掲げた目標は誰が見ても明確であることが重要です。
私は明確に表現するために不可欠な「5つの要素」の頭文字をとった「SMART」から、「SMARTゴール」という目標設定方法の重要性を提唱しています。
目標設定に役立つフレームワーク、「SMART」とは
「SMART」とは下記の全ての要素を含んだ目標設定の指標です。
◆要素1:Specific(具体的に)
誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す
◆要素2:Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す
◆要素3:Achievable(達成可能な)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する
◆要素4:Related(経営目標に関連した)
設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する
◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する
SMARTを用いた目標設定の方法
日本企業では曖昧なことが多く、その為のトラブルが多く発生しています。目標を掲げても単なるお題目に終ってしまい、うやむやにさせないためには、目標と具体的アクションをしっかり組み合わせることが重要です。私はこれを「SMARTゴール」と表現しています。例えば
- 「目標」:2009年12月までに5000万円の売上げ目標達成
- 「アクション」:1社あたりの売上げを拡大するために×月×日までにすべての顧客に××を行う
……という具合に具体的アクションと組み合わせた目標設定です。SMARTゴールで目標を設定することで、社員は年間を通し、明確な目的を持って働くことができます。会社の収益性の向上だけでなく、自分の業績ベースで報酬が決定するため、設定された目標を達成しようと意欲的に取り組みます。
目標設定の際の注意点
一方、悪い目標設定というのは、「現在の作業を継続的に行う」、「一生懸命仕事に励む」、「販売量を増加させる」というようなものです。これらは単に「努力します」といっているだけで、目標としてはあいまい過ぎます。これらの目標には、“何をもって評価するのか”の判断基準がありません。このような目標設定を行うと下記のような問題が起こります。
- 社員は自分の仕事の優先順位がつけられず生産性が低下する
- 社員は自分の仕事が周囲に評価されているのか不安になる
- 評価基準が曖昧なため上司と部下の間に不信感が生れる
- 目標設定時点で評価結果が予想されることから部署全体でモチベーションが低下する
- 社員のチャレンジ精神がなくなる
こうした状況を回避するため、目標設定の面談時などにマネジャーが留意すべき手順があります。それは、
- 会社全体の年間目標を理解し、
- そこからブレークダウンされた部署の目標を固め、
- その部署の数値目標を社員の個人目標にブレークダウンし、
- それを受けた部下は、自分の職務記述書に照らし合わせながら、自らの具体的行動を含む個人目標を考え、上司と部下で話し合う
ということです。
その際、目標数値の配分や整合性を議論することだけが、目標設定ではありません。上司の部下に対する期待と社員の意欲のすり合わせを行うことを忘れてはいけません。つまり、「こうなってほしい」という期待と「こうなりたい」という意志とが、目標設定を媒介にして一つのベクトルに結実していくことが重要なのです。また、目標設定の際には、「何をすれば達成したと評価するのかの基準の意識合わせ」を行うことも重要です。
明確な目標・評価基準で人材マネジメントを円滑に
目標を明確にすること、また評価の基準を明確にすることで、業績評価の時に上司と従業員の間の考え方の溝が少なくなります。また業績連動型報酬(ペイ・フォー・パフォーマンス)を導入することにより、経営側は従業員に少なくとも自分の年次給与の変化と全般的な報酬形態の決定がどのような評価基準で行われているかを理解させることができます。
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