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中国とインドの経済はどうなる? 固唾を飲んで見守る欧米と日本

投稿日:2008/12/16更新日:2019/04/09

9月15日のリーマンショック以来の金融危機は何とか押さえ込めたようにも見えるが、その影響は実体経済に及んでいる。米国ではビッグ3が連邦政府に対して資金援助を求め、連邦議会上院がそれを認めなかった。税金で私企業を救うということに対しては、原則的に反対論が根強いからである。金融については破たんした場合の影響があまりにも大きいということで、議会は渋々税金の投入を認めた。しかし自動車の場合は、米国最大の製造業といえども、原則は曲げないということなのだろう。

米国の本格的な景気対策については、2009年1月20日のオバマ新大統領誕生まで待つほかなさそうだ。なにせ米国が回復してくれないことには、世界の景気の展望が開けない。日本がいい例だ。あれだけ「内需による成長が必要」と言われながら、輸出依存の体質から脱却できず、トヨタやソニーといった日本を代表する企業すら業績の悪化が著しい。金融危機に関しては「傷は浅い」と言われたものだが、実体経済に関してはそんなことも言っておれないようだ。

経済成長にブレーキがかかるインド

世界景気がまさに米国頼みになりつつあるという記事が、英エコノミスト誌の最新号(12月13日号)に掲載されている。カバーワードはずばり「中国とインド」。要するに、中国とインドという世界経済を引っ張ってきたアジアの2つの国が、いまや弱みをさらけ出しつつあるというのである。

インドの商都ムンバイでは、先日、パキスタンを本拠とするとされるイスラム過激派によるテロがあった。これによってせっかく雪解けムードになっていたインドとパキスタンの関係が冷え込んでいる。両国とも核保有国であるだけに、関係の悪化には米国をはじめ各国が神経をとがらせる。外交だけではない。総選挙を控える内政でも、現政権の国民会議派を中心とする連立政権が負けることはほぼ確実とされ、再びBJP(インド人民党)を中心とする連立政権が政権を奪取する可能性が高い。そうなるとまた外資に対する政策が変わる可能性もあり、それでなくとも慎重になっている外資の腰がますます引けてくる可能性もある。

外資だけではない。ラタン・タタ総帥が率いるタタグループでは、会長自らグループ会社にメールを送り、重要な案件以外のM&Aはすべて中止、各社はキャッシュフロー経営に徹すること、そしてコスト削減計画を提出せよ、とお達しがあったとされている。

2008年10月の輸出額は1年前に比べて12%も落ちた。こうした情勢の急変を受けて、インド中央銀行は、2008年の経済成長率を7.5〜8%に下方修正するという。過去5年間の平均成長率が8.8%であることからすると、かなりのブレーキだが、これでも「楽観的に過ぎるかもしれない」とエコノミスト誌は書いている。しかも2009年の見通しは5.5%と近年に比べて大幅ダウンだ。

経済成長に疑問符が付く中国

中国もこのところの平均成長率は9.8%とほぼふたケタの成長を達成してきた。しかし11月には輸出は2%のマイナス、輸入は18%のマイナスを記録した。しかも発電量は11月にマイナス7%となっているとエコノミスト誌は報じている。発電量のマイナスは企業活動が低下していることの証拠であるだけに、これから経済成長に大きな疑問符が付くことになった。

中国では現在8%成長が「ゼロ成長のようなもの」とされ、社会的な問題が起きるのを防ぐためにはこれ以上の成長が要求される。11月中旬に開かれたG20(いわゆる金融サミット)に先だって、中国政府が4万元(約57兆円)の財政刺激策を行うと発表したのも、中国の成長率がもし低下したらという内外の懸念にこたえるものだった(しかしこの数字にはダブルカウントやもともと政策として入っているものもあり、水増しされた数字だとされている)。

中国やインドに急ブレーキがかかってくると、当面、世界経済を牽引する国がなくなる。それが2009年の世界の成長率がほぼゼロに近くなるということが言われ始めている理由だろう。中国とインドがどうなるか、欧米も日本も固唾を飲んで見守っている。

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