最近、企業が働き方改革の一環として、非正規社員を正社員化するというニュースをよく目にします。例えば資生堂は、2018年にも、国内の工場の有期雇用社員(つまり非正規社員)について、本人が希望する場合には正社員にする方針を発表しました。最大で1200人程度が対象となるそうです(2017年10月22日付け日本経済新聞より)。
この背景には、少子高齢化等による労働力不足が挙げられます。深刻化する労働力不足を解消するため、政府は「働き方改革」を掲げました。「長時間労働」や「非正規と正社員の格差」を解決し、「労働生産性の向上」を実現することで労働力不足を解消するべく、様々な政策を打ち出しています。
しかし、ただ残業を減らしたり、正社員と非正規社員の処遇を同じにするだけで、本当に労働生産性の向上につながるのでしょうか。働き方改革を成功に導くためには、「エンパワメント」が必須になると考えます。
■エンパワメントとは(視聴時間:1分32秒)
エンパワメントとは、組織が目指している目標を達成するために、組織のメンバーが自律的に行動する力を与えるためのリーダーシップ技術です。「権限委譲」とも言われます。
ビジネスにおけるエンパワメントでは、経営者やマネジャーが業務の目標を明確に示す一方、仕事の進め方についてはメンバーの自主的な判断に任せます。「メンバーが、上司の指示を待たずに自分の頭で考えて、自律的に仕事をする」ことが業務のスピードアップにつながり、長時間労働の解消が期待されるのです。
また、メンバーは、権限を与えられ自分で意思決定をしながら業務を達成することが求められます。これは、コミットメントの向上や自己決定を通じたモチベーションを高めることにつながります。
権限の行使と意思決定が実際にワークするためには、正当な評価と報奨が必要です。非正規社員は、正社員化によって格差が是正され、同じ土俵で評価と報奨を得られるという期待を持つでしょう。その期待から、より一層のコミットメントやモチベーションアップが起こり、こちらも生産性向上につながると考えられます。
みなさんの職場の働き方改革も、エンパワメントという視点から着目してみると、良いアイデアが見つかるかもしれませんね。