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評価は冷酷ではなく、厳格に行うことが鍵である

投稿日:2024/01/16

昨年11月発売の『経営を教える会社の経営』から「CHAPTER7 処遇・報酬 4.信賞必罰の実践」の一部を紹介します。

グロービスの人事考課では信賞必罰の精神が徹底しています。ウェイの体現度合いも含め、しっかりパフォーマンスを残したり、これから残せると期待される人は昇給・昇格しますし、逆にそれができていない人は降給・降格も当たり前に行われるのです。これを厳格に行うことにより、組織に緊張感が生まれ、また多くの組織に存在する「仕事の内容以上に給与をもらっている」人を排除できるのです。やりがいをもって働ける環境は最大限に提供しつつ、信賞必罰を徹底することで、人材の成長が促されるようになっているのです。 (このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

納得性の高い評価プロセスの追求

ここまでで、グロービスが評価において最も重要視している「公平性(フェアネス)の追求」について触れてきました。本節では、評価において「公平性」と同時に追求するべき「納得性」について考えていきたいと思います。

●厳格な昇降給・昇降格

先に説明した通り、グロービスでは、成果給、(発揮ベースでの)能力給、そして職務給を組み合わせた報酬体系を採っています。よって、前年よりも大きな成果を出したり、発揮された能力が高まったりする方は、毎年どんどん昇給・昇格をしていきます。また、これから前年よりも難易度の高い職務や責任の重い役割を担うことが期待される場合にも昇給・昇格をしていきます。つまり、グロービスでは年齢や入社タイミングに関係なく、高い成果を出した方、人一倍努力をして能力を高めた方、意志を持って機会を創出し高い期待役割に挑戦する方には、高い処遇・報酬を提示することができます。

逆に言えば、昨年度よりも今年度の成果が明らかに落ちた場合や、期待した能力を十分に発揮したとは言えない場合には、残念ながら降給・降格になります。年功給や能力給を採用している多くの企業においては、懲戒事案のような余程のことが起きない限りは降給・降格はないのではないでしょうか?

そうした企業の方からすると、グロービスが当たり前に降給や降格を適用することに驚きを感じるかもしれません。ただ、私は組織を健全な状態に保つためには、この信賞必罰に基づく降給・降格は不可欠だと考えています。

私がこれまでに見てきた多くの会社では、降給・降格という仕組み自体は存在するものの、実態としては余程のことが無い限りは適用されることはないようでした。降給・降格が基本的に発生しない組織において逆によく起こっていることは、一度上位の役職に就いた人がその立場に安住するようになり、新たな挑戦や更なる努力を怠るようになることです。

部下の立場からすると、自分の上司がその職責に相応しい努力をしていない姿を見ることほど白けることはありません。部下は、良くも悪くも自分の上司の仕事ぶりに多くの影響を受けます。組織の成長とは、リーダーの器によって決まるものです。であるならば、その職位に相応しくない方を降格することも、与えている報酬に相応しくない働きぶりしかしていない人を降給することも、健全な組織を保つためには至極当たり前に行うべきことだとグロービスでは考えています。これは、厳格な人事運用であって、冷酷なものではありません。人事とは、フェアネスを担保するために、冷酷であってはいけませんが、厳格であるべきなのです。

また、グロービスにおいては、前章の360度評価制度に関する説明にて、どんなに成果を出し能力を高めたとしても、360度評価が同タイトルの平均にも満たない場合には昇格することはないことに触れました。それくらいにグロービスではウェイの体現度合いを表す360度評価の結果をタイトル決定にあたり重視しています。よって、同タイトルにおける360度評価結果の平均を大きく下回る状況が続くようであれば、この場合も降格を適用することになります。

実際に、とあるマネジャーであった方が、360度評価において、マネジャーのタイトル平均を大きく下回ってしまったために、その方に対しては降格を言い渡さればならないことがありました。ただ、その方はその後、自身の360度評価における課題点に真摯に向き合い改善行動をとったことにより、翌年にはそれがきちんと360度評価結果に反映され、見事に再昇格を果たしたのです。

よって、一度降格したからと言って、それが今後のキャリアを閉ざすことを意味するのではなく、あくまで自分にとっての成長課題を明確にして、自身の次なる成長のために、その課題を克服するためのきっかけとして捉えてもらうものとしています。


経営を教える会社の経営: 理想的な企業システムの実現
著:グロービス 、 内田圭亮 発行日:2023/11/8 価格:1,980円 発行元:東洋経済新報社

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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