マーケターとして誰もがチェンジメーカーになれる時代が到来 

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データサイエンスとAIの活用が急務

前回は、Dreamforceによって明らかになった、マーケティングの新潮流をお伝えした。マーケティング・システム分野について考えると、すでにAIを抜きにはビジネスは考えられなくなっている。例えばアマゾンやフェイスブックの画面は当然のこととして、一般のウェブサイトのカスタマイゼーションも、顧客のデータに基づき、AIによって顧客がサイトにアクセスしたナノ・セカンド後に行われることが増えてきている。常にエンド・ユーザーを考える戦略をとれば、最低限、デジタルなタッチポイントにおいてエンド・ユーザーのUIに踏み込む必要がある。

しかし、すべての企業が一から自分たち向けのAIを作るのは効率が悪い。そのためにマーケティングのクラウド系のサービスが存在するわけで、企業はパートナーを選ぶことになる。それぞれのクラウドを提供する企業に強み弱みがあるので、現在ではマルチ・クラウドが基本となっているが、データ管理の観点からは1つのクラウドにまとめられたほうがいいことには違いない。

今回、アインシュタインを擁するセールスフォースがIBMとの提携に引き続き、GoogleアナリティクスとG-Suitとの提携を発表したことは、シングル・クラウド化に大きな一歩を踏み出したと言えるであろう。

一方で、UIやクリエイティブ管理についてはAdobeと彼らのAIであるSenseiがはるかに先行している。また同じ分野ではすでにワンストップ化をほぼ実現しているOracleがある。さらには、買収攻勢を強め、フロントラインへの進出をうかがうSAPもプレーヤーとしての存在感を増している。

メーカー側は「PhDがいなくてもAIを管理できるようにする」と標榜はしているが、それぞれのクラウドを扱うには、専門家による導入プロセスは必須で、さらに管理と利用にも一定のトレーニングが必要だ。コードを書けなくても管理はできるかもしれないが、簡単なことではない。また、各社の操作性も大きく異なりトレーニングにはそれぞれ時間とお金がかかる。さらに、同じ顧客データを扱うのにさまざまなクラウドにデータを提供する手間もばかにならない。

現状各社の強みはばらばらであり、どのクラウドの何の機能を組み合わせ、どのようにシステム投資を行って人材育成を図っていくか、当面の間はますます導入を検討する企業の頭を悩ませることになりそうだ。

個人の持つコミュニティが武器に

では、個人としてはこの時代にどう対応していけばよいのだろうか。今までは、チェンジ・メーカーは基本的には大企業のトップであり、多額の投資とともに大胆なシステム導入による改革で、トランスフォーメーションが進んできた。しかし、組織全体がこういった新しいシステムの活用の仕方を理解しない限り、実際にはせっかく容易にアクセス可能になったAIを使いこなすことはできない。

実際、クラウドを導入したけれど実はあまり使われていない、とか、実はクラウド・サービスには正しいデータはインプットされていない。といった話は散見されるものである。

しかし、今後、すべての業務に何らかのこうしたサービスがかかわってくることは間違いがない中、せっかくのリソースを使わないのは少しもったいない。またアカウントベースで契約ができるシステムであれば、スモールビジネスであっても1人年間数万円で最新のクラウド・サービスを使うことが可能だ。

そのためか、最近、ユーザー同士のつながりによる有機的な学びの場が増えているように思う。例えばセールスフォースには、自然発生的に始まったコミュニティ「セールスフォース・サタデー」があるそうだ。地域のカフェなどで、ユーザー同士が利用方法の勉強をしたり問題解決をしたりしながらスキルを伸ばしていく。日本でも、分野は異なるがJimdoなどでこういった動きがある。

myTrailheadのイメージ

こうした動きをとらまえたセールスフォースの動きが、今回発表されたmyTrailheadだろう。自分の学びをカスタマイズして、必要なスキルを身につけていくための教育プラットフォームである。もともと2014年からTrailheadというセールスフォースのことを学ぶための学習プラットフォームが提供されており、個人がある程度自由に使えるしつらえになっていたが、来年中には、企業や組織単位でのブランディングまで可能とするなど力を入れていくそうだ。

サービスは使ってもらってこそ。クラウド・サービス各社はオンラインのトレーニングなどに非常に力を入れている。各社から提供される教育機会をうまく活用することで、企業の枠を超えて個人がスキルを磨くことが可能な時代になってきた。個人のコミュニティ力でスキルを身につけることができ、そしてスキルが身につけば、どの企業にいようと、どんな変革が起ころうと、新しい仕事に対応できる強い個人になれる環境が整いつつある。個人のコミュニティが、今後大きく意味を持ってくるのではないだろうか。

誰もがチェンジ・メーカーになれる

セールス&マーケティングのシステム分野では、今やクラウド上に無償のサービスや安価なサービスが次々と展開されている。簡単に最新のシステムを利用できる環境は誰にでもある。デジタル・トランスフォーメーションは、もはや大企業のトップの決断を待つまでもなく、思い立ったらすぐに誰でも始められる時代になった。

第4次産業革命が起きている以上、企業のトランスフォーメーション、そして仕事の変革はどんな企業にもどんな仕事にも影響する。とにかく一人でもチェンジ・メーカーがいれば組織やビジネスを変革していける土壌がこれからは大事になるのだろう。今回、日本から500人以上、世界からは過去最高の17万1000人以上がDreamforceに集まった。この人数に、その巨大なエコシステムづくりの端緒が見えたと感じたのは私だけではないだろう。
 

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