Dreamforceが明らかにしたマーケティングの新潮流 

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今年もサンフランシスコでセールスフォースが主催するDreamforceが開催された。4日間で行われたセッションの数は実に2700以上、議題は第4次産業革命に対するトランスフォーメーションを中心に、AIの扱いと変革を実現するコミュニティづくり、そしてCSR的にはequalityといったものが目立った。今回は、その中からマーケターが注目すべき新潮流についてお伝えする。

第4次産業革命に対する悩みとは?

会議のキーワードとして何度も出てきたのが、第4次産業革命である。PwCのアドバイザリー部門のトップであるマイルズ・エヴァーソン氏によると、PwCの行ったCEO調査で、43%のCEOが現在のイノベーションにポジティブな変化を感じていないという。しかしながら、変革に投資しないと置いていかれてしまうのも事実。実際、多くのセッションで変革が苦しいことが話題に上がっていた。

その苦しみはどこから来るかと言うと、やはりデータとAIである。現時点ではデータサイエンティストやコンピュータ・エンジニアリングのPhDでないとこの2つを本質的に扱うスキルが得られていない。しかし、現実には、アマゾンやフェイスブックのウェブサイトに代表されるように、実は身の回りの様々な場所にそこかしこにAIが活用され始めている。そのため、「自社のAI活用法は正しいのか?」「自分たちは遅れているのではないか?」といった怖さを多くの企業が抱えているのだ。

機械と人間が共に気持ちよく働く形ができるまではまだまだ時間がかかるし、すべての産業と雇用に影響は出る。しかし、わからない未来への変化におびえるのではなく、積極的に変化を受け入れ、少なくとも今何をすべきかを地に足をつけて一歩一歩進むために何をしたらいいか、みな真剣に考えていたと思う。

AIの進化で100%の仕事は変化する

マーク・ベニオフ会長兼CEO

IBMのロメッティCEOは「そもそもあと数10年シンギュラリティは絶対に来ない。MITの調査によるとなくなる仕事は実は10%程度だが、100%の仕事が変化はする。コンピュータの専門家でなくても、PhDでなくても、誰もが機械と共に働ける環境づくり、スキルのトレーニングによる人材作りこそが大事。」と断言した。

セールスフォースのマーク・ベニオフ会長兼CEOも、「データサイエンティストでなくてもデータを扱えるエコシステムを(自社サービスは)作っている。キャリアの途中からでも学習さえすればデジタル・トランスフォーメーションのリーダーになれる。そういうリーダー、先駆者を生み出していく」と事あるごとに語っていた。

そもそもセールスフォースが発表した調査によるとIT技術によってセールスフォース関連だけでも2020年までに330万の雇用が生み出される予測を出している。第4次産業革命は、それによってなくなった仕事ももちろんあるかもしれないが、それ以上に現時点でもすでに多くの雇用を生み出しているのだという。

見えてきた3つの潮流

会議全体を通じて、マーケティングにおいては大きく3つの潮流が見えていたと思う。1つ目は、いよいよ本当のワン・トゥ・ワンの時代がやってきたということ。これによってBtoBとBtoCの垣根はなくなっていく。

2つ目は、ワン・トゥ・ワンになればなるほど、ことにマーケティングにおいては、データサイエンスを活用し、AIをうまく使ったユニークな顧客経験を作りだす会社が勝つし、むしろそうしない会社は生き残れないであろうということ。

そして3つ目は、そのような顧客経験を作り出せる人材は、会社に閉じないコミュニティが育てる可能性が高く、個人の持つコミュニティがこれほど大事になる時代もないであろう、ということである。

BtoI(ビジネス・トゥ・インディビジュアル)の時代に

今回、セールスフォースのMAツールであるPardotのシニア・ヴァイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャーのマイク・コストウ氏にインタビューする機会をいただいた。一貫して言われていたのは、BtoBでも、エンド・ユーザーの顧客経験まで考えたジャーニーを描き、コントロールすることが、購買のポイントでも大きな影響を与えるようになっていくだろう。ということだった。

元来BtoBマーケティングの特徴は、端的にいえば購買者が組織(会社)であり、実際のエンド・ユーザーとは異なることにある。しかし、購買の現場においても、エンド・ユーザーのニーズをしっかり組みとれた商品のほうが商品力も提案力も高くなるのは道理である。ただ、今までは、技術がそこまで追い付いておらず、BtoBの会社が直接エンド・ユーザーのデータを取ることは困難であった。ところが、ネットとAIを活用することで、データは比較的簡単に取れるようになってきた。だからこそ今、BtoBにおいてもエンド・ユーザーの経験を把握することが大事になってきた、ということなのだ。

ネジを買うのは建設会社かもしれないがネジを使うのは現場の大工さんたちである。同じ値段のネジであれば、彼らの声を反映したネジのほうがより売り込みやすいであろうことは想像に難くない。それに、IoTが進んで、例えば今や「エレベーターも乗っている人とおしゃべりする。」こういったBtoB商品も、エンド・ユーザーの顧客経験をダイレクトに設計しないわけにはいかなくなってきてもいる。

ロメッティCEOはそのことを端的にBtoB、BtoCからBtoI(ビジネス・トゥ・インディヴィジュアル)という言葉で表していた。BtoBでお金をもうけていたとしても、エンド・ユーザーのニーズまでをしっかり理解することが必須の時代がやってきた、ということであろう。
 

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