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投資銀行→PE→スタートアップCFOのキャリアパス:estie 上田來

投稿日:2023/01/17更新日:2023/10/23

プロフェッショナルファームから、スタートアップの門戸を叩く人材は日本のスタートアップ業界でも徐々に増えつつある。そうしたなか、投資銀行やPEでキャリアを積んできた上田來氏が、「産業の真価を、さらに拓く。」をPurposeに掲げ、商業用不動産市場のインフラとなるサービスを開発し、業界のアップデートを図るスタートアップ「estie」に参画した。
背景にあったのは、グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)が投資先スタートアップ企業の経営支援を専門とするチーム「GCP X」の存在である。

上田氏はどうして今、estieにジョインしたのか?また、CFOを迎えたestieは、今後どのような進化を見せていくのか?

プレシリーズAからestieを支援してきたGCPの湯浅エムレ秀和氏、そして今回の上田氏の参画にGCP Xから支援を行った水野 由貴氏とともに、今回の上田氏参画の背景とestieの今後の展望に迫る。

(取材・構成:福田滉平、写真:山下直輝)

*本記事は、2022年12月23日にCOMPASS by Globis Capital Partnersに掲載された記事を転載したものです。

変わったスタートアップのイメージ

──GCPはestieに2020年6月のプレAラウンドから投資し、2022年9月には、上田さんがジョインされました。プライベートエクイティ業界のバックグランドから、スタートアップ業界へと興味を持ち始めたのは、いつからだったのでしょうか?

上田:スタートアップで働くことには、もう2年くらい前から頭の中では考え始めていました。


直接のきっかけは、3年ほど前から前職でスタートアップ投資に関わる機会が非常に多くなっていたことです。

前職のファンドは、もともとバイアウトファンドでしたので長年成熟した大企業向けの投資をしていたのですが、当時「グロースエクイティ」といって、レイターステージのスタートアップにマイノリティ投資をするファンドを新しく立ち上げ、力を入れ始めていました。

私の担当業界がテクノロジーだったこともあり、自然とマイノリティ投資のソーシングを任されるようになり実体験としてスタートアップの方に関わることが増えていたんです。ミーティングでお会いする自分の同年代や、更に若い起業家や経営陣の方々が、覚悟を持って事業に取り組まれていること、そして社会や産業を変えるという高邁な夢や目標を持たれていることに感銘を受けるとともに、尊敬の念を持つようになりました。

この経験からスタートアップ業界で働くことに対してとても魅力を感じるようになりました。そのため良い機会があればご紹介をお願いしますと、親しい友達やよく声をかけてくださるエージェントの方にも話をしていました。

さらに遡ると、スタートアップに対するイメージを持つきっかけになったのはMBA留学での経験です。留学先のアメリカでは、投資銀行からスタートアップへと転職するキャリアは珍しいものではなくなっていました。MBAの同窓生でも優秀な人達が、自分で起業をするかスタートアップに参画する流れを目の前で見ていました。自分の身近な仲間たちが、もうブラックホールに吸い込まれるかのように、スタートアップ業界に入っていくのを肌で感じたんです。

日本に帰ってきてからも、この流れを肌で感じていました。私の通っていたペンシルベニア大学ウォートン校の卒業生のなかに、2010年以降の卒業生たちだけが集まる「ウォートンティーンズ」という会があります。このウォートンティーンズに来る人には、すでに成功された起業家や有名なスタートアップのCFO、或いはベンチャーキャピタルでスタートアップエコシステムを盛り上げている方が非常に多かったのです。

一般に、ウォートンはファイナンススクールとして有名です。しかしそのウォートンでもスタートアップで働くことは主流の選択になりつつあります。また日本の若手卒業生コミュニティにおいても熱量と勢いがあって、楽しそうな人たちの多くはスタートアップに関わる人たちでした。

こうして、プライベートエクイティファンドやMBAを経た私のキャリアパスとして、CFOというロールが明確に意識され始めていきました。この時に「GCPさんが投資先のCFOの採用をサポートされているので担当の方と一度お会いしませんか」という話を受け水野さんとお会いました。そこで示していただいた会社さんのなかで、ビビッと来たのが、estieだったんです。

商業用不動産が日本のGDPを牽引する

──estieがサービス展開する不動産業界について、上田さんはどう捉えていたのでしょうか?

上田:まず、ヘッドラインとして興味があったのは、バーティカルSaaSです。これは、私が新卒で投資銀行に入った時から、日本の経済や雇用を支える産業界への貢献に関心を持っていたことが理由です。

投資銀行は、テクニカルな専門性をもったプロダクトチームと、業界をカバーしながらソリューションを提供するカバレッジチームに分かれます。当時、私はお客さんと向き合うカバレッジチームに魅力を感じ、様々な業界セクターがあるなかでも製造業のチームを選びました。当時の製造業は日本が世界に誇るべき産業の一つでしたが、バブル崩壊以降の構造不況や、リーマンショックによる業績悪化に苦しんでいました。私は日本で最も国際的な競争力がある製造業の再興を金融面で支えたいという思いがあったんです。ちなみに業界は変わりますが、産業の振興に貢献したいというこの思いは、estieでも変わりません。

estieは商業用不動産のなかでも、特にオフィス不動産業界をターゲットとしてサービスを提供しています。

日本のGDPの大半は、第三次産業に由来するものです。そして、第三次産業に従事している方々の価値を創出する主な場所はオフィスですよね。このオフィスに関する様々な課題をテクノロジーやデータの力で解決すること、そしてそうした取り組みを通じて日本のGDPを引き上げることが、estieの存在意義だと思っています。

不動産業界、特に商業用不動産は非常に大きな産業でありながら、DXがまだ進んでいない業界でもあります。この業界に携わるプロフェッショナルの方々の本来持てる価値の最大化をソフトウェアの力で成し遂げることができれば、そこで生まれるインパクトはとてつもなく大きいのではないかと考えています。

アクセルを踏んでくれる大人

──水野さんが最初に上田さんと会った際の印象はどういったものだったのでしょうか?

水野:上田さんとお会いした際のメモを見返したのですが、何も書いてないんです(笑)。普段なら自分なりのメモを書いているのですが、何も書いてない。きっと、相当話が面白かったんだと思います。絶対にこの方にスタートアップの世界に来て欲しい、と強く思いました。

一方で最初は、本気なのかなという不安もありました。上田さんを前にして言うのは失礼ですけど、投資銀行やPEから、スタートアップに入る方が増えてきているなかで、「ブランド」としてのスタートアップでのキャリアづくりや、エクイティで儲けたい、といった動機の方も少なくありません。キラキラした世界に見えるかもしれませんが、実際は違う。一流の会社を出られているので、そんなはずはないと思いつつも……実際はどうなのかなって。

ただ、上田さんとお話をして、本気度をすごく感じたんです。お話しした時には、スタートアップに行くという気持ちは、もう強かったですよね?

上田: 強かったですね。

水野:私の中でも、この人は本気で転職をしたいのだなと思い、紹介先を選んでいきました。他のエージェントさんやお知り合いからも、たくさん声がかかっているだろうから、興味を持っていただけそうな投資先はどこか、真剣に考えていました。

──GCPが支援する企業はいくつもあるなかで、estieを紹介された理由を伺えますか?

水野:まず、上田さんのような方には、日本の産業を大きく変えるような波に乗って欲しいという思いがありました。

もう1つの理由は、estieの経営陣にはもう1人、不動産とは全く関係ない業界から来てくれる方がいるとバランスがよいかもしれないな、と感じていたことです。

estieの経営陣は本当に優秀です。でも、当時の経営陣には、最後にぐっとアクセルを踏み込む人がもう1人いても良いかも、彼らの意見を後押ししてくれるような人がいてくれたら。というのは、estieの経営会議やミーティングに出席していたなかで感じていたところでもありました。

上田さんはファイナンスのバックグラウンド以上に、esite経営陣の議論を引っ張り、更に目線を釣り上げてくる方だと思いました。上田さんだからこその、経営視点をestie経営陣とマージさせると絶対に面白いことが起こりそう。そこで、estieをご紹介したという記憶です。

上田: 今の話をしたときのことを覚えています。いい会社なのだけれど、メンバーが若いからもう少し大人の人を加えたい。そこだけ聞いたときは、まだ成熟していない会社のイメージがあったんですよ。

それが実際に3人と会ってみると、すごく成熟している。私よりも若いはずなのに、年の差を全く感じさせない。人間としても、ビジネスの考え方もすごく成熟していたんです。私は、すごく良い意味で裏切られたなと思いましたね。

ただ水野さんがおっしゃる通り、いろいろとよく考えているものの、アクセルを踏み込みきれていないということは彼らも課題であると話していました。

私は管理のエキスパートではありません。それよりも投資や戦略に強みがあると考えています。昨今の市場環境の変化は気になるところでもありますが、スタートアップなので投資を続けないと成長が止まってしまうし自分がCFOを担うのであれば、攻めのCFOでありたいと考えていました。その攻め部分を期待されているところにとても魅力を感じました。

GCP Xだからつながった両者

湯浅:GCP Xの特徴として、GCPのキャピタリストと一緒に行動しているという点があります。投資先企業の経営会議や取締役会にも出席し、本当にこの会社が成長するためには、どんな人が必要なのかを考えます。だから、的確なパスが出せるんだと思います。

水野は、GCP Xの立ち上げメンバーでもあるのですが、彼女がユニークなのが、前職の人事採用を手掛ける企業で社内起業をしていたことです。人材エージェントとして、採用のプロというバックグラウンドを持ちながら、起業家としてのバックグラウンドも合わせて持っている。この両側がわかっているからこそ、企業と人をピンポイントでつなげる神業のようなことができるのだと思います。

水野:当時も週に2、3回は、estieの経営陣とミーティングをしたので、支援先企業の経営状況について、解像度が高い状態でした。経営会議などで、課題もわかっていた分、私自身の熱量も高く、平井さんと束原さんを助けてあげて!というような心境でした(笑)。

上田: その印象は、私も受けていました。水野さんが、平井さんをはじめとする経営陣と対等な立場で話をされていたというイメージがあります。

VCによっては投資側であるがゆえに、上から目線になってしまうケースもあるのかもしれません。しかし、水野さんは、全くそうではなかった。へつらうわけでもなく、上から目線でもない。この対等な関係にすごく信頼感を持つことができました。

私が入社後に、CFOとして説明責任を果たす相手は投資家です。その主要な投資家の一社であるGCPさんが、ともに気持ちよく仕事をすることができるパートナーであるということをその時点で知れたことは、私の入社のモチベーションにもなりました。

「それって恋だと思います」

湯浅:でも、ロジカルに企業と向き合う一方で、どこかで左脳だけじゃなく右脳。言ってみれば、ハートの意思決定があったんじゃないかと思うんです。ロジックでは説明できないんだけれど、estieにもう飛び込もうって思った瞬間ってありましたか?

上田: ありますね。「僕はestieに恋をした」というサブタイトルで社内ブログにもその時のことを書きました(笑)。

入社検討時に、CEOの平井さんに「もうestieのことが頭から四六時中離れません」とメッセージを送ったことがありました。すると平井さんからの返信が「それって恋だと思います」と返事が来たんです(笑)。

「すごい!これが恋なんだ」と自覚しまして、、、まさに右脳のディシジョンメイキングをしたのだと思っています。恋は盲目じゃないですが、損得勘定を越えたモードにその時には既に入っていったという記憶があります。実際の恋愛でもこんなこと自分から言っちゃうと、もう立場が弱くなっちゃいそうじゃないですか(笑)。

水野:確かに自分から言っちゃっていますもんね(笑)。

上田:あと、エムレさんの「右脳のディシジョンメイキング」に対するお答えとしては、もう1つ話があります。

私はこれまでに何度か転職を経験しているものの、同じ金融業界内での移籍ですので気持ちとしては大企業の部署異動ぐらいの感覚で転職していました。一緒に働くアドバイザー会社の方に、企業が変わったのですがこれからもよろしくお願いします、と挨拶するくらいなんです。

でも、スタートアップへの転職というのは、自分のキャリアが質的に変化する転職だと捉えていました。このレベルの意思決定をするのは新卒の時の就職活動以来なので、じっくり立ち止まって考える必要がありそうだなと思いました。そこで、個人でエグゼクティブコーチを雇ったんです。

コーチングをお願いしたのは、私が留学前にプロボノ活動をしていた時に、ご一緒した方で、僕の志の部分に理解のある人でした。

この人であれば、オファー条件を精査して、どの会社のリターンが一番大きいか、みたいな銭勘定だけの会話にならないだろうなと思いました。まあそういう左脳の部分ももちろん大事なのですが(笑)。

こうした考えもあり、この転職活動の一連のプロセスを、彼をコーチとして常に対話しながら進めていました。最終的に3つの選択肢の中から決めることにして、それを彼と話しました。「この会社はこういう特徴があって、自分はこういうバリューを出せる。条件はこうで、この会社はこういう条件だ」などといった内容です。

この話をしている最中にコーチからにこう言われたんです。「estieの話をしている上田さんが一番楽しそうですよ」って。その瞬間、「ばれました?」と(笑)。

この時には、心は決まっていたのだと思います。こうしたことに右脳で気づけたのは、彼のコーチングのおかげでもありました。

CFOに求めること

──GCPとして、上田さんにCFOとして期待するところはどこでしょうか?

湯浅:会社のステージによってやるべきこと、あるべき状態は違うと思っています。

実は、estieが上田さんに巡り合うまでに、CFO候補として80人近い方と面談したと聞きます。非常に重要なポジションであるがゆえに、誰にこのCFOというポジションに入ってもらうかについては、ものすごく慎重に考えました。

GCPは、2020年6月にプレAというステージから参加し、今年の1月のシリーズAにも追加出資をしました。このプレAからシリーズAの期間で一番重要だったのは、PMF(プロダクトマーケットフィット)です。このフェーズでは、CFOはそこまで必要とされません。それよりも、プロダクトを作るエンジニアやデザイナー、またお客さんのニーズを把握するビズデブ(ビジネス&ディベロップメント)の方たちが中心となって、まず組織を作っていきます。

しかし、シリーズAを超えると、作り上げてきた強いプロダクトを、どう事業づくりに転換してくか、ということが重要になります。ここで、CFOが必要となってきます。

この事業にいくら投資して、どのくらいの規模まで事業を伸ばすのか。将来の目指す姿から逆算して、非連続な手を打っていくためには、トップダウンで会社全体を見て、今やるべきことを考え、実際に実行できることが重要です。この役割に期待しています。

逆に、管理のプロとして守りに徹して欲しいとは1mmも思っていません。求めているのは非連続な成長に導くことのできる、攻めのCFOです。ただ、上田さんは、見るからに攻めの人って感じですけど(笑)。

──「攻めのCFO」というのは、上田さんからも言及がありました。上田さんの視点から、estieで目指すCFOの役割についてお聞かせください。

上田: やっぱり、この会社を一兆円企業にする。曇りなく、本当にそれだけだとだと思っています。

estieには、今この状態のまま走るために必要なものは、過不足なく充足されています。裏を返せば、今の会社を継続するだけであれば自分がやることはあまりない。すごくしっかりした会社です。でも、1兆円企業になろうと思ったら、やらなければならないことがたくさんあります。

物事を緊急性と重要性という軸で分けた時に、「緊急で重要なこと」は誰でもすぐやると思うのですが、「緊急ではないけど重要なこと」には、なかなか手が回りません。でも、それをやらなければ、一兆円企業には到達できないんです。

目指す姿から逆算して、今やるべきことのうち「緊急ではないけど重要なこと」を的確に打ち手として実行するのが私の仕事です。

3本の矢の「的」を提示するのが仕事

──目指すのは一兆円企業とありましたが、そのために今、必要なことは何なのでしょうか?

上田: 前提として、経営陣がとても優秀で人望も厚いですし、経営陣以外のメンバーも非常に優秀です。かつ会社のパーパスに全社員が向いている。まだスタートアップらしいコンパクトな規模感のなかで、濃度高くビジョンを共有できているので、スピード感をもって事業に向き合うことができています。ハードワークができて、ビジョンが一致していて、優秀。もう、素晴らしい状態です。

しかし1兆円企業になるためには当然課題もあります。目標が高すぎますからね。例えばその一つにバーティカルSaaS特有の難しさはあると思います。特定の業界に特化してサービスを提供しているので、単一のプロダクトだけではいずれ限界が来てしまうという課題です。

シリーズAを成功させた要因である、初期プロジェクトのPMFはもう既に完成しているのですが、顧客リストは、ホリゾンタルなサービスと比べると有限です。ここでバーティカルSaasがやらなければならいのは、既存のお客様に対して複層的な価値を提供することです。そのためには、最初のプロダクトに次ぐ2の矢、3の矢を次々に打っていかなければなりません。

私の仕事は、リターンやリスクを考慮し、必要な資金を調達した上で、こうした2の矢、3の矢を経営陣が気持ちよく打てる状態を作っていくことです。

先程、なかなかアクセルを踏み込めない、という話がありましたが、それはestieの良いところでもあります。

リスクを計算し、かかるコストをなるべく最小化しようとする。本当にガバナンスが効いている会社です。しかし、ガバナンスが効いているがゆえに、なかなか矢を打ち込めない、というスタートアップらしからぬ側面もあります。そこに対して私は、もっと打ちまくろう!とはっぱをかけたいと思っています。

そのために必要なことは、2つあります。1つは、仮に失敗したとしても大やけどしない、財務面で心理的に安全な状態を担保することです。「僕が来たからには、調達は任せてくれ」と言うのも大事かなと思っています。もう1つは、弓を打つだけじゃなくて、どの的に向かって打つか。目標たる的を明確化し、その的の解像度が高い状態を作ることです。

実は、私がestieで最初に取り組んだ仕事が、取締役陣との合宿でした。そこで中長期の戦略について議論し、ある程度、的の所在が見えてきたように思います。これから、見えてきた的をストーリーや具体的な数字に落とし込むのが私の仕事です。そうすることで、また次の的がはっきりと見えてきます。

湯浅:上田さんがestieに正式入社されたのが9月で、その経営合宿は入社されてからまだ2週間くらいのときでしたね。

GCPは、投資先企業に社外取締役として入っているので、投資先の経営合宿に参加することも多いのですが、その時の経営合宿は、過去の合宿と比較してもすごく手応えと変化を感じた経営合宿でした。興奮して、週明けを待たずに帰路で思わず水野にメッセージしたくらいです。

議題は、estieが将来的に目指す2030年の姿についてでした。そこから、2025年はどうなっているのかを逆算していく。まさに大きな的はここで、その中間の的はこれ、目先の1年はこれ、といった論点を上田さんのリードのもと、全員で話し合ったんです。

この合宿から、何がどうつながって、2030年のestieになるのか。1本道が見えたすごく大きな成果があった合宿でした。それを入社して2週間のタイミングでやるって、この人は本当に半端ない。やっぱりすげえな、と驚愕しました。

今はまだ目指す姿の2%未満

湯浅:この前の合宿でわかったのが、今見えている範囲で、estieが最終的にやりたいことを実現するには、3000人が必要だということです。今のestieのメンバーは55人なので、ざっと50倍超の規模にまで組織を拡大していく必要があります。

上田: この議論でもそうですが、本当にまだまだアーリーなステージにあると思っています。

よくあるのが「estieはもう完成されている」という勘違いです。これはまったく違いまして、「CFOが加入した」といったニュースを聞くとその勘違いを助長させてしまいそうですが、全然そうではないんです。まだまだ小さな会社で、良い意味でも悪い意味でも、本当に将来性しかありません。

 今のestieの事業は、成し遂げたい世界のほんの一部しか表現できていません。オフィス不動産という、特定のセグメントに特化してサービスを提供するだけに留まらない展開をこれから進めていきます。

水野:お話にもあった、2の矢、3の矢を打っていく段階で、まったく新しい会社ができるぐらいのレベルで変化が起きると思っています。そのためには、上田さんをもう1人採用するくらいの気持ちでいきたい。どんな人に加わってもらうかが、鍵になってくると思います。

上田:estieは「産業の真価を、さらに拓く。」とパーパスに掲げていて、現在の事業は、その手段として商業用不動産業界のDXを促進できるようなサービスを提供しています。そしてこれから、第2弾、第3弾、第4弾とプロダクトを開発していくにあたって、これらを牽引していく人が、パーパスの実現にはどうしても必要です。

どのような方を求めているかと申しますと、まずは顧客のニーズと向き合いながら一緒にプロダクトの可能性を切り拓いていく開発チームのメンバーが挙げられます。中長期的に顧客や業界の課題を解決するために、構想段階にあるプロダクト群を具現化させていくところから関わることが出来る面白さがあると思っています。

次に、各プロダクトの価値を市場に訴求し、顧客の伴走者となるセールスやカスタマーサクセスのメンバーです。社内では、まとめてクライアントソリューションと呼んでいる職種です。要件はこれから変わりうる前提ですが、顧客の業務を深く理解しコンサルタントのように動ける方が向いているのではと思います。最後に、これから更に組織が大きくなるなかで、それを支えるコーポレートのメンバーの強化も必須です。組織が変容する中で、これまで課題ではなかったことも課題化していくことが予想されますので、人事や法務、或いは内部統制といった専門スキルに対するニーズも徐々に顕在化していくと考えています。

私は、日本の製造業に貢献したいと新卒で投資銀行に入社し、その後はカンボジアの社会起業家向けにインパクトインベストメントの活動を行ったり、キャリアとして世界銀行を目指したりしたこともあります。しかし今は不動産業界で業界のトランスフォメーションに取り組んでいます。一見脈絡のないようにも見えるかもしれませんが、今も変わらぬ志は「世の中のために貢献したい、インパクトを与えたい」という思いです。仮に不動産業界そのものに今強い関心がなかったとしても、こうした思いに共感いただける方は多いと確信しています。

(了)

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