期待を超えるマネジャーがさらに目指すべき姿とは? 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前回は、期待されるマネジャーの皆さんも紆余曲折あり、その状態を維持するために様々な苦労(若しくは努力)をしているということ、中には何か大きな失敗により期待を超えるマネジャーの要素を失ってしまい、それを必死に回復しようと努力している人もいるということをお話しました。

今回それに関連して皆さんにお伝えしたいと思っているのは、期待を超えるマネジャーの状態をさらに良い状態に強化するためには、どのようにしたらよいのかということについてです。

「強化」というのは、もちろん読んで字の如く、「強くする」ということです。これは実際にどういうことかというと、少しロングスパンで自分の人生の志やゴールを持つことで、ますます自分の仕事に対する思いが強まったり、そのゴールや志を実現するために身に付けなければいけないスキルの獲得により一層エネルギーが向いたりするという意味で、マネジャーとして磨きがかかるということです。

さらに、こういう状態を続けていると人間としても魅力的に映り、周りに様々な人が寄ってきます。そうすることで、様々な人と出会う機会が増え、より優れたマネジャーになるためのロールモデルになりそうな素敵な人との出会いも増えるわけです。

また、最初は良いマネジャーといっても、どちらかというと自分のために頑張るという状態の人が多いのですが、マネジャー自身が成長していくことでより周りに目が向くようになります。部下の育成をし、自分がその成果をダイレクトに上げるのではなく、その部下に実現の主力を担ってもらおうという「他者実現」の感覚が生まれるのです。その結果、周囲はそういったマネジャーに対してポジティブな印象を持ち、マネジャーのスキルがさらに強化されていくというポジティブなサイクルが回っていきます。これが「強化」というフェーズの中で見えた大きな特徴でした。

経験が積まれていくにつれて、最初は自分の能力開発に一生懸命だったものが、徐々に周りの部署や後輩へと目線が移っていき、周囲から「あの人なんかいいマネジャーになったよね」と言われるようになっていくことがあると思います。最初は己を磨くということからだと思いますが、己を磨いて自分というのをしっかり認識し強めていくと、徐々に考え方も視野も広くなります。

優れたマネジャーにも紆余曲折あるとお伝えしましたが、それは良い状態になったものを維持し、駄目になったものを回復し、良い状態のものをさらに良くするために強化をする過程で紆余曲折を経ているということです。

これまで、『マネジャーの教科書』に基づいて様々なことを申し上げてきましたが、マネジャーというポジションは、やはり非常に大変なポジションだと思います。上司がいて部下がいて、横の人がいて、社外の取引先の方がいて、もちろんお客さんがいて、様々な関係者に囲まれてにっちもさっちもいかない、そういうポジションです。一番ストレスがかかりますし、大変だと思います。特にミドルマネジャーの皆さんは、プライベートでもお子さんの教育費など、様々なことがあると思います。大変故に一歩間違えると、体調を崩してしまいがちです。

しかし、このマネジャーと言われる皆さんが元気にならなければ、一社一社の会社が元気になることは絶対にないと思います。一社一社の会社が元気にならなければ、地域が元気になることも、日本が元気になることもないでしょう。トップの方が注目を集めがちですけれども、会社の屋台骨を支えているミドルの皆さんが元気はつらつで働ける状態を自ら作り出していく、こんなことができればこの国はまだまだ楽しいことがたくさんあると思いますし、元気になっていける、そう信じたいなと思います。

最後に、皆さんは人生の本当に一番いい時期のものすごく貴重な時間を我々は仕事に使っているわけですから、ぜひ「一体自分は何のために働いているのだろうか」「一体自分は誰のために働いているのだろうか」「この仕事を通じてどういうことを実現したいと思っているのだろうか」「最終的に世の中にどんな価値を生み出していきたいと思っているのだろうか」ということを、折に触れて考えてみてください。そして、自分に対する認識を深め、都合の良い解釈をし、そして持論を作って一目置かれる期待を超えるマネジャーになっていっていただきたいと思います。


(本記事は、FM FUKUOKAのラジオ番組「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容をGLOBIS知見録用に再構成したものです)

 

慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁(経済産業省、文部科学省他)、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修におけるリーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。経済同友会幹事、経済同友会教育問題委員会副委員長(2012年)、経済同友会教育改革委員会副委員長(2013年度)、ベンチャー企業社外取締役、顧問、NPO法人の理事等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社)、『日本型「無私」の経営力』(光文社)、『21世紀日本のデザイン』(日本経済新聞社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』、『日本の営業2010』『全予測環境&ビジネス』(以上ダイヤモンド社)、『東北発10人の新リーダー 復興にかける志』(河北新報出版センター)、訳書に「信念に生きる~ネルソン・マンデラの行動哲学」(英治出版)等がある。

名言

PAGE
TOP