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不毛な忙しさに追われていませんか?

投稿日:2016/07/07更新日:2019/04/09

多忙だからといって根本的な仕事をしているとはかぎらない

先日、『リーダーシップの旅 見えないものを見る』(野田智義・金井壽宏著、光文社新書)を再々読していたときに、あらためて目に留まった言葉があります。

それは、「アクティブ・ノンアクション(active non-action)」です。行動的な不行動、不毛な忙しさ、多忙ではあるが目的を伴う意識的行動をとっていないことの意味を含む概念です。

この言い回しは、もともとは、哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカが言及した「ビジー・アイドルネス(busy idleness)」、つまり「あくせくしながらも結果として何もしないこと、怠惰な多忙」を起点にしているのだそうです。

セネカが約2000年前の人物だということを考えると、人類の“不毛な忙しさ”問題は、古今東西を貫く一大問題なのかもしれません。

確かに私たちのビジネス生活は多忙さに追い立てられ、それが止むことがありません。雑多な業務を器用にこなせるようになり、そこそこの知識やスキルが身につき、それで何か仕事をやった気にはなります。しかし、そうして1日が終わり、1ヶ月が過ぎ、1年、3年、5年が経って自分を振り返ってみます。そのとき、根本的に意義のある仕事をつくり出し、残していたかどうか……。

ルーチン業務に追われて後回しにしていることとは?

また、同様の興味深い言葉として、ノーベル経済学者ハーバード・A・サイモンが言及した「計画のグレシャムの法則」もあげられます。

これは「悪貨は良貨を駆逐する」という有名なグレシャムの法則をサイモンが応用したもので、「定型の処理的な仕事は、非定型の創造的な仕事を駆逐する」というものです。確かに、既存の体制を維持させるためだけのルーチン業務に追い立てられると、私たちはついつい長期的・根本的な計を立てる業務を後回しにしてしまいがちです。

こうした“不毛な忙しさ”の罠に落ちないために、時間を次の4つのマトリックスに分けて管理せよと提言するのが、スティーブン・R・コヴィーです。

最も熟考し、手を打つべきは、もちろん「第二領域」です。コヴィーは、忙しいさなかでも第二領域にきちんと着手することで、結果的に第一領域に振り回されることが少なくなってくると言います。「なぜなら、あなたは問題の根っこに働きかけているのであり、問題が発生する以前に、それを防ぐ活動をしているからである。これは時間管理の用語で言うと、パレートの法則というものである。つまり80%の結果は20%の活動から生み出されるということである」(『7つの習慣』より)。

『ウォールデン 森の生活』で知られるアメリカの思想家ソローは、「アリやミツバチだって忙しい。問題は何で忙しいかだ」と書きました。

 “忙しさ”―――-忙しいからこそ、立ち止まってきちんと向き合わねばならない問題です。

  • 村山 昇

    キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

    人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)をはじめ、管理職研修、キャリア開発研修、思考技術研修などの分野で企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。 GCC(グロービス・キャリア・クラブ)主催セミナーにて登壇も多数。 1986年慶應義塾大学・経済学部卒業。プラス、日経BP社、ベネッセコーポレーション、NTTデータを経て、03年独立。94-95年イリノイ工科大学大学院「Institute of Design」(米・シカゴ)研究員、07年一橋大学大学院・商学研究科にて経営学修士(MBA)取得。 著書に、『キレの思考・コクの思考』(東洋経済新報社)、『個と組織を強くする部課長の対話力』『いい仕事ができる人の考え方』『働き方の哲学』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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