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株式譲渡とは?経営者が知っておくべき会社売却の基本とメリット・デメリット

投稿日:2025/06/18更新日:2025/07/15タイマーのアイコン 読了時間 6分

株式譲渡とは、会社の株式を他者に売却し、対価を得る行為です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、会社の所有者が持っている株式を特定の相手に売却し、その対価として現金などのリターンを得る手法のことです。

簡単に言えば、「会社を売る」ことを指します。株式を譲渡する割合によって、経営権も一緒に移転することが多く、特に過半数や3分の2以上の株式を売却する場合は、買い手企業が経営の主導権を握ることになります。

日本では「会社を売る」というとネガティブなイメージを持つ方も多いかもしれませんが、アメリカなどでは創業者や経営者が会社から利益を得る一般的な方法として広く受け入れられています。起業家にとっては、自分が築いた事業の価値を現金化する重要な選択肢の一つなのです。

なぜ株式譲渡が重要なのか - 現代ビジネスにおける必須の知識

株式譲渡は、現代のビジネス環境において経営者や起業家が必ず理解しておくべき重要な概念です。その理由は大きく分けて二つあります。

①事業戦略の選択肢として不可欠

まず、株式譲渡は事業戦略の重要な選択肢として位置づけられています。

事業を継続・発展させるための資金調達方法として、銀行からの借入や新規株式発行による増資などがありますが、株式譲渡はこれらとは異なるアプローチです。特に、自分たちだけでは事業の成長に限界を感じている場合や、より大きな資本力を持つ企業と組むことで事業拡大を図りたい場合には、株式譲渡が有効な戦略となります。

②経営者の人生設計における重要な選択

次に、経営者個人の人生設計においても株式譲渡は重要な意味を持ちます。

起業家や経営者は、事業を通じて大きな価値を創造しますが、その価値を現金化するタイミングは限られています。株式譲渡により、これまで築いてきた事業価値を適切に評価してもらい、現金として受け取ることができます。これにより、新しい事業への挑戦、引退後の生活設計、相続対策など、さまざまな人生の選択肢が広がります。

株式譲渡の詳しい解説 - 仕組みとポイントを理解しよう

株式譲渡について、その仕組みやメリット・デメリット、そして成功のポイントを詳しく見ていきましょう。

①株式譲渡の主なメリット

株式譲渡には、他の資金調達方法や事業戦略にはない特徴的なメリットがあります。

早期の現金化が可能 最も大きなメリットは、株式公開(IPO)と比較して早期に現金を手に入れることができる点です。IPOには長期間の準備期間と複雑な手続きが必要ですが、株式譲渡は相手企業との交渉がまとまれば比較的短期間で現金を得ることができます。 手続きの簡素化 株式公開の場合、証券取引所への上場手続き、投資家への説明、監査法人との調整など、多くの関係者との複雑な手続きが必要です。しかし、株式譲渡は特定の相手との取引のため、手続きが比較的シンプルで、経営者の負担も軽減されます。 事業の発展可能性 自分たちの経営では限界を感じている事業でも、適切な買い手企業に売却することで、事業が大きく発展する可能性があります。買い手企業が持つ資金力、技術力、販売網などを活用することで、事業価値の向上が期待できます。

②株式譲渡のデメリットと注意点

一方で、株式譲渡にはいくつかのデメリットや注意すべき点もあります。

価格交渉での不利な立場 買い手企業との力関係によっては、価格交渉において不利な立場に置かれる可能性があります。特に、売り手側が資金繰りに困っている場合や、買い手が限られている場合は、本来の企業価値よりも安い価格での売却を余儀なくされることがあります。 経営者の心理的影響 事業を売却した後で、自分の生きがいを失ったと感じる経営者は少なくありません。長年情熱を注いできた事業を手放すことは、経営者にとって大きな心理的影響を与える可能性があります。

③成功する株式譲渡のための準備

株式譲渡を成功させるためには、適切な準備が不可欠です。

企業価値の正確な把握 まず重要なのは、自分の会社がどれくらいの価値があるのかを正確に把握することです。企業価値の算定方法には、会社の資産をベースにした方法、類似会社の株価を参考にした方法、将来のキャッシュフローを基にした方法などがあります。 戦略的なタイミングの選択 株式譲渡のタイミングも重要な要素です。業界の動向、会社の業績、市場環境などを総合的に考慮し、最も有利なタイミングで売却することが成功の鍵となります。

株式譲渡を実務で活かす方法 - 具体的な活用シーンと実践ポイント

株式譲渡は、さまざまな場面で活用される重要な手法です。実務での具体的な活用方法と成功のポイントを見ていきましょう。

①事業承継における株式譲渡の活用

中小企業の事業承継において、株式譲渡は重要な選択肢の一つです。

後継者が見つからない場合や、後継者に事業を引き継ぐ資金力がない場合、第三者への株式譲渡により事業の継続を図ることができます。特に、従業員の雇用維持や取引先との関係継続を重視する場合、適切な買い手企業を見つけることで、関係者全員にとって良い結果をもたらすことが可能です。

また、相続税対策としても株式譲渡は有効です。株式を現金化することで、相続時の税務負担を軽減し、相続人間での財産分割もスムーズに行うことができます。

②成長戦略としての株式譲渡

急速な成長を目指すスタートアップ企業にとって、株式譲渡は重要な戦略オプションです。

自社だけでは難しい市場拡大や技術開発を、大手企業の傘下に入ることで実現することができます。特に、グローバル展開を目指す場合や、大規模な設備投資が必要な場合は、資本力のある企業との統合により、事業の飛躍的な発展が期待できます。

また、創業者が新しい事業分野に挑戦したい場合、現在の事業を売却することで必要な資金を調達し、次のチャレンジに向けた準備を整えることができます。

③株式譲渡を成功させる実践的なポイント

株式譲渡を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

専門家との連携 株式譲渡は複雑な手続きを伴うため、公認会計士、税理士、弁護士、M&Aアドバイザーなどの専門家と連携することが重要です。企業価値の算定から契約書の作成、税務処理まで、専門的な知識とスキルが必要となります。 買い手企業の選定 単に高い価格を提示する企業を選ぶのではなく、事業の将来性、従業員の処遇、企業文化の相性などを総合的に評価して買い手企業を選定することが大切です。 情報開示の戦略 買い手企業に対する情報開示は、株式譲渡の成功を左右する重要な要素です。企業の魅力を最大限に伝えながら、リスク要因についても適切に説明することで、信頼関係を築き、適正な価格での売却を実現することができます。

参考ページ

MBA経営辞書「株式譲渡」

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