※この記事は日本経済新聞2013年12月18日に掲載されたものです。
これまで22回にわたって若手のビジネスリーダーに求められる能力について議論してきました。「イシューをおさえる」「イシューに答えるための柱を立てる」という論理的思考の話に始まり、「数字の分析」「わかりやすい伝え方、プレゼンテーション」「こと(仕事そのもの)を動かすための自らのパワーの基盤を作る」「キャリアの考え方」「志」と、様々な切り口を提示しました。
これらの話は全て良いビジネスを行い、そして、良い人生を送るための「能力開発=自己成長」の方向性と言えます。そこで、最終回の今日はこの能力開発に取り組んでいく上での心構えを述べていきます。
【ベスト】
自己成長とは今の自分以上の自分になるということ。その意味からは、「今」は常にベストの力を出し切っている状態であることが能力開発の前提となります。余力を残しながら仕事をしていても成長は加速しないことを強く認識すべきです。
【ロールモデル】
自分が目指す姿をイメージでき、その人と差を実感できればおのずと謙虚になり、能力開発にもまい進できます。ありたい姿と自分の現在の実力を直視するために、多くの人に実際に会う努力をし、自分の中でロールモデルを持つようにしましょう。
誰か一人を唯一のモデルにするより、いくつかの側面に分け複数のモデルを設定します。
【メンター】
第三者の立場からアドバイスしてくれるメンターを持ちましょう。精神的な安定を保つ、自分を律する、能力開発を促進する、などのために、とても大切です。意図を持ってメンターを作ることが大切です。
【振り返る】
自らの成長を確認するためにも、定期的に自分自身を振り返る時間を持ったり、それを言葉にする習慣を持ったりすることが重要です。忙しく仕事にまい進すればするほど、冷静に自分自身のことを振り返ることが難しくなります。
【学ぶ姿勢】
仕事から学びを得ることはとても大切かつ基本です。しかし、仕事以外のことからも色々なことを学ぶべきです。
ビジネススクールに通う、研修に参加する、本を読む、講演を聞きに行く、旅行に出る、おいしいものを食べる、コンサートに行く、演劇をみる、運動をする、創作活動や勝負事に参加してみる――。何からでも、どこからでも学べるというマインドを持つことが大切です。
時代の変化は速さを増しています。今日までの自分では通用しない明日が来る可能性があります。このような時代において、最も大切なことは、全力で能力開発をし続け、自らが進化し続けることです。
時代の変化を感じながら、自分のことをしっかりと振り返りましょう。ぜひ、「一体、自分は何者で、自分は何が好きで、自分は何をするとわくわくして、今、この瞬間何をすべきで、自分は何をこの人生で成し得たいのか? どう生きていきたいのか? そして最終的にこの世の中にどんな価値を還元したいのか?」を考え、自己成長を着実にとげながら自身のやりたいことを見つけていってほしいと思います。
連載にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。ここで書いたことが、若手リーダーの皆さんに少しでも役に立つ部分があったとしたら、これ以上の喜びはありません。
(Cover photo: shutterstock / Ismagilov)