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<「東の食の実行会議」開催レポート>「新しい東北」に向けたリーダーたちの取組が始動する

投稿日:2014/08/07更新日:2019/08/15

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2014年7月18日−19日の2日間、仙台市内のホールに、生産者・経済人・政治家・NPO関係者ら復興のキーパーソンたち150名が集結。第1回となる「東の食の実行会議」が開催された。

実行委員である高島宏平氏(オイシックス株式会社 代表取締役社長)、宮城治男氏(ETIC.代表理事)、津田大介氏(ジャーナリスト)、川邊健太郎氏(ヤフー株式会社 取締役副社長最高執行責任者)ら12名が、復興大臣政務官である小泉進次郎氏と共に、東北の食の産業復興をさらに促進するべく力を結集した。2日間の模様をレポートする。

「規模ではなくストーリー」 (ローソン新浪氏)、「東北に生まれる新たな行政の形」 (小泉進次郎氏)

初日のパネルディスカッション「東の食の骨太な復興戦略」で、ローソンの新浪剛史氏は「我々が求めているのは、地域のストーリー」と述べ、「コンビニエンスストアでの取扱というと、規模が必要と思われがち。しかし大事なのは、規模ではなく面白さ。地元の人が当たり前だと思っていることにこそ、面白さがある。地域ならではの魅力を発見するために、生産者の皆さんは外の世界に出て、いろいろなものを見てほしい」と会場の生産者たちに語った。

小泉進次郎氏は「東北を回って、あちこちで海鮮丼を食べる機会があるが、その土地でしか食べられないものと、そうでないものがある。宮城県・女川の女川丼は、ものすごい量の海鮮が載っていて、女川ならではのブランドを確立している。『被災地』という下駄は、長くは続かない。本当においしいから食べよう。本当に良い会社だから取引をしよう。本当に良いものだから買おう。そうならなければ、本当の復興はない」と訴えた。

小泉氏はさらに「つくり手と売り手、企業と行政の新たな連携が生まれる中で、地方行政と中央行政のあり方も変わりつつある」として「震災後、霞が関の若手官僚らが被災地の行政に出向している。財務省の嶋田賢和氏は28歳で釜石市役所に出向し、副市長となった。「国の仕組みがわかる人間が、地域で活躍することで『新たな行政』の形が生まれつつあるのではないか」と話した。

日本一、若手の多い漁師町をつくりたい

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東の食の復興プレゼンリレーでは、13名の生産者や支援団体が復興に向けた取組みを発表。宮城県石巻市十三浜で牡蠣の養殖を行なう漁業生産組合浜人の阿部勝太氏は「十三浜を、日本一若手が多い漁師町にしたい」と語った。「日本の漁業が抱えている後継者育成問題を解決するためには、僕たち生産者が前に出ることだと思います。こんな生産者がいるよって、見てもらうことが大事」と述べ、若手生産者主導で漁業を活性化していく決意を語った。

岩手県釜石市でホタテの養殖販売を営む有限会社ヤマキイチ商店の君ヶ洞剛一氏は「利益率を確保して事業を経営していくことが、水産業にとって重要」と話した。

東北から世界へ 〜東北から生まれる新たな農業の形〜

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2日目に行われた「先導モデル視察」プログラムでは、農業生産法人 株式会社GRA、株式会社みちさきの2社を視察。GRAは、震災で人口の4%が失われた宮城県亘理郡山元町で、2011年7月に創業された。一粒1000円のミガキイチゴは都内百貨店で飛ぶように売れ、中東やインドにも進出している。イチゴづくり名人の匠の技を形式知化し、生産・品質の安定化と規模化を実現しているICT農業の先端事例である。

パネルディスカッション「東の食のデザイン 〜地域再生におけるクリエイティブの可能性〜」に登壇した工業デザイナーの奥山清行氏は「自分は山形の兼業農家の息子。後を継ぎたいと思うには、農業がカッコよくなければいけない」として、自身がデザインしたヤンマーのフェラーリトラクターを例に挙げた。そして「台湾の農家では、田植えや稲刈りを外部に委託している。一から十まで自分たちでやる必要はない。社外のネットワークをガンガンつくって、プロフェッショナルを巻き込んでいくことが、これからの農業に必要ではないか」と話した。

議論から行動へ 〜アクションが新しい東北をつくり、日本を変える〜

「東の食の実行会議」では、参加者ひとりひとりが主役であり、発言とコミットメントを求められる。参加者は「東北の食」に関わり、誰よりもその魅力を知ると共に、日々問題に直面し、変革に取り組む当事者でもある。

最終日のグループディスカッションでは、「物流」「販売」「ブランディング」「資金調達」など11の課題別テーブルに分かれ、具体的なアクションプランの策定・発表が行われた。「来月までに、○社と△社と手を組み、これをやります」——日本を代表する企業や生産現場のキーパーソンたちが、事業内容と期限を明確にしたプランを発表し、コミットする。理念だけでもなく営利だけでもない、それぞれの立場から、持続可能性を踏まえた具体的でプランが生まれた。

「復興のために建設的な議論を」「自社の利益や競合関係を超えて」「持続的アクションにつながる議論を」——実行委員が掲げた3つのルールにのっとり、企業や行政のセクターを超えた連携が進み、ひとりひとりがアクションに移すことで、新たな農業や水産業が、そして行政のモデルが、東北から生まれていく。

次号では、実行委員長であるオイシックス高島宏平氏に「東の食の実行会議」開催に込めた思いを聞く。

※この記事は、「Japan In-Depth」に掲載された内容を一部加筆の上再掲載したものです。(元記事はこちら)

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