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連結財務諸表とは?企業グループ全体の実力を見抜く財務の最重要ツール

投稿日:2025/09/24更新日:2025/09/24タイマーのアイコン 読了時間 6分

連結財務諸表とは、親会社と子会社など企業グループ全体を1つの会社と見なして作成する財務諸表です。グロービス経営大学院の教員が執筆した記事をもとに解説します。

連結財務諸表とは

連結財務諸表とは、親会社と子会社など支配従属関係にある複数の企業からなる企業グループを、あたかも一つの会社であるかのように見なして作成する財務諸表のことです。

現代のビジネスでは、多くの企業が関連会社や子会社を持ち、グループ全体で事業を展開しています。このような企業グループの財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況を総合的に把握するために、連結財務諸表が作成されます。

連結財務諸表を作成するプロセスは「連結決算」や「連結会計」と呼ばれ、企業の決算発表や有価証券報告書の多くは、この連結財務諸表に基づいた情報を主体として行われています。投資家や債権者、その他のステークホルダーにとって、企業グループ全体の実態を理解するための重要な情報源となっています。

なぜ連結財務諸表が重要なのか - 企業の真の姿を見抜く必須ツール

連結財務諸表の重要性は、現代の企業経営の複雑さと密接に関係しています。特に持株会社化が進む現代において、その必要性はますます高まっています。

①企業グループの実態把握に欠かせない情報源

最近の企業組織の傾向として、持株会社化が挙げられます。持株会社である親会社は、子会社の管理が主たる事業となるため、親会社の主な資産は子会社株式、そして主な収益は子会社からの受取配当金となります。

このような構造の中で、親会社の財務諸表だけを見ても、親会社が子会社を通じて行っている事業活動の詳細を把握することはできません。例えば、親会社の売上が少なくても、子会社が大きな売上を上げているかもしれません。逆に、親会社の業績が良好でも、子会社で大きな損失が発生している可能性もあります。

②経営判断の精度向上に貢献

企業グループには業績の好調な会社もあれば、業績不振の会社も存在し得ます。親会社の経営陣は、グループ全体として事業ポートフォリオや経営資源の配分を考える必要があります。

このような経営判断を行うためには、個社別の情報だけでなく、グループ全体での業績評価が重要になります。連結財務諸表があることで、経営陣は企業グループ全体の事業活動の実態を適切に把握し、より精度の高い経営判断を行うことができるのです。

連結財務諸表の詳しい解説 - 知っておきたい仕組みと特徴

連結財務諸表の理解を深めるためには、どの会社が連結対象となるのか、そしてその判定基準について知っておく必要があります。

①連結対象の判定基準と実質的支配の考え方

連結財務諸表には、すべてのグループ会社が取り込まれているわけではありません。基本的には以下のような区分で判定されます。

議決権比率による基本的な分類

  • 議決権の過半数を持つ場合:原則として連結対象
  • 議決権の20%以上50%以下:持分法適用会社
  • 議決権の20%未満:その他有価証券等

ただし、議決権の過半数を持つ子会社であっても、支配が一時的である場合や小規模子会社などは連結の対象外とすることができます。また、持分法は簡便的な連結手続きとして位置づけられており、原則的な連結手続きに比べて開示される情報は限定されます。

②形式基準から実質基準への変化

重要なポイントは、連結対象とするか否かの判定が、議決権比率等の「形式的」な基準ではなく、「実質的」に親会社に支配されているか否かの観点から行われることです。

例えば、親会社の議決権比率が50%以下であっても、以下のような場合は連結対象と判定されます。

  • 緊密な関係者と合わせて過半数の議決権を持っている場合
  • 人事、資金、技術、取引等を通じて親会社が実質的に支配していると認められる場合

この実質基準の採用には歴史的な背景があります。過去に形式要件を利用して業績の悪い子会社を連結対象外とし、連結財務諸表の業績を実際よりも良く見せるといった会計不正が発生したため、より実態を反映する実質的な判定基準に会計ルールが改正されたのです。

③連結財務諸表と個別財務諸表の役割分担

連結財務諸表の重要性を理解すると、個別の財務諸表は必要ないように思うかもしれませんが、そうではありません。配当金の支払いや税金の計算(連結納税制度を選択する場合を除く)などは、あくまでも会社単位で決定されるからです。

連結財務諸表と個別財務諸表は、それぞれ異なる役割を持っており、両方とも重要な情報を提供しています。連結財務諸表は企業グループ全体の経営実態を、個別財務諸表は各会社の法的・税務的な状況を示すという使い分けがなされています。

連結財務諸表を実務で活かす方法 - 投資判断と経営分析の強力な武器

連結財務諸表は、様々な場面で重要な判断材料として活用されています。その具体的な活用方法を理解することで、ビジネスパーソンとして必要なスキルを身につけることができます。

①投資判断における活用方法

投資家にとって連結財務諸表は、投資判断を行う上で欠かせない情報源です。株式投資を検討する際、個別の財務諸表だけでは企業の真の実力を把握することは困難です。

特に持株会社形態を取る企業の場合、親会社の財務諸表は主に子会社株式と配当収入で構成されているため、実際の事業活動の詳細が見えません。連結財務諸表を分析することで、企業グループ全体の売上高、利益率、資産効率性などを正確に把握し、より適切な投資判断を行うことができます。

また、競合他社との比較分析を行う際も、連結ベースでの比較が重要になります。同じ業界でも企業によってグループ構造が異なるため、連結財務諸表を基準として比較することで、より公平で意味のある分析が可能になります。

②経営管理と戦略立案での実践活用

企業の経営陣にとって、連結財務諸表は経営管理と戦略立案の重要なツールです。グループ全体の業績管理を行う際、各子会社の個別業績だけでなく、セグメント間の相互関係や内部取引の影響を含めた全体最適の観点が必要になります。

例えば、事業ポートフォリオの見直しを検討する際、連結財務諸表の情報を基に各事業セグメントの収益性や成長性を分析し、資源配分の最適化を図ることができます。また、M&Aや事業再編を検討する際も、連結後の財務影響をシミュレーションするために連結財務諸表の理解が不可欠です。

さらに、金融機関からの借入や社債発行などの資金調達を行う際、金融機関は連結ベースでの財務健全性を重視します。連結財務諸表を適切に管理し、健全な財務指標を維持することは、企業の資金調達コストの削減にもつながります。

参考ページ

連結財務諸表ってどういうもの?

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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