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コストプラス・プライシングとは?建設業界やシステム開発で使われる価格設定の仕組みを分かりやすく解説

投稿日:2025/07/23タイマーのアイコン 読了時間 5分

コストプラス・プライシングとは

コストプラス・プライシングとは、実際にかかったコストに一定の利益を上乗せして価格を算出する方法です。 「原価志向の価格設定手法」の一つとして位置づけられており、英語では「cost-plus pricing」と表記されます。

この手法は、売買契約は成立しているものの、事前にコストがはっきりしない場合などに多用されます。 たとえば、建設業界やシステム開発業界では、プロジェクトの規模や複雑さによって実際のコストが予想と大きく異なることが多いため、コストプラス・プライシングがよく採用されています。

なぜコストプラス・プライシングが重要なのか - 不確実性の高いビジネスでの価格設定の必要性

コストプラス・プライシングが重要な理由は、不確実性の高いビジネス環境において、売り手と買い手の双方にとって公平で透明性のある価格設定を可能にするからです。

①事前にコストが見えない場合の解決策

多くのビジネスでは、プロジェクトの開始前に正確なコストを見積もることが困難です。 特に建設業界では、地質条件や天候、資材価格の変動など、予期しない要因によってコストが変動します。 システム開発においても、要件の変更や技術的な課題により、当初の見積もりから大幅にコストが変わることがあります。

②リスクの公平な分担

固定価格での契約では、コストが予想を上回った場合、売り手がすべてのリスクを負うことになります。 しかし、コストプラス・プライシングでは、実際のコストに基づいて価格が決まるため、売り手と買い手の間でリスクを公平に分担できます。

コストプラス・プライシングの詳しい解説 - メリット・デメリットと類似手法との比較

コストプラス・プライシングには、利点と課題の両方があります。 また、類似する手法であるマークアップ・プライシングとの違いも理解しておくことが重要です。

①コストプラス・プライシングのメリット

最大のメリットは、透明性の高い価格設定ができることです。 買い手にとって、実際にかかったコストと利益の内訳が明確になるため、価格の妥当性を判断しやすくなります。 また、売り手にとっても、コストが予想を上回った場合に損失を被るリスクを避けることができます。

さらに、複雑なプロジェクトや長期間にわたる契約において、柔軟な対応が可能になります。 仕様の変更や追加要求があった場合でも、その分のコストを適切に価格に反映できるため、プロジェクトの継続性が保たれます。

②コストプラス・プライシングのデメリット

一方で、この手法には重要な問題があります。 最も大きな課題は、売り手側にコストダウンの意識が働かないことです。 なぜなら、コストが高くなっても、その分だけ価格も上がるため、売り手にとっては収益が確保されるからです。

また、売り手が買い手に対して強い交渉力を持っている場合、余分にかかったコストを転嫁しようとする可能性があります。 これにより、買い手は予想以上の支払いを求められることがあります。

③マークアップ・プライシングとの違い

コストプラス・プライシングと類似する手法として、マークアップ・プライシングがあります。 これは、仕入原価に一定のマークアップ(上乗せ)を行って価格を算出する方法で、主に流通業で用いられています。

マークアップ・プライシングは、一種のコストプラス・プライシングと考えられますが、より標準化された手法です。 マークアップの度合いは、その製品の特性によって大きく左右されます。 たとえば、食品のようなコモディティは利幅が薄く設定される一方、宝飾品のような高級品は50%以上の利幅が設定されることが多いです。

コストプラス・プライシングを実務で活かす方法 - 効果的な運用のポイントと注意点

コストプラス・プライシングを実務で効果的に活用するためには、適切な運用方法と注意点を理解することが重要です。

①建設業界での活用例

建設業界では、コストプラス・プライシングが広く活用されています。 特に、大規模な公共工事特殊な技術を要する建設プロジェクトでは、事前にコストを正確に見積もることが困難なため、この手法が採用されます。

実際の運用では、定期的なコスト報告と監査が重要になります。 買い手側は、コストの妥当性を確認するために、専門的な知識を持つ監査員を配置することが一般的です。 また、コストカテゴリーを明確に定義し、何が対象コストに含まれるかを契約時に明確にしておくことが必要です。

②システム開発での実践的なアプローチ

システム開発の現場では、アジャイル開発などの手法と組み合わせてコストプラス・プライシングが活用されています。 開発の進捗に応じて要件が変更されることが多いため、固定価格での契約は現実的ではありません。

効果的な運用のためには、開発チームの時間単価実際の作業時間を正確に記録することが重要です。 また、定期的なレビューを行い、プロジェクトの進捗とコストの関係を買い手と共有することで、透明性を保つことができます。

③買い手側の対策とリスク管理

買い手としては、コストプラス・プライシングを採用する際に、いくつかの対策を講じる必要があります。 最も重要なのは、支払額の上限を設定することです。 これにより、予想を大幅に上回るコストが発生した場合でも、支払い額をコントロールできます。

また、定期的な進捗報告コスト監査を契約条件に含めることで、コストの透明性を確保できます。 さらに、売り手にコストダウンのインセンティブを与えるために、節約分の一部を売り手に還元する仕組みを設けることも効果的です。

参考ページ

MBA経営辞書「コストプラス・プライシング」

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