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自社株買いとは?企業が株主に愛される理由と株価への驚きの影響力

投稿日:2025/07/12更新日:2025/08/08タイマーのアイコン 読了時間 5分

自社株買いとは、企業が市場で自社株式を買い戻すことで、株主還元や株価向上を狙う手法です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

自社株買いとは

自社株買い(Stock repurchase)とは、企業が市場に出回っている自社の株式を、キャッシュを使って買い戻すことです。日本では1994年に解禁され、今では多くの企業が株主還元の手段として活用しています。

簡単に言えば、企業が「自分の会社の株を買い戻します」と宣言して、実際に市場で自社株を購入する行為のことです。買い戻された株式は通常、消却されるか金庫株として保有されます。これにより、市場に流通する株式数が減少し、1株あたりの価値が高まる効果が期待されます。

なぜ自社株買いが重要なのか - 現代企業の必須戦略となった背景

自社株買いが重要視される理由は、企業が株主に利益を還元する新しい選択肢として機能するからです。従来は配当金の支払いが主な還元方法でしたが、自社株買いという手段が加わることで、企業はより柔軟な株主還元戦略を立てられるようになりました。

①株主還元の選択肢が広がった意味

配当政策と自社株買いを合わせて「利益還元政策」と呼ばれるようになった現在、企業は状況に応じて最適な還元方法を選べます。例えば、将来の業績に不安がある場合は一時的な自社株買いを選択し、安定的な利益が見込める場合は継続的な配当を維持するといった使い分けが可能です。

②市場からの注目度が高まる効果

自社株買いを発表すると、多くの場合、株価にポジティブな影響を与えます。これは投資家が「企業が自社の株式を割安だと判断している」「将来の業績に自信がある」といったメッセージを読み取るためです。このシグナリング効果により、企業は市場との対話における重要なツールとして自社株買いを活用できます。

自社株買いの詳しい解説 - 配当との違いと株価への影響メカニズム

自社株買いを深く理解するためには、配当政策との比較や、株価に与える影響のメカニズムを知ることが大切です。理論的には企業価値に中立とされていますが、実際の市場では様々な要因が複雑に絡み合って株価に影響を与えています。

①配当金との根本的な違いとは

配当金は全株主に平等に現金が支払われる仕組みですが、自社株買いでは株主が売却を選択した場合にのみ現金を受け取れます。つまり、配当は「プッシュ型」の還元であり、自社株買いは「プル型」の還元と言えるでしょう。

また、税務上の扱いも異なります。配当金は受け取った時点で課税されますが、自社株買いによる利益は株式を売却して初めて課税対象となります。この違いにより、株主は自分の税務戦略に合わせて売却のタイミングを選べるというメリットがあります。

②株価上昇につながる3つのメカニズム

自社株買いが株価に与える影響には、複数のメカニズムが働いています。まず「需給の改善」効果があります。市場での買い注文が増えることで、短期的に株価上昇圧力が生まれます。

次に「1株あたり利益の向上」効果です。発行済み株式数が減ることで、同じ利益でも1株あたりの利益(EPS)が改善し、株式の理論価値が高まります。

そして最も重要なのが「シグナリング効果」です。経営陣が自社株を買い戻すということは、現在の株価が企業の真の価値より低いと判断していることを意味します。これは市場に対する強力なメッセージとなり、投資家の信頼を高める効果があります。

③MM理論と現実市場のギャップ

モジリアーニ・ミラー理論(MM理論)では、完全市場を前提として自社株買いは企業価値に中立とされています。しかし現実の市場では、情報の非対称性や投資家心理、税制の違いなどにより、自社株買いは明確に株価に影響を与えます。

企業経営者はこの理論と現実のギャップを理解し、市場の反応を予測しながら自社株買いの実施を判断する必要があります。単に余剰資金があるからという理由だけでなく、市場へのメッセージや株主価値向上への影響を総合的に考慮することが重要です。

自社株買いを実務で活かす方法 - 効果的な実施タイミングと注意点

自社株買いを成功させるためには、適切なタイミングでの実施と、市場とのコミュニケーションが不可欠です。実際のビジネス現場では、様々な要因を考慮しながら戦略的に実施されています。

①効果的な実施タイミングを見極める

自社株買いの効果を最大化するためには、タイミングが極めて重要です。一般的に効果的とされるのは、株価が企業の真の価値より低く評価されている時期です。この判断には、同業他社との株価比較や、将来キャッシュフローの予測などが活用されます。

また、余剰資金が豊富にある時期や、大型の設備投資が一段落した時期も適切なタイミングと言えるでしょう。ただし、業績が悪化している時期の自社株買いは、市場から「資金の無駄遣い」と受け取られる可能性があるため注意が必要です。

②市場とのコミュニケーション戦略

自社株買いの発表時には、その理由と期待される効果を明確に市場に伝えることが大切です。「株価が割安だと判断している」「株主還元を強化する」「資本効率を向上させる」など、具体的なメッセージを発信することで、投資家の理解と支持を得やすくなります。

実施規模や期間についても、現実的で達成可能な計画を示すことが重要です。過度に楽観的な計画を発表して実現できない場合、市場からの信頼を失う可能性があります。継続的な情報開示を通じて、透明性の高いコミュニケーションを心がけることが、自社株買いの成功につながります。

参考ページ

MBA経営辞書「自社株買い」

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