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マズローの欲求5段階説とは?部下のやる気を引き出すリーダーが知っておきたい心理学の基本

投稿日:2025/10/07更新日:2025/12/01タイマーのアイコン 読了時間 8分

マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5つの階層に分け、段階的に満たされていくとする動機づけ理論です。グロービス経営大学院の教員・研究員が執筆した記事をもとに解説します。

マズローの欲求5段階説とは

マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズロー(Abraham Maslow)が1943年に提唱した、人間の欲求を5つの階層に分けて説明した理論です。

この理論では、人間の欲求は「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」の5段階にわかれており、下位の欲求が満たされると、より上位の欲求を求めるようになると説明されています。

現在でも組織マネジメントや人事管理、マーケティングなど幅広い分野で活用されており、特に部下への動機付けや組織運営において重要な指針となる理論として多くの経営者やリーダーに支持されています。

なぜマズローの欲求5段階説が重要なのか - チームを動かす力を身につける

①人間の行動原理が理解できる

マズローの欲求5段階説を学ぶことで、人がなぜその行動を取るのか、何に対してやる気を感じるのかという根本的な理由を理解できるようになります。これは、チームのメンバーそれぞれが今どの段階の欲求を持っているのかを把握し、適切なアプローチを取るために欠かせない知識です。

例えば、新入社員が仕事に集中できないとき、その原因が給与や職場環境といった基本的な欲求にあるのか、それとも仲間との関係性や認められたいという気持ちにあるのかを見極めることができれば、より効果的な解決策を提案できるでしょう。

②組織全体のモチベーション向上につながる

この理論を組織運営に活かすことで、メンバー一人ひとりの状況に応じた動機付けが可能になります。画一的な報酬制度や評価システムではなく、個々の欲求段階に合わせたアプローチを取ることで、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。

さらに、チーム内でのコミュニケーションも円滑になり、メンバー同士が互いの状況を理解し合えるようになるため、より協力的で生産性の高い組織文化を築くことができるのです。

マズローの欲求5段階説の詳しい解説 - 各段階の特徴と具体例を知る

①第1段階:生理的欲求 - 生きるために必要な基本的欲求

生理的欲求は、人間が生存するために不可欠な最も基本的な欲求です。食事、睡眠、呼吸、排泄、性的欲求などがこれに含まれます。

ビジネスの場面では、適切な給与や労働環境、休憩時間の確保などがこの欲求を満たすものとして考えられます。この段階の欲求が満たされていない場合、他の欲求について考える余裕がなくなり、仕事への集中力や創造性が著しく低下します。

現代の日本企業では、この段階はほぼ満たされているケースが多いものの、過度な労働時間や劣悪な職場環境がある場合は、依然として重要な課題となります。

②第2段階:安全の欲求 - 安心・安定を求める欲求

安全の欲求は、身体的・精神的な安全性や安定性を求める欲求です。身の危険から守られたい、経済的に安定したい、予測可能な環境にいたいという気持ちがこれに当たります。

職場においては、雇用の安定、明確な就業規則、安全な労働環境、公平な人事制度などがこの欲求を満たします。また、将来への不安を取り除くキャリアパスの明示や、スキルアップの機会提供も重要な要素となります。

特に変化の激しい現代のビジネス環境において、メンバーの安全欲求を満たすことは、組織への信頼感や安心感を高め、長期的な関係性を築く基盤となります。

③第3段階:所属と愛の欲求 - つながりを求める社会的欲求

所属と愛の欲求は、他者との関係性や帰属意識を求める欲求です。愛情、友情、仲間意識、チームへの帰属感などがこれに含まれます。

職場では、良好な人間関係、チームワーク、企業文化への共感、社内コミュニケーションの活性化などがこの欲求を満たします。リモートワークが普及した現在では、オンライン上でも繋がりを感じられる仕組みづくりが特に重要になっています。

この段階の欲求が満たされないと、孤立感や疎外感を感じ、組織へのコミットメントが低下したり、離職率が高まったりする可能性があります。

④第4段階:承認の欲求 - 認められたいという欲求

承認の欲求は、他者から認められたい、尊敬されたいという欲求です。この欲求はさらに「他者からの承認」と「自己承認」の二つに分けることができます。

職場においては、適切な評価制度、昇進・昇格の機会、表彰制度、責任のある仕事の委任、専門性の認知などがこの欲求を満たします。単に「お疲れさま」と声をかけるだけでも、相手の承認欲求を満たすことができる場合があります。

現代のビジネスパーソンの多くが、この段階の欲求を強く持っていると言われており、マネジメントにおいて特に注意深く対応すべき領域です。

⑤第5段階:自己実現の欲求 - 自分らしさを追求する最高次欲求

自己実現の欲求は、自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮し、理想の自分になりたいという欲求です。創造性、成長、学習、自己表現などがこれに含まれます。

職場では、挑戦的なプロジェクトへの参加、新しいスキルの習得機会、創造的な業務、自分なりの働き方の実現、社会貢献につながる仕事などがこの欲求を満たします。

この段階に到達したメンバーは、内発的なモチベーションが高く、組織にとって非常に価値のある存在となります。ただし、この欲求は他の4段階とは性質が異なり、満たされても消えることがない「成長欲求」として位置づけられています。

マズローの欲求5段階説を実務で活かす方法 - 効果的なチーム運営のために

①個別面談での活用 - メンバーの状況を的確に把握する

定期的な個別面談において、マズローの5段階を参考にしながらメンバーの現在の状況や関心事を把握することができます。

例えば、新入社員であれば安全欲求(雇用の安定や職場環境)や所属欲求(チームへの適応)に重点を置いた質問をし、ベテラン社員であれば承認欲求(適切な評価)や自己実現欲求(新しい挑戦)について深く話し合うことができます。

質問例として「今の仕事で一番気になることは何ですか?」「どんなときにやりがいを感じますか?」「今後どのような経験を積みたいですか?」などを段階別に準備しておくと効果的です。

②組織制度設計への応用 - 多様な欲求に応える仕組みづくり

マズローの理論を基に、組織の制度や仕組みを設計することで、より効果的な人事施策を展開できます。

生理的欲求と安全欲求に対しては、適切な給与体系、福利厚生、労働安全衛生の徹底を。所属欲求に対しては、チームビルディング活動、社内イベント、メンター制度を。承認欲求に対しては、多面的な評価制度、表彰プログラム、キャリア開発支援を。そして自己実現欲求に対しては、社内公募制、副業許可、学習支援制度などを整備することが考えられます。

重要なのは、すべてのメンバーが同じ段階にいるわけではないため、多様な選択肢を用意し、個々の状況に応じてカスタマイズできる柔軟性を持たせることです。

③チーム内コミュニケーションの改善 - 相互理解を深める

チームミーティングや日常のコミュニケーションにおいても、この理論を意識することで、より良い関係性を築くことができます。

例えば、プロジェクトの進捗が思わしくないメンバーがいる場合、単に「がんばって」と励ますのではなく、その人が今どの段階の欲求を持っているかを考えてみましょう。安全欲求が満たされていないなら具体的なサポート方法を提示し、承認欲求が強いなら小さな成果でも積極的に評価することが効果的です。

また、チーム全体で欲求段階について学ぶ機会を設けることで、メンバー同士がお互いの状況を理解し、支え合える関係性を構築することも可能です。

参考ページ

マズローの欲求5段階説とは?【特選!グロ―ビス学び放題】

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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