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コーヒー豆と水筒が手を組んだ!キーコーヒー+サーモスの場合

投稿日:2011/04/15更新日:2019/04/09

水道男子、山ガール狙うマイボトル+水出しコーヒー

記事のタイトルは「キーコーヒー、水筒のサーモスと販促、水出しコーヒー、1500店舗に専用陳列棚」だ。1500店舗とは結構な規模であるが、総合スーパーや食品スーパー、コンビニエンスストアなど流通15社の全国店舗に展開するというから業態も幅広い。

キーコーヒーの商品はキーコーヒーの「マイボトルで作ろう!水出しコーヒー」というコーヒー豆というか、ひいた豆をフィルターに入れた「ティーバッグのコーヒー版」。それをサーモスの「真空断熱ケータイマグ」と組み合わせて売るのだ。組み合わせの妙は、水筒に冷水とコーヒーバッグを入れると約2時間でアイスコーヒーが出来上がること。両商品とコーヒーの作り方・飲み方の冊子を組み合わせて展示できる専用什器を作って店頭に陳列するという。

商品の概要をもう少し詳しくみてみよう。キーコーヒー公式ブログによると、朝起きたらボトルにお水とコーヒーバックを入れるだけで、会社に着いたらコーヒーができているというお手軽さ。コーヒーバッグは特殊フィルターを使っているので、ボトルを振ることで濃さを調節できますといい、1バック約70円と、とっても経済的でECOな商品ですと値ごろ感もある。

この「水出しコーヒー」の市場はかなりの成長市場のようだ。記事にあるキーコーヒーのコメントによれば、「市場規模は5年前から毎年2桁の伸びで2010年は30%増」だという。今どき30%増とはうらやましい限りだが、確かにその流れはある。エコロジーの高まりを受けて、環境に優しいマイボトルを持ち歩く「水筒男子」が登場。世界的な不況の影響で、お財布にもやさしく水道水を家庭で浄水して持ち歩く「水道男子」も登場した。女子の間でも「釣りガール」「山ガール」などアウトドア志向が強まっている。

しかし、水道水では味気ない。「水出しコーヒー」を自分で作って持ち歩けば、カフェに入るよりずっと安く済むというニーズを持った消費者も増えているのだろう。飲料市場で考えれば、缶コーヒーは固定ファンがいるものの、緑茶飲料は「自分で淹れる派」の増加に伴って縮小が続いている。

クロスマーチャンダイジングで棚をとる

今回の、コーヒーバッグ+水筒=持ち歩ける水出しコーヒーのような展開を「クロスマーチャンダイジング(CrossMerchandising)」という。商品カテゴリを超えて関連商品を1つの売り場・コーナーに展示することで販売相乗効果を上げる手法だ。苺とコンデンスミルク。ほうれんそうの横にごま和えのもと。買い手の立場に立てば、一度に商品揃って手間もかからず買い忘れも防げる。また、新たな使い方を知ることもできる。

両社はクロスマーチャンダイジングによって「流通業が(消費者からの)値下げ圧力に苦しむなか、コーヒーバックと水筒の組み合わせ販売により販売点数を増やせることや、商品の魅力向上で価格競争になりづらい売り場づくりができる」という提案をするという。

それには各社もウエルカムを示すだろう。売上=客数×客単価である。景気の回復がよちよち歩きのさなかに起きた震災で、消費は再び冷え込むことも予想される。客数を増やすことは容易ではない。しかし、「財布にやさしい」提案ができる組み合わせ商品で客単価を上げることができれば流通各社は乗ってくるに違いない。

提案が広がれば、両社にとって今までと異なる新たな販売ポイント、様々な企業がしのぎを削り喉から手が出るほど欲しがる「棚」が獲得できる。また、コンビニは水筒のサーモスにとっては従来全く接点のなかったチャネルだ。コーヒーバックはスターバックスがインスタントの棚を確保しているが、キーコーヒーも新たな棚を確保できる。

かつて、ハウス食品が「六甲のおいしい水」を発売した時のことだ。同社は飲料メーカーではなく食品メーカーだ。それ故、小売店の棚を確保することも困難なスタートを切った。そのため、主力商品のカレー売り場の横で「カレーと一緒に」とアピールしたり、ご飯を炊くための水として米売り場の横に置いたりと、徹底したクロスマーチャンダイジング策で普及を図って定番商品の座を獲得したのである。

勝ち残りたければ手を組んで1+1を2以上にする。そのために必要なのは、消費者にとってどのような価値を提供できるかと、流通チャネルがいかにいい商売をできるかという視点なのである。

  • 金森 努

    グロービス経営大学院 教員

    東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道四半世紀以上。コンサルティング事務所、広告を経て、2005年独立起業。 青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。著書「図解 よくわかるこれからのマーケティング」(同文舘出版)「”いま”をつかむマーケティング」(アニモ出版)。共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。監修「実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則」(TAC出版)。雑誌への連載、講演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。

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