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先輩経営者からのリアルな学びを成長に生かす~G-STARTUPがスタートアップにもたらす変革ーーG-STARTUP歴代優勝者鼎談 後編

投稿日:2025/06/13

グロービスのアクセラレータープログラム、G-STARTUPの第6回から第8回までで最優秀賞を獲得した3名の起業家、そしてG-STARTUP事務局長の田村菜津紀の4名で鼎談を実施。プログラムに参加したきっかけや参加したメリットを伺った前回に続き、プログラム期間中を振り返って得たもの、その後の事業成長について語り合いました。

*本記事は、2024年10月29日に実施されたインタビューをもとに編集しています。肩書きは当時のものになります。

G-STARTUPを経て得た変化と新たな視点

田村:G-STAを通して経営者としての目線が上がったり、成長されたりしている姿を垣間見ることができました。そんななかで、この1年、2年を振り返ってみて、経営者としてどんな変化があったでしょうか?

小田:同期とは、その後もずっとコミュニケーションをとっています。面白いプロダクトをやっていて尊敬できる人たちから調達周りなど相談を受けるようになり、いい意味でプレッシャーを感じます。今までは他の起業家を意識することはあまりなかったのですが、ライバル意識みたいなのが初めて生まれたかなというのはちょっと思います。

永原:同士であり、切磋琢磨できるライバルでもありということですよね。

小田:そうですね。

事務局:安藤さんはどうでしょうか。ご自身のマインドや行動の変化でも良いです。

安藤:マインドで言うと、覚悟みたいなものはできたと思います。ピッチで大口叩いて優勝したのに、事業が進んでいないと、「こんなものか」と思われてしまう。そういうものを背負ってしまいました。背負ってしまったといいましたが、会社としてはどんどん背負えるようになりたいので、そういう意味で視座は上がりました。

田村:安藤さんは、IVS(Infinity Ventures Summit:日本最大級のスタートアップのカンファレンス)のピッチでも優勝されてますが、すごい演者ですよね。

安藤:もともとは自分のできる範囲で、確実に期待値のちょっと上を行くタイプだったんです。これは誠実である一方で、覚悟がないからだとも言えます。

本当にイノベーションを起こしたかったら、先に法螺を吹いて、あとからそれを実現するスタイルも必要です。失敗するかもしれませんし、誰かに迷惑をかけてしまう可能性もありますが、本気で向き合っていれば、「ナイストライ」と言ってもらえるんだろうなと思えるようになりました。

ピッチコンテストやデモデイでも自信を持ってものを申せるようになり、大口を叩くことも、ある種の覚悟の示し方だと認識できたことが大きいと思います。

田村:では永原さんお願いします。

永原:目線が上がって、そこに対してどう実現していくのかという戦略やストーリーづくりに関して自信を持てるようになりました。

田村:戦略面のアドバイスを求められるようになったと聞いています。

永原:そうですね、10社くらいの方から相談を受けました。メンターの頼さん(当時UB Ventures)とのやりとりを経て、自分でもピッチを聞いて「どこをどう見せたら、より伝わるのか」みたいなのがある程度わかようになったのではないかと思います。私のほうも、いろんな方の話を深く聞かせてもらうことで引き出しが増えたりと勉強になっています。

優勝者たちが語る最も印象的な講座

田村:それぞれ最も印象に残った講座は?

永原:アンドパッドの稲田さん(代表取締役)です。アンドパッドさんは、創業当初は当社と同じ受託開発をされてました。そのなかで3社ぐらいから耳にした「スマホで現場の職人さんとやりとりをしたい」との声が今の事業の礎になったこと、また、シリーズAの調達後、シリーズBまでは1年で絶対やりきると決めて伸ばしていったお話などが心に残っています。

田村:「1年後」と明確に決めていましたよね。

永原:初速を重視し、最初の半年でかなりの数を売り上げ、その後は「1年で必ず決めた目標を達成する」とコミットして、実際に成し遂げたというお話からは強いスタートアップの組織力を感じました。

さらに事業のベースには「職人さんを大事にしたい」という思想があり、そのために「ユーザーである職人さん達がどれだけ触っているかというアクティブ率」をKPIにしていた点も印象的です。当時、KPIとしてそこを設定できる起業家が珍しかったそうで、今野さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)も驚いていた程です。

また、年間で何千回もの職人さんへの説明会を行っている話も印象的で、ユニークな会社を築くための戦略のヒントがたくさんありました。

当社も改めて、ユニークな会社にするための取り組みや中長期のKPIもしっかり追って成長していきたいと思いました。製造業と建築は違いますが、同じバーティカルSaaSとして、参考にさせてもらっています。

田村:安藤さんはどうでしょう。

安藤:ispaceの(代表取締役CEO)袴田さんのお話です。自分たちが全く認識していなかった戦い方があることに気づきました。

たとえばファイナンスに関して自分たちの頭には「VCさんとお話しする」ことしかなかったのですが、仲間に入れる人次第では違うゲームをすることができる、だったり。

事業についても、ピボットが当たり前の状況で、どういう心構えとビジョンを持てばいいのかとか。目の前の事業に粛々と取り組むだけではない、見せ方や伸ばし方があるんだといったことなどが目から鱗でした。

講義形式で公開されている内容をなぞるのは、ある意味いつでもできますが、アクセラだからこそ集められる人たちがいて、そういう人たちからオフレコ前提でないと聞けない情報があります。そこにはかなり価値があったと思います。

左から事務局田村、ネクスタ永原氏、RENATUS ROBOTICS安藤氏、AstroX小田氏

田村:袴田さんは組織の生々しい話など貴重な話をしてくださいましたね。小田さんはどうでしょうか。

小田:五常・アンド・カンパニーの慎さん(共同創業者 代表執行役CEO)です。一番印象に残っているのが、メンタル管理の話です。あの頃は100社ぐらい回っている時期で、1社リードが決まりかけていたのに通らなかったことがありました。

それで流石にしんどかったのですが、慎さんもプレAからAの時に100社ぐらい回ったことがあったようです。しんどいときの解決方法としては「100回『大丈夫』と言おう」といった根性論みたいなもので、それがめちゃめちゃ面白くて。しかも、それを教えてもらったのが、ユーグレナの永田さんだというのです。優秀な人たちでも落ち込むこともあるし、根性論で解決しているというのがこちらも励まされました。

さきほど、大口を叩けるようになったと言いましたが、「絶対できる」と思い込むと、その自信が周りに伝わると思います。自信がないと伝わらないので、自己暗示をかけていくのは大事だなと思いました。

3年後、5年後の事業ビジョンと求める人材

田村:3年後5年後にどんな経営者になって、どんな事業を創っていきたいかというビジョンと、どういう人材をとりたいかについてお聞かせください。

小田:弊社のビジョンは「宇宙開発で“Japan as No.1”を取り戻す」です。これは、日本はITでは世界と勝負できないと痛感してのことです。いまは宇宙開発という手法を取っていますが、新しい「産業」を立ち上げたいと思っているので、3年というよりも、5年、10年というスパンで、時価総額世界ランキングトップ20にまた日本の企業を戻したいという思いです。

採用でいうと、事業側もエンジニア側もどんどん採っていきたいです。事業側は優秀な人が集まってきている手ごたえがあります。エンジニア側は日本はそもそも母数が少ないので仕方ないのですがもっと来てほしいです。

田村:安藤さんは?

安藤:私も日本が世界で勝てるマーケットが指折り数えるほどしかない現状をネガティブに捉えています。そうしたなかで弊社は物流という切り口から製造業に入りました。

今は倉庫単体の自動化に着目していますが、倉庫間の輸送やラストワンマイルの配送など、まだまだ領域はあると思います。製造業という切り口で優位性を獲得して、業界の権威性をグローバルで高めて、次のバリューチェーンや業界に横展開するところに勝負を賭けていきたいと思っています。

ですので、採用に関してはグローバルに興味がある人を採りたいです。また、現在唯一自動化できていないピッキングのタスクを研究開発したいという人も探しています。

田村:一部開発の課題も少しありながら、基本は販売側で、米国での展開をサポートできるような人が必要と。どういった人が活躍しやすいですか?

安藤:自走できる人ですね。チームもありますが、それよりも今は個としてゴリゴリやれる人が活躍している感じです。

田村:では永原さんお願いします。

永原:弊社のミッションは「あらゆる製造業に、改善の『教科書』を。」と謳っていて、アナログの製造業にデータ経営をしてほしいという思いを強くもっています。3年後、5年後には他の企業が真似できないようなインパクトのあるプロダクトとサービスを提供したい。製造業がデータ経営をするようになれば国内市場だけでも十分にやっていけます。製造業の利益率を5%、10%上げて、従業員の年収を上げることができれば、日本経済にとってもプラスになります。1,000社が導入すれば業界で僕らが絶対的なインフラになるので、そこから1万社、数万社と広げていきたいと思っています。

そのため今は採用に一番力をいれてやっています。本当は今期は50名くらい採用したいのですが、まだ半ばです。優秀な人をどんどんとっていきたいです。

田村:永原さんのおっしゃる優秀な方とは?

永原:成長意欲があってインプットしながら自走できる人です。キーエンスと父の影響があり、仕組化と改善、共有のドキュメントまでしっかりやる会社なので、頭を使って改善をするのが好きな人はうちに来たら必ず伸びますよ。

G-STARTUP経験者から後輩へのメッセージ

田村:私たちはユニコーン100社という大きな目標を掲げていますが、本当に起業家のスタートアップエコシステムに還元できているのか? という議論をこの半年ぐらいずっと続けています。提供側として、もっといいものを届けたいと考えて今まさにプログラムを更に進化させていこうと思っているのですが、参加を検討している起業家には、今日のお三方のような、リーダーとしてこれからの日本を変えていく方の声が最も響くと思います。最後にお三方から後輩へのメッセージをいただきたいと思います。

永原: G-STAは、日本トップレベルのメンター陣や起業家に出会えるという点で他とはコンテンツの質が違います。先輩経営者から学ぶことができ、優秀な投資家からメンタリングを受け、横のつながりもできる。そういう意味では一番の場所だと思います。

安藤:私は最近、起業家は「大振りだけしておけば良い」と思っています。大振りをしてホームランを狙っていけば、誰かがそこのビジョンについてきてくれて、そこに人もお金も集まってくる。そういった意味でアクセラもひとつのツールだと思いますし、上手く活用できるものは活用しきって、本当に自分が熱中できる事業、夢を追える事業に投資していけば良いのかなと思っています。

小田:お二人のご意見とほぼ同じです。G-STAはプログラムが良いので、アクセラを検討中の人には時間を割く価値があるとお伝えしたいと思います。優秀な人を巻き込めたり、面白い人が力になってくれたりします。「宇宙開発で”Japan as No.1”を取り戻す」という大きなミッションを掲げていれば、動かせなかった人も動かせるようになる。そういう意味ではホームランを狙うように、一番やりたいことにフォーカスすることは大事だと思います。

田村:ありがとうございました。

  • 永原宏紀

    株式会社ネクスタ 代表取締役

    同志社大学工学部電子工学科を卒業後、新卒で株式会社キーエンスに入社し、3年目に事業部全国1位となる。その後、父が創業したシステム会社へ転職。新規事業として製造業向けシステムの受託開発を立ち上げ、100件以上の製造現場にシステム導入を経験。2017年4月に株式会社ネクスタを設立し、製造業向け生産管理 SaaSのスタートアップとして、 IPOを目指して日々奮闘中。

  • 安藤奨馬

    RENATUS ROBOTICS株式会社 最高執行責任者 COO

    京都大学工学研究科卒。大学では建築の温熱環境制御に関する研究を行い、日本建築学会全国大会で若手優秀発表賞を受賞。TRUST SMITH社では、人事・財務などのコーポレート全般を担当。融資のみで、1.1億円の資金調達を牽引。

  • 小田翔武

    AstroX株式会社 表取締役CEO

    関西大学環境都市工学部卒。これまでIT企業などを複数社創業し経営→売却。2022年 幼少期から関わりたかった宇宙事業としてAstroX株式会社を設立。日本の宇宙開発におけるローンチヴィークル(衛星打上ロケット)不足の解決を目指し、小型ロケット開発を進める。

インタビュアー

  • 田村 菜津紀

    グロービス 代表室 ベンチャー・サポート・チームリーダー 兼 KIBOW社会投資ファンド インベストメント・プロフェッショナル

    早稲田大学人間科学部卒業。グロービス経営大学院修士。 新卒では株式会社ニコンに入社。新事業開発本部を経て経営戦略本部CVCチームに所属し、主に新事業企画・オープンイノベーションの体制構築に従事。その後、株式会社リクルートの人事企画部、HRテックプロダクトの開発チームを経て、2019年10月よりグロービス代表室ベンチャーサポートチームに参画。現在は同チームリーダーとしてグロービスのアクセラ「G-STARTUP」他、3つのファンドを統括。またKIBOW社会投資ファンドを通じて社会起業家への投資と経営支援を行う。

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