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「エキナカ自販機で缶コーヒーがタダ?!」が示す可能性

投稿日:2010/03/19更新日:2019/04/09

無料缶コーヒーの仕掛け

JR池袋駅のエキナカ自販機で缶コーヒーがタダでもらえる?!

自販機スペース「mediacure」シークレットキャンペーン!「UCCTHECLEAR」をもれなくプレゼント!(毎日新聞・PRTIMES3月15日)

上記記事はJR東日本管内に設置された約1万台の自販機を運営するJP東日本ウォータービジネス社(以下、JR東WB)のプレスリリースに従って書かれた記事だ。記事とリリースでは詳細がわからないため、同社広報に直接取材してみた。

JR池袋駅(5、6番線)ホーム上デジタルサイネージ(電子看板)機能を持った専用ブースが設置され、3月15日の初日は10時と14時の各1時間、発売前(3月29日発売)の「UCCTHECLEAR(ザ・クリア)無糖Milk缶190g」の商品サンプルがもらえるというもの。

写真のように時間になるとブースの扉が開いて、キャンペーンガールも登場して盛り上げる。安全のため警備員も登場だ。同社によると、ホーム上で実施のため人が集まりすぎる懸念から実施時間を明らかにしない「シークレット」という展開をしているという。

自動販売機を使って飲料をサンプリング(無料配布)するという例は、コカ・コーラのおサイフケータイ対応の自販機の一部にはサンプリング機能が搭載されていたり、新宿駅前でカルピスの自販機で行われたりとこれまでにも例がある。しかし、ホーム上という展開では恐らくこれが日本初ではないだろうか。

街ナカと駅ナカでの配布は何が違うか。それは、客層だ。街ナカでは配布の列に並ばれれば、どんな人でも拒否できない。池袋駅ホーム上ということであれば、ホワイトカラー層と若い女性が多い。配布したい層にその属性が近ければ効果的だ。もう一つ。街ナカの自販機ユーザーは9割が男性であるという。対して、駅ナカのJR東WBの自販機は女性客の利用が4割に上る。女性にもリーチしたいときには有利だ。

各ステークホルダーのメリットを整理してみよう。広告主はサンプリングのターゲットをより特定できる。広告代理店は新たなメディアとして販売できる。JR側は広告収入、場所貸しによる収入が得られる上、自販機の販促につながる。

JR東WBが1万台を展開する通常の自販機は「acure(アキュア)」というブランドだ。今回は「mediacure」と、「メディア」という名前が付いている。自販機ビジネスからメディアビジネスに進出ということかとも思ったが、どうやら同社の思惑はそれだけではないようだ。

新しい自販機の可能性

その名の通り、mediacureはデジタルサイネージも含めて全体として交通広告媒体であることは間違いない。無料配布とサイネージでの広告放映に関してはメーカーから広告料を得て、それで本来の飲料販売機会の消失を補填しているという。しかし、本質的にはJR東WBの狙いは「自販機とデジタルサイネージの親和性を検証し、より双方向な新たな自販機のカタチ、可能性を追求すること」(同社広報)にあるという。

このあたりは同社の強みを背景としている。現在、自販機のほとんどは飲料メーカーが自社の製品販路として展開している状態だ。各メーカーの商品が混載されているように見える自販機も、運営会社に飲料メーカーの資本が入っているため、実際には取扱商品にメーカー系列の偏りがある。全く飲料メーカーの資本が入っておらず、「消費者が買いたいモノを並べる」というスタンスで展開しているのはJR東WBのみなのだ。

同社は「広告として配布や放映をするのではなく、あくまで小売業として、消費者が購入したいものを優先する」という。そして「メディア事業は副業であり、あくまでも飲料及び飲料自販機を通じ、先進的小売業を目指したいと考えている」と言い切っている。

つまり、「駅を利用するターゲット層に合わせた品揃えが可能」という強みをいかし、サイネージスペースは、広告収入を得るためではなく、あくまで自販機で商品を買ってもらうための販促に利用する狙いだろう。

時間帯や利用する場所に合わせて、ターゲットに合わせた飲料の広告を打つ。小売店のPOPやスーパーマーケットに置かれたサイネージと同じように、購買意欲をあおる。スーパーマーケットのサイネージではすでに効果が出ている例も多数報道されているから、今回の先進的自販機やサンプリングも十分に可能性があるといえるだろう。

さて。以下は少し余談になるが、同社はもう一つ、明確なポリシーがあるという。「現在のところ飲料以外の商品サンプリングは考えていない。というのも、『自販機で飲料以外を』というメーカーさんからの要望は結構あるのですが、我々は飲料会社として飲料に拘っているので、ポリシーとして飲料以外の商品には手を出さないことにしている」(同)

この点はあくまでポリシーということなので仕方ないが、少しだけ残念な気がする。

例えば、現在ガムの「クロレッツ」が「オフィスサンプリングキャンペーン」を行っているという(COBSONLINE)。

ガム100個入りのパックが2箱届いて、それをオフィスで配布してくれる人を募集するという。「ちゃんと配布されるのかしら?」とお節介ながら心配になってしまう。

また、実はオフィスでつまむお菓子としては、実はガムはあまり用いられていないという調べもある(BusinessMedia誠)。チョコレートがダントツ。続いてアメ、せんべい、ビスケットに続いて、ガムはなんと5番目だ。製菓メーカーのガム担当者に以前、取材したところ、「ガムは移動中に用いられることが多い」と聞いた。どうだろう、駅のホームでサンプリングができればバッチリではないだろうか。

いずれにせよ、「mediacure」の駅ホームでのサンプリング、デジタルサイネージ自販機には、新たな可能性が満ちている。

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