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仮想通貨とは―価格高騰するビットコイン

投稿日:2021/02/26更新日:2021/12/20

まず、私はビットコインが大好きである。知れば知るほど、ビットコインが象徴する考え方に惹かれていく。オープンにインクルージョンを実現しつつ、“いかに信頼、信用をアルゴリズムで創っていくのか?” というビットコインのイシュー設定自体にちょっと“萌え”を感じているのかもしれない。4回にわたり、ビットコインの成り立ちから振り返り、その思想性から現代社会に投げかけている問題提起を考える。(全4回、1回目)

再び話題になるビットコイン

2020年12月、久しぶりにビットコインがニュースの話題になった。ビットコインの価格はいわゆる「ビットコインブーム」となった2017年12月に1ビットコインあたり$19,497ドルの高値を付けた後、価格は大きく下がり、1年後の2018年12月には$3,237の最安値を記録した。その後、1万ドル前後で価格変動してきたが、2020年10月以降上昇を続け、12月16日は過去最高値を更新、その後も価格は上がり続けて年末の12月31日時点では$29,002を付けた後、2021年2月に入ってからは5万ドルを超える水準で取引されている。

(出典:yahoo financeデータを元に鈴木作成)

コロナ危機下の台湾で大活躍し、日本でも話題になっている台湾のデジタル担当政務委員のオードリー・タンさんは、2014年にAppleのデジタル顧問に就任した際の契約は時給1ビットコインと設定したと各種インタビューで語っている。1ドル100円で換算すると、当時で時給1万円といったところ。それが2021年2月時点なら時給約500万円、となる。

ビットコイン価格上昇の理由とは

このような価格上昇の理由については短中期的に、例えば、以下のようなことがと言われている。

  • 2020年11月からは米国ではPayPalで個人がビットコインを簡単に取引できるようになった。
  • 仮想通貨に関する法制度が整備されてきたこともあり、これまでビットコインと距離を置いていた機関投資家も取引に入ってきている。さらに、2月にSEC(米国証券取引委員会)に提出した有価証券報告書で、イーロン・マスク率いるテスラ社が15億ドル相当のビットコインをすでに購入。さらに近い将来支払い手段としてビットコインを受け入れる用意があることが明らかになった。ちなみに、貸借対照表上、テスラはどこにビットコインを計上するつもりなのか。有価証券報告書によれば、通貨のような現金および現金等価物としてではなく無形資産として計上するとのこと。

  • 2020年12月にもう一つの代表的な仮想通貨であるイーサリアムの次世代版、Eth2.0 Phase0が無事にスタート。これによるイーサリアム価格上昇への連動。

  • コロナ禍での各国中央銀行の資金供給により圧倒的な金余り状態となっていて資金が株だけではなく、ビットコインにも流入している。例えば日本のマネーストックをとっても、グラフからわかるように2020年3月に明らかに大きな変曲点があり、パンデミック後の資金供給がかなり異次元だったことがうかがえる。

(出典:日銀データを元に鈴木作成)

ビットコインの規模感とインパクト

それではそもそもビットコインはどのくらいのインパクト、規模感があるのだろうか。ビットコインの総発行数は上限が2100万と設定されており、2020年2月19日現在、1863万ビットコインがすでに発行され流通している。直近の価格である5万ドルをこの発行数に乗じると、ビットコインのいわゆる時価総額が試算できる。ドルベースで9315億ドル、日本円ベースでは98兆円(1ドル約105円として)という規模。

これがどのくらいの規模なのか、株式の時価総額と比較してみよう。2月19日時点、世界最大の時価総額のアップルが約229兆円、日本で最大のトヨタ自動車が約26兆円、ソフトバンクグループが22兆円である。ほぼトヨタ4社分弱といった規模感だろうか。通貨という話題の割には意外と小さい、と感じられたかもしれない。

ただ、このままだと通貨と資産である株式時価総額の比較でフェアじゃない、との批判もありそうなので、狭い意味での通貨との比較という意味で、日銀データから市場に出回っている日本円の現金の残高を見てみよう。

日銀データによれば、2020年11月時点での現金の流通量(お札はどのくらいあるの)は108.4兆円となっている。したがって、ビットコインの時価総額は実は日本円の現金の流通量とほぼ同程度の規模感になっている。ちなみに、気になったので米ドル紙幣の流通量は米国の連邦準備制度(Fed)のデータを見てみると、2020年12月時点で$2.02兆ドル、日本円では約209兆円である。ビットコインの規模は米国紙幣のほぼ半分の規模となっている。

ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれることもあるので、金と比べてばどうか。World Gold Councilのデータをもとにすると、金の地上在庫(採掘されて地上にある金の総量)は2019年12月末時点で197,576トン、直近の金価格の水準、6,800円/gをかけると規模としては1344兆円と試算できる。ビットコインはその7%の規模まで来ている。

<シリーズはこちら>

第2回:仮想通貨の価値とは―ビットコインは、通貨なのか?資産なのか?

第3回:ビットコインのはじまりーサトシナカモトの夢

第4回:ビットコインの思想的インパクトー「信頼」をどうつくるのか

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