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TOSHI×ロート製薬「大切なものは何ですか」

投稿日:2009/07/30更新日:2024/10/24

鳩のロートの目薬100周年

ロート製薬が「ロート目薬」を発売したのは創業10年目の1909年のこと。今年は創業110周年、目薬発売100周年にあたる。

同社は現在、30品目以上の目薬を発売し、OTC(OverTheCounter=薬局・薬店で処方箋なしに購入できる医薬品)の目薬市場ではトップシェアを誇る。そして、業界リーダー企業として、国内外で、目を大切にしようという「アイケア」啓蒙活動に取り組み、疾病予防や視覚障害者支援、医療研究者助成など数多くの社会貢献活動を展開してきた。

目薬販売100周年を迎えた今年4月からは、「LookNext-みるみる、次の喜びを」というコンセプトの元、アジア各国で無償の眼科治療を行っている服部匡志氏を支援したり、目の不自由な子供たちを招待するコンサートを開いたりと、「目の大切さ」を世の中に訴える活動を行っている。

従前の対外的な社会貢献により一層注力しつつ、社員による点字絵本製作の手伝いやアイバンクの登録など、社内的な啓蒙活動にも取り組んでいることが特徴的だ。

そして何といっても企業広告が秀逸だ。ロックバンドXJAPANのボーカルTOSHIが、楽曲「大切なもの」を提供。TOSHIのバラードが響く中、愛する人、山の上から見る朝焼けの太陽など、「大切なもの」を「見つめる」シーンが次々と映し出される。そして「あなたの瞳には何が映っていますか」のメッセージ。観ているこちらが、思わずうるっと来てしまうようなCMに仕上りだ。

支援活動は一過性のものでは意味がない。以前ユニクロのCSR活動をこのコラムで取り上げたが、社会に貢献する活動も、企業自身にとって何らかの効用がなければ長続きはしない。その点、ロート製薬の取り組みは、自社のブランド価値向上はもちろん、間接的に収益に貢献する効果もある。

「アイケア」に対する消費者の意識が向上し、眼病予防、花粉対策、コンタクト対応など、様々な薬効を持った製品全体のパイが大きくなれば、目薬シェアトップの同社製品が自然と売れる。「リーダー企業はパイ自体を大きくすべし」という戦略の定石と整合する。

実のある社会貢献を展開する。さらに、それを継続的に展開できるよう、企業の収益活動にも寄与する仕組みとして設計する。昨今のCSR活動では、この両立は珍しいことではない。だがロート製薬の取り組みがスゴイのは、1粒で3度オイシイからなのだ。

ロート製薬が「大切にしているもの」

単体で1200人を超える社員を抱えるロート製薬が、全社社員旅行を開催したという。場所は沖縄。同社の公開情報ではないので、経緯や詳細などははっきりと分からない。どうもその場に、TOSHIを呼んでシークレットライブを開催し、活動のテーマソングを大合唱したようなのだ。

TOSHIのBlogに、「暑い沖縄熱いロート製薬の皆さん」という記述がある。

昨日、ロート製薬の全社員が集う創立110周年記念ツアーイン沖縄のスペシャルイベントでのシークレットライブのために沖縄入りしました

夜の特設ステージでのコンサートはホントにもの凄すぎるほど盛り上がって、最高でした!

「大切なもの」の大合唱はホントに感動だった

ロート製薬さんのルックネクストキャンペーンCMで「大切なもの」がテーマソングとしてオンエアされてますが、山田会長、吉野社長はじめホントに素敵なハートフルな熱いそして若さあふれる会社。楽しく感動的な沖縄の激しい熱い夜でした

ロート製薬の皆さん、ありがとうございました

CSR活動を本社の社会貢献室が企画し展開しても、末端の社員は全く関与しなかったり、そもそも何をやっているか知らなかったりする。ロート製薬の社員は大合唱の熱狂の中で、活動の意義を深く意識し、誇りを噛み締めたに違いない。日常に戻ってからも、おのずと仕事にかける想いは変わっただろう。CSR活動を、社員のロイヤリティー、モチベーション向上のツールとして、これだけ有効に使った例は、あまり聞いたことがない。

「大切なものはなんですか」

曲の中でYOSHIKIは、そう何度もリフレインする。米国流のマネジメントスタイルも否定され、かといって“古き良き”日本企業にも戻れない今、企業に、組織にとって大切なものは何か。小難しい経営用語をこねくり回すよりも、よっぽど本質的な問いだ。真摯に自問自答を繰り返せば、答えは出るのかもしれない。その先に、アリバイ作りのCSRではない、“ホンモノ”のCSRの有り様が見える気がしてならない。そしてそれは、次代の企業のあるべき姿にもつながるのではないだろうか。

「大切なものはなんですか」

ロート製薬にとっては、社会であり、お客様であり、そして社員なのだろう。

  • 金森 努

    グロービス経営大学院 教員

    東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道四半世紀以上。コンサルティング事務所、広告を経て、2005年独立起業。 青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。著書「図解 よくわかるこれからのマーケティング」(同文舘出版)「”いま”をつかむマーケティング」(アニモ出版)。共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。監修「実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則」(TAC出版)。雑誌への連載、講演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。

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