CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)と倒産リスクは反比例するの?

先日、研修の受講者から次のような質問を受けました。「 キャッシュ・コンバージョン・サイクルがマイナスになると、(財務)安全性が低下して倒産リスクは高まるのですか?」と。パラドクス的な意味合いも含む面白い質問なので、当コラムで紹介してみたいと思います。

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(以下、CCC)は、一般に以下の計算式で表されます(CCCについては、「運転資本(WC)ってどういう意味なの?」を参照ください)。

CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間

CCCは、通常は日単位で表示され、日数が短いほどおカネが効率的に運用されている状況を示します。最近では、株主、投資家からの資本の効率的な運用を求める声も高まり、売上債権回収の早期化や在庫の圧縮などの取り組みによってCCCの短縮を図る会社も増えています。

CCCがマイナスになると、相対的に仕入の支払いより売上代金の回収が先行する状況になるため、会社の資金繰りは相当楽になることがイメージできると思います。

ところで、CCCがマイナスになると、金額ベースでは売上債権と棚卸資産の合計よりも仕入債務の方が大きくなります(棚卸資産回転期間、仕入債務回転期間も1日当たり売上高で計算します)。

CCCがマイナスになることによって会社の資金繰りは改善しているにもかかわらず、一方で流動負債が流動資産を上回ることで財務安全性は悪化し、倒産リスクは高まっている印象を与えます。一見、矛盾をするように思えますが、種明かしをすると次の通りです。

CCCがマイナスになって資金繰りが改善すると、キャッシュはどうなるでしょうか?売上債権の回収や在庫の回転が早期化されるということは、仕入れた在庫を素早く販売して、代金を早期に回収するということです。そして、回収された売上代金は会社のキャッシュとなります。回収したおカネをさらに次の仕入れに投じ、販売、回収を繰り返すことで、元手となったキャッシュが何度も利益を生み、利益の累積分が会社のキャッシュを増加させます(設備投資等の投資は割愛します)。

倒産リスクを突き詰めて考えると、「会社がキャッシュをどれだけ保持しているか」が問題となりますが、CCCにはキャッシュが含まれていません。流動資産、流動負債の一部である売上債権、棚卸資産、仕入債務だけを切り出して大小を比較すると、流動比率が100%以下となり倒産リスクが高く見えますが、流動資産にキャッシュを含めて考えると財務安全性にも問題がないことが分かると思います。

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