ファミリービジネスを永続的に成長させるイカリ消毒の理念経営

本記事は、グロービス経営大学院東京校で行われたセミナー「ファミリービジネスの課題と永続的な発展に求められるものとは何か~PwCが世界53カ国2,953名に実施した″ファミリービジネスサーベイ2018″から見えてきた現状と課題~」のパネルディスカッションパートを書き起こしたものです。冒頭、イカリ消毒の黒澤会長にスピーチいただき、その後、蒲地公認会計士事務所代表の蒲地正英氏とグロービス経営大学院 研究科長の田久保義彦が加わってファミリービジネスを成功させる秘訣について伺いました。(全2回)

20代でイカリ消毒の事業を承継、その後の道のり

黒澤:イカリ消毒の黒澤眞次と申します。60年前の1959年に父が創業したとき、社名のイカリは「錨」という漢字で書いていました。主に船の消毒を行う会社で、ペストのような病気の媒介となるネズミや虫を港でシャットアウトするということで、船のアンカーからとった社名です。そして、その3年後の1962年には東京へ進出致しました。

しかし、その年に父が53歳の若さで他界してしまいました。一時は途方に暮れていましたが、父は生前「意に添わないときは、お代は戴きません」と言うような人だったんです。ねずみ1匹残っていたらお代は戴かない。そんな方針で仕事に燃えている人でした。ですから私たちも、「とにかく一生懸命やればなんとかなるんじゃないか」と。

当時は私が20歳になったところで、兄は22歳、弟は16歳。父が遺した家訓は、「兄弟斉心土変金(けいていさいしんどへんきん)」です。「兄弟が仲良く力を合わせ一生懸命努力すれば、必ず土も金に変わる」。満州で生まれた私たち兄弟に、父はいつもそう言って聞かせていました。

そんな気持ちでまた仕事に励んでいたのですが、その矢先、翌1963年に池袋にあるデパートで大きな火災事故を起こしてしまいました。その日は定休日だったんですが、7階の食堂街にゴキブリ駆除で使う引火性の殺虫剤を持ち込んでいたんです。その昼休み、当社アルバイトの青年がタバコを吸おうとマッチに火をつけたところ、脇で蓋の空いていた殺虫剤に引火してしまい、瞬く間に火柱が上がりました。

お昼に出火して夜10時まで燃え続け、7人の死者と130人の重軽傷者を出し、当時戦後最大のビル火災となってしまいました。当時はなんとお詫びしていいか分からず、「警察へ行って、刑務所に入って死んでお詫びする以外にない」という気持ちだけでした。しかし、デパートのオーナーに、「事故を起こしてしまったのは仕方がない。君たちはまだ若い。これからは絶対事故を起こさないよう頑張りなさい」と言葉をかけていただきました。感慨に浸ったのがつい昨日のことのように思い出されます。以来、「これからは社会に生かされ、社会に役立つ企業になる」ということで、絶対に事故を起こさず、事業に邁進することと致しました。

この事故を教訓として、私たちは多くのことを学ばせていただきました。まず、タバコについては当然ながら全社禁煙として灰皿も撤去。また、事故以来、私たちは積極的に資格を取得するようにしました。危険物取扱者の資格を持たずに、事故を起こしてしまったためです。そうした基本的なことが何もできていない会社だったので、そういう部分を一つひとつ改善していきました。

現在は社員1人につき7つ以上の資格を取得するようになり、お客さまにも「専門家集団として良い仕事をしてくれる」といった評価をいただけるようになりました。何より嬉しかったのは、その過程で現在に至るまで、およそ600件の特許・実用新案を取得・出願できた点です。今はそれらをもとに、新事業を次々と展開できる体制になりました。

また、営業拠点も現在までにおよそ全国100箇所に展開するに至りました。1960年代、私たち三兄弟は勉強のため、アメリカで業界トップの同業他社を訪ね、驚かされました。その会社は従業員数が1万人で、業界では世界一。全米だけで1500もの支店を展開していました。そこで「日本でもこのような全国展開を」と考えた次第です。

当社は現在、「会社の永続性確立」「社員の幸せ」「足腰の強い盤石な体制」という経営の三大使命を掲げて事業に注力しています。最近、全国から幹部を集めて開いた会議の場で、ある所長がこういう発表をしてくれました。「仕事が好きです。お客さまが好きです。イカリが好きです。でも、家族と過ごす時間が一番好きです」。私たちが一番大切にしていた「社員の幸せ」に対する思いを代弁してくれ、本当にうれしく感じました。

今年は49名の新卒社員を迎えました。うち女性は20名で、およそ40%。売上の方も、事故以来、僅かずつですが成長を続け、おかげさまで年商は昨年末で185億円となりました。

1年半前には、習志野で技術開発の中核「Life Creation Square(以下LCS)」を開設しました。その竣工式にはデパートオーナーの息子さんにテープカットでお越しいただき、本当に胸が詰まりました。さらに、先日は西日本においても技術開発拠点として、高松で約100名の陣容となる「LCS West」を開設しました。

また、当社は「美しい街づくり、それが私たちの願いです。」という理念を掲げ、社会への恩返しも込めて、さまざまな社会貢献活動をさせていただいています。「さくら・ふるさと街づくり運動」もその1つです。桜は公害がある場所で花を咲かせないんですね。だから公害対策のバロメーターになるということで、各市町村に桜を植えさせていただいています。この運動は今年で54年。今まで35万本におよぶ桜の苗を寄贈・植樹させていただきました。

このほか、弊社の経営理念等をまとめた『心の経営』という冊子を毎年更新し、『クリンネス』という月刊誌も発行しています。後者のほうは、事故や食中毒の防止にお役立ていただければと思い、無償でお得意様にお配りしています。

少し長くなりましたが、会社の説明はこの辺で一旦終わりたいと思います。(会場拍手)。

リーダーが率先垂範し、わかりやすい活動で理念を浸透させる

田久保:『心の経営』を見ると、本当に数多くの言葉が載っています。「家訓」にはじまり、「安寧の誓い」「創業精神」「ファミリービジネス憲章」「経営の三大使命」等々。こうした理念を、イカリ消毒さんは社内でどのように浸透させているのでしょうか。

黒澤:父の「お客さまにご迷惑をおかけしないよう、ネズミ1匹もいないように」という創業時の思いが伝わるよう、日々努めています。日本さくらの会の運動に参加させていただいているのも大きいと思います。桜は公害のバロメーターであり、公害がある場所で花を咲かせないということを知って、「これは社会への恩返しに役立てることができるのでは?」と考えたんですね。それで1964年から、ボランティアではありますが、美しい街づくり運動の一環として、社をあげて「さくら・ふるさと街づくり運動」を実施することに決めました。

もちろん、デパートオーナーの恩になんとしても報いたいという気持ちがありましたから、「これは恩返しになるのでは?」と思うことを一つひとつ行ってきた結果として今があると思っています。また、レスター・ブラウン氏という地球環境活動の第一人者の先生に、当社のグループである一般財団法人環境文化創造研究所の名誉顧問となっていただき、地球環境への貢献ということも社員手帳や冊子で謳っています。

田久保:長寿企業の研究をしていると、創業者または経営者の方々が、日々、言葉を伝える以上に実践を通して理念等を伝えていらっしゃるケースがすごく多いと感じます。桜を35万本植えられたというお話がありましたけれど、そういう一つひとつの行動を、社員が見ているわけですよね。同じように、会長自らの行動を通して理念を浸透させているようなことは何かありますか?

黒澤:特別なことをしているわけではないんですが、気がついたことをすぐ、率先してやろうという気持ちではいます。たとえば、私自身が資格取得に挑戦しています。

田久保:いくつぐらいの資格をお持ちなんですか?

黒澤:国家資格と民間資格を合わせて、おかげさまで今は82個になります。私の場合、机にその年の目標を貼り、年末までに資格を取るということを繰り返して資格が増えてきました。17年前に社長業をはじめてからは新しい資格を取得できていないんですが、社員の人たちはどんどん取得してくれています。

田久保:「資格が大事だから取得しなさい」と言葉で伝えるよりは、率先垂範で会長自らが取得し、それを若手に見せるというのが良いサイクルとして回っているんですね。

蒲地さんは、多くの会社を見ているなかで、経営理念をどう浸透させればよいか、聞かれることがあると思います。イカリ消毒さんの事例を聞いてどう思われましたか?

蒲地:イカリ消毒さんの場合、資格取得をはじめ、本業の領域で目標とすることを会長自ら率先して行動し、それを見せているというのはすごく大きいと思います。さらに特徴的なのは「さくら・ふるさと街づくり運動」。ボランティアとは言え、間接的・最終的には会社として達成したい目標につながっていて、かつ、すごく分かりやすいですよね。桜が咲いたら公害がないという話ですから。そうした分かりやすい活動を通して社員の方々も理念を感じやすいという側面はあると思います。多くの会社は本業でそれを伝えようとしますが、イカリ消毒は間接的な部分も大変上手になさっている。

田久保:以前、名古屋の岡谷鋼機という企業を調査したことがあります。三百数十年続いている取扱高7000億ぐらいの商社で、「投資案件」と名の付くものについては、1万円以上であればすべて、月曜朝に行う会長以下役員がそろう役員会にかけるそうです。そういうことを、入社2年目の若手社員の方が赤裸々にお話しするんですね。そのとき「これを知っている若手の方は、絶対に1円も無駄遣いしないだろうな」と思ったことがあります。やはりトップの行動によって理念は浸透していくのだと思いますし、そこで「1万円以上」「桜」といった、分かりやすい指標をどうつくっていくかというのが1つのポイントでもあると感じました。

黒澤:間接的に役立っている社会貢献活動は、他にもたくさんあります。たとえば当社では40年ほど前、熱帯病・感染症に関する映画を制作しました。ここで言う熱帯病・感染症というのは、マラリア、住血吸虫症、フィラリア症、トリパノソーマ症等々、世界では大変な問題になっている病気です。あるとき、そうした熱帯病に関する研修を受けて私自身もその恐ろしさを思い知り、「映像をつくることで、こうした病気を未然に防ぐことができないか」と思ったんですね。そこで、日本とフィリピンにおける日本住血吸虫症の克服等を記録した映画『日本住血吸虫』を企画・制作し、フィリピンのマルコス大統領に寄贈させていただきました。

その頃はフィリピンだけで50万人が住血吸虫症にかかっていた時代です。後に患者さんが3万人ぐらいにまで減り、過日、フィリピンの環境保健大臣から表彰していただきました。さらに、科学技術長官賞も受賞させていただき、こうしたことを通じて当社のイメージが向上したということもあります。当時の皇太子殿下(現上皇陛下)にも観ていただいて、大変喜んでいただきました。

田久保:日本企業は発明こそうまいかもしれませんが、それを商品化して大きな市場を取るという点で、なかなかイノベーションを起こせていない現実も多いと感じます。イカリ消毒さんはどんな風にして、そうした課題を乗り越え、現在のように多様な商品群をつくりだしてきたんですか?

黒澤:当社には全国で何万というお客さまがいらっしゃいますが、各地で営業担当がお客さまから「こういうものがあるといいですね」といったご相談を受けるんですね。そうしたお話を、たとえば習志野の研究開発拠点に持ち込んで、専門家の人たちが議論しながら商品化していきます。そうすると、「じゃあ、当社でそれを試してみてください」という風に、お客さまが機会を提供してくださったりします。「これはいいね」となると、それをお客さまの他エリアでも展開できて全国へ広がっていくという形です。

そのため、習志野と高松に検査や技術開発に携わる人員をそれぞれ100人ほど配属させています。社員数は全国でおよそ1000名。一般的に企業の開発人員は全社員の5%前後といったことがよく言われますけれども、当社の場合20%。それが新たな商品化にもつながっているのではないかな、と。

田久保:イカリ消毒さんが大事にしていらっしゃる価値観や考え方をまとめると、どんな言葉になるのでしょうか。

黒澤:経営の心という点で言えば、使命は「美しい街づくり」であり、志は「社徳が社格を創る」。そして価値は「環境文化の創造」ということで、新しいものをどんどん開発していくということになります。それによって徳育文化と環境文化を創造していくというのが、今後100年企業を目指すにあたって最も力を入れていくことだと思っています。

田久保:他にも、徳を高めるために取り組んでいらっしゃることはありますか?

黒澤:たとえば当社では、経営陣や幹部、あるいは新卒の方々も、一般社団法人倫理研究所というところで研修を受けています。そちらの先生方にもよく言われるんですが、結局、大切なのは二宮尊徳が言う「たらいの水」のような考え方。たらいの水は、得ようとしてかき集めるより、相手に与えようとして譲るほうが、結局は回りまわって自分のところへやってくる、と。そんな精神が社徳にもつながると私自身思いますし、少し時間がかかってもそんな形になればいいなと思います。

田久保:蒲地さんは同様の事例を他社で何かご存知ですか?

蒲地入社前から倫理研修のようなものをきちんと行っている会社はほかにもあります。ただ、それが当たり前になってもやり続けるというのは簡単なようでいて結構難しく、できている会社はあまり多くないのかなと感じます。収益を上げなければいけなかったり、顧客クレームに対応しなければいけなかったり、新入社員のスキルを高めなければならなかったりして、つい倫理でなく技術のほうに流れてしまう会社が多いので。でも、そこをぐっと堪えてベースの部分をやり続けるのがイカリ消毒さんの強みだと思いますし、そういうことをしている会社は何かあっても揺るがないと感じます。

田久保:グロービスがビジネススクールでお伝えしようとしていることの1つに、「当たり前のことを当たり前に、粛々とやろう」、もしくは「やり続けよう」という考え方があります。やはり感情を持った人間ですから、たとえばちょっと儲かると思って土地や株に手を出してしまったりして、ぐちゃぐちゃになってしまうこともあるわけですね。そこでブレずに、本当に大事な「元」につながるようなことをやり続けることの難しさ、そして価値を痛切に感じます。

ファミリービジネスを継続させるために

田久保:今後の展開やご予定について、承継計画を含めて差支えのない範囲で伺えたらと思います。

黒澤: 初代の父が早くに亡くなったあとは兄が 2 代目、私が 3 代目になり、現在は弟が 4 代 目になります。ただ、私自身も 80 近くになりましたし、60 周年の節目ということで、弟とは 「60 周年で変えていこう」という話をしています。100年企業に向かって、これからの40年を担う次世代に、会社を託していこうということで、基本的な承継計画を立てています。

今後は兄の息子、私の息子と弟の娘を中心として承継していく形で世代交代を進めていく予定です。ただ、本当にそれができるかどうかというのは別問題ですから、そこは周囲でもカバーしていく体制をつくっています。

田久保:「その次は」「さらにその次は」という風に、ファミリーのなかで承継のアウトラインみたいなものをお持ちなんですか?

黒澤:5年おきぐらいに「ゴールデンマップ」というものをつくって承継を計画していますね。

田久保:後継者教育は、いつ頃から、どのように進めているのでしょうか。

黒澤:かなり前からやっています。ファミリービジネスに関する勉強会を設けて、さまざまな角度から、いろいろな先生に教えを受けたりして。「そのなかで欠けている点を見極めたりしていこう」と。いずれにしても、当社にはファミリービジネス憲章がありますので、それに基づいて、会社として基本的なことをまとめていくという考え方になります。

そこに欠かせないのがリスクマネジメントですね。私たちが手がけているような事業領域では、どうしても各種事故の危険がありますから、それを防ぐ意識づくりについては、特にファミリーのなかでも力を入れています。また、「次の世代の人たち」といっても性格はそれぞれ違いますから、各々にマッチした専門分野を学んでもらったりしながら、あらゆる機会を使ってコミュニケーションをとっていくということを大事にしています。

田久保:日本企業の場合、ファミリービジネス憲章やファミリーサイドのマネジメントといったものが、欧州の企業と比べても確立されていないように感じますが、イカリ消毒さんの仕組みはいかがでしょうか。

蒲地イカリ消毒さんほど憲章としてしっかり言語化している会社さんは私もあまり知りません。その背景として、日本では「言わなくても分かるでしょ?」といった感覚が結構あるのかな、と。ファミリーでの経営や承継についても同じで、そういう感覚があると憲章のようなものもつくられにくいと思います。いざつくってみると、意外とシンプルだったり、皆が思っていることは一緒だったりはします。でも、それをしないまま先代が亡くなってしまったとき、その解釈について兄弟で揉めたりするケースもあります。ですから、やはり言語化はしたほうがいいと思います。

田久保:オーナーファミリーがどのような価値観を持っていて、何を大事にしている人たちなのかという部分がクリアになると、従業員の方々も、安心感が得られる気がします。

蒲地:ファミリービジネス憲章のようなものは入社前から目に触れると思うので、そこに共感できない方はそもそも入社しないと思うんですね。ある日突然に憲章のようなものをつくると反発した方が辞めていくといったケースはあると思います。ただ、そういうものが長い時間をかけて根付いていくと、良い意味で社員の方々の同一性が高まるというか、会社へのコミットがどんどん強くなっていくのかなと感じます。その最終形が、理念や考え方について皆が同じことを言えるようになっている状態であり、その根底にはこうした憲章があるのかなと思います。

田久保:PwCが世界53カ国2,953名に実施した『ファミリービジネスサーベイ2018』によると、「会社として確立した価値観や目的がある」という点については、日本企業はグローバルと比べると12ポイントのビハインド。ファミリー憲章のようなものの有無についても30ポイント近いビハインドでした。ステークホルダーはファミリーだけではないことも考えると、今後はその辺も明確化していく必要があるのかな、と。ビジネスがグローバル化していけば英語にしないと分からない人たちも増えるでしょうし。そういう取り組みをしていらっしゃる会社をどこかご存知ですか?

蒲地:たとえば海外展開をきっかけに、現地社員へ伝えるためのルールをつくっていくなかで、「うちの会社って何を大事にしているんだっけ?」といった話になるのはよくあるケースですね。そこではじめて企業理念や家訓を文書化したりする会社は多いです。特に最初の海外進出で失敗をした会社が2回目の進出をする際にしっかり作るケースがよくあります。

田久保:グロービスには法人研修サービスがあって、名だたるグローバル企業さんのお手伝いをさせていただくことがありますが、そこでも「海外幹部研修で理念を浸透させたい」というニーズは少なからずあります。多くの会社がその辺で苦労しているということだと思います。

PwCの調査では「ファミリービジネスで残したいレガシー」という項目もあり、そこでは「家訓」や「創業者の思い」が挙がっていました。ただ、私自身が長寿企業の研究をしていたときに感じたのは、「言葉そのものを見ると、長寿企業もそうでない企業もあまり変わらない」という点です。では、何が違うのか。その深さと徹底度だと考えています。

たとえば月桂冠という日本酒の会社は、理念に「社員の一生を大切にします」と書いています。いろいろ話を聞いてみると、月桂冠さんはOB・OGの物故者法要を50回忌までやるというんですね。ですから、祖父もご自身も月桂冠という方がいたとすると、おじいさまの物故者法要をいまだに会社がやってくれるところを目にするわけです。それを見たとき、どんなロイヤリティが生まれるのか。「人を大切にします」みたいなことを書いている会社はたくさんあると思うんですが、「人の一生」、もしくは「亡くなったあとも」というのは、本当に凄みがあると感じました。

イカリ消毒さんは、「こういうところは次の代もその次も、絶対に大事にして、残して欲しい」と思っていらっしゃることは何かありますか?

黒澤:以前、当社の部長が皆に「自分たちの子どもが入りたくなるような会社にしよう。それこそ100年企業に近づくことじゃないか?」といった話をしてくれて、すごく嬉しかったことがあります。そういう精神があれば本当に強い会社になるのではないかと思います。

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