為替換算調整勘定って何?

為替企業活動のグローバル化にともない、多くの会社が海外に子会社、支店などの事業拠点を設けています。ところで、海外子会社の決算書は現地通貨で表示されます。『為替換算はどのレートを使うの?』で説明しましたが、親会社の連結財務諸表の作成においては、現地通貨で表示された海外子会社の財務諸表を日本円へ換算する必要があります。為替換算調整勘定は、現地通貨で表示された海外子会社の財務諸表を円換算するプロセスで生じる勘定科目です。

以下、順を追って説明します。

海外子会社の財務諸表の円換算レート

以下、ざっくりと海外子会社のB/S、P/Lを円換算する際に使用される為替レートについて説明します。

P/L原則として期中平均レートで円換算します。ただし、決算時の為替レートで円換算することも可能です。なお、親会社との取引による収益および費用は、親会社が換算に用いる為替レートを使用します。換算に使用する為替レートの違いにより生じた差額は、当期の為替差損益として処理します。

B/S:資産及び負債と純資産では使用する換算レートが異なります。

資産及び負債:決算時の為替レートで円換算します。

純資産:親会社の出資による項目(例:資本金)は、親会社の出資時の為替レートで円換算します。利益剰余金(毎年の利益の累積)は、P/Lで計上された円換算額とします(ざっくり、毎年の期中平均レートで円換算された金額の累積となります)。

為替換算調整勘定とは

上記の通り、P/L、B/Sの円換算に使用される為替レートは1つではありません。複数の為替レートを換算に使用する結果、円換算によってB/Sの左右の金額が一致しなくなります。

簡単な例を見てみましょう。当期設立された米国子会社の1期目の決算(B/S、P/L)を円換算します。為替レートは、出資時レート:120円/ドル、期末日レート:100円/ドル、期中平均レート:115円/ドルとします。資産と負債は期末日レート(100円/ドル)、利益剰余金は期中平均レート(115円/ドル)、資本金は出資時レート(120円/ドル)で円換算します。その結果、円ベースではB/Sの左右の金額が一致しなくなります。

図1

そこで、登場するのが為替換算調整勘定です。海外子会社の財務諸表の円換算の過程で生ずるバランスの不一致を、まさに調整するバランサーの役割を果たすのが為替換算調整勘定です。この場合、為替換算調整勘定を△75,000円とすることで円換算後のB/Sの左右が一致します。

図2

一般的には、為替換算調整勘定は円高傾向が進むとマイナス(△)となり、逆に円安になるとプラスになります。為替換算調整勘定は、親会社の海外投資の含み損(益)という見方もできます。仮に、現時点で海外子会社を清算するとそれだけの為替差損(益)が発生するということです。

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