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コミュニティへの積極的な関わりが「恩恵」を変えるーコミュニティのススメ 第3回

投稿日:2023/09/29更新日:2023/10/27

変化が激しい現代におけるコミュニティの活用方法を探る本連載の3回目となる今回は、コミュニティへの積極的な関わりによって、その場で受ける恩恵の「質」が高まり、より大きな効果をもたらすことについて見ていきます。

※本連載はグロービス経営大学院に在籍したメンバー(大島さやか、角田由希子、中村知純、清末太一)が、田久保善彦講師の指導の下で進めた研究プロジェクト「コミュニティの創設・維持・発展」について、その研究結果をまとめたものです。詳細を7回に分けて連載し、皆さんが既に体感していることを言葉にすることで、より良いコミュニティライフを送るきっかけになればと考えています。

おさらい:コミュニティへの参加で得る「3つの恩恵」

第2回でお伝えしましたが、コミュニティに参加することで得られる恩恵は3つあります。

1つ目は、「自己理解」の「始まり」をつかめることです。他者とのコミュニケーションをきっかけに自分と向き合い、自分はどうしたいと思っているのかを整理し、知る機会を得られます。

2つ目は人を中心とした「つながり」を「構築」できること。

そして3つ目は、「知識やスキル」の「インプット」ができ、キャリアなどに役立てることができることです。

関わり方の度合いー「消極参加者」「積極参加者」「運営者」

コミュニティに関わると言っても、関わり方のその度合いは人によって様々です。そこで今回の研究では、その関わり方(立場)を「消極参加者」「積極参加者」「運営者」の3つに区分けしました(図1)。

【図1】コミュニティへの関わり方による3つの区分け

「自己理解」は、深化する

コミュニティの中で他者と触れ合うことを通じて、自分と向き合うことができます。他人と自分の違いを感じることから、自分自身についての考えが深まっていきます。自分を知る機会を得ること、つまり自己理解の始まりが、第一の恩恵となります。

そして、この「自己理解」は、積極的にコミュニティに関与していくことにより、深まっていくことがわかりました。消極参加者と、積極参加者や運営者の「自己理解の深まり」では、大きな差が生まれているのが分かります(図2)。

【図2】「自己理解は深まりましたか?」についてのポジティブ回答率

*ポジティブ回答率:7段階評価中6・7選択者の割合

《インタビューの中で着目したコメント》

  • コミュニティ所属の重要性は、学生時代の失敗を通じて理解していたので、積極的に参加するようにした。様々なコミュニティに所属することで、経験値を積み上げ、ライフワークを見つけることができた。
  • 様々なコミュニティで運営や積極的に参加することで、不特定多数の人と出会い気づきを得たことから自分が持っている特徴が少しずつわかってきた

コメントから分かることは、コミュニティへの積極的な関わりを経て、自分の性格、価値観、考え方を「より深く」知り、自分が納得して受け止める状態になっていることです。特に運営者は自分の価値観を反映させつつコミュニティを運営できるかについて考えるため、コミュニティを一緒に運営する仲間や参加者と積極的にコミュニケーションをとり、多様な考え方に触れることで自己理解が深まるようです。この「自己理解」の変化を、「深化」ととらえました。

「つながり」は、拡張する

コミュニティへの関わり方の違いによって生じる変化が非常に顕著だったのが、「つながり」です。コミュニティに参加すると、まず新たなつながりが構築されます。積極的にコミュニティのイベントなどに参加し、さらには運営に携わるようになると、コミュニティ内に留まらず、別のコミュニティとの横のつながりも生まれるなど、つながりの「拡張」と呼べる状態を得られることが分かりました。

図3は、コミュニティでどのような人とつながったのかの詳細を調べたものです。消極/積極参加者も、運営者も、コミュニティ内の人とつながっていますが、「コミュニティ外」の人とのつながりには、差があることが見て取れます。コミュニティの運営に関われば、自身のコミュニティと他のコミュニティとの交流を図るなど、「つながりを拡げること」自体がコミュニティ運営上の一つの役割になることも多いと言えます。

【図3】「どのような人とつながりましたか?」

*複数回答

《インタビューの中で着目したコメント》

  • コミュニティで色々と発信していると様々な自分の知らない人から声がかかり、自分が次にやりたいことにもつながった。
  • 運営することでコミュニティ内外からの声かけが増えた。対外的な認知の拡大になっている。コミュニティを超えた他者とのつながりによる新たな一歩へつながっていると実感している。
  • 他の人との交流を通じて、新しいアイデアや可能性を発見し、そもそも所属していたコミュニティの枠を超えたつながりを構築することができている。

これらのコメントからも、人的ネットワークを中心とするつながりの「拡張」は、コミュニティへの関わりを意欲的にさせる理由にもなることも分かりました。

「知識やスキル」をアウトプットできるようになる

コミュニティに参加すると、様々な人に触れ会話するため、まず知識やスキルがインプットされます。積極的な参加者となり、さらには運営に参画するようになると、自分の興味や関心をアウトプット(発表)する場としてコミュニティを活用できるようになります(図4)。

【図4】「知識やスキルの獲得」に関するポジティブ回答率

*ポジティブ回答率:7段階評価中6・7選択者の割合

消極参加者に比べて、積極参加者、運営者が知識やスキルを活かす場としてコミュニティを活用したり、新しいことを習得したり、能力向上につなげていることがわかります。また、「能力の強みや弱みの認識」については、運営者の立場だからこそできると考えられます。

《インタビューの中で着目したコメント》

  • 知識定着のために企画したイベントがアウトプットの場になった。
  • 起業コミュニティに入り、新規事業に関する知識のインプットができた。コミュニティ内で発表することでアウトプットの機会を得て、自分の考えを深めることもできた。その結果、ビジネスモデルを作る経験にもつながった。
  • 運営者として、コミュニティの参加者に役の立つコンテンツを考えて準備することから知識やスキルがよりつきやすいと感じた。

知識やスキルをより定着させるためにもアウトプットする場としてコミュニティへの参加姿勢を積極的にしてみると良いでしょう。

コミュニティへの関わりの度合いで変わる「3つの恩恵」(まとめ)

コミュニティへの関わり度合いを変化させていくことで恩恵の中身が変わることが分かりました。(図5)

【図5】まとめ

この恩恵の変化を考えると、自分自身の人生を豊かにするためにも、コミュニティへの参加姿勢を積極的に転換し、さらに運営に携わることを目指しても良いのではないでしょうか。今、皆さんが、どの段階の関わりにあるかを確かめてもらい、今より一歩でも二歩でも、コミュニティの中心に入っていただくことを希望します。

次回はコミュニティ参加による「恩恵」を最大限に享受するための「心構え」について解説します。

第4回につづく

  • 角田 由希子

    グロービス経営大学院2020期

    グロービス経営大学院卒業生。研究プロジェクト「コミュニティのススメ」執筆。

  • 清末 太一

    グロービス経営大学院2020期

    グロービス経営大学院卒業生。研究プロジェクト「コミュニティのススメ」執筆。

  • 大島 さやか

    グロービス経営大学院2020期

    グロービス経営大学院卒業生。研究プロジェクト「コミュニティのススメ」執筆。

  • 中村 知純

    グロービス経営大学院2020期

    グロービス経営大学院卒業生。研究プロジェクト「コミュニティのススメ」執筆。

監修

  • 田久保 善彦

    グロービス経営大学院 副学長

    慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁(経済産業省、文部科学省他)、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修におけるリーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。経済同友会幹事、経済同友会教育問題委員会副委員長(2012年)、経済同友会教育改革委員会副委員長(2013年度)、ベンチャー企業社外取締役、顧問、NPO法人の理事等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社)、『日本型「無私」の経営力』(光文社)、『21世紀日本のデザイン』(日本経済新聞社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』、『日本の営業2010』『全予測環境&ビジネス』(以上ダイヤモンド社)、『東北発10人の新リーダー 復興にかける志』(河北新報出版センター)、訳書に「信念に生きる~ネルソン・マンデラの行動哲学」(英治出版)等がある。

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