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「工事進行基準」とは?「工事完成基準」との違いや売上計上タイミングを解説

投稿日:2017/10/11更新日:2019/04/09

売上高は、実現基準という考え方によって計上されます(参照:「売上」の計上タイミングは会社ごとに違うって本当?)。売上高は会社の業績を表す重要指標の1つであるため、計上においては客観性、確実性が重視されます。

一方で、企業会計の重要な役割の1つは、タイムリーに会社の事業実態を表すことです。長期間に及ぶ工事契約等によって工事が完成するまで一切の売上が計上されないと、工事の進行による経済的価値の創出という事業実態が決算書に反映されないことになります。したがって、一定の要件を満たす場合は工事の進行状況に応じて売上を計上すべきとなります。これを工事進行基準と言います。現在の会計ルールでは、工事進行基準が原則的な売上計上基準です。

【対象となる工事契約】
仕事の完成に対して代金が支払われる請負契約のうち、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行う工事契約が対象となります。一般的には、土木・建築工事等、建設業における請負契約がこれに当たりますが、受注制作のソフトウェアも対象となります。

【工事進行基準の要件】
工事進行基準で売上を計上するためには、大前提として進捗部分について成果が確実に見込めることが求められます。また、以下が信頼性高く見積もられる必要があります。

 (1) 工事収益総額
 (2) 工事原価総額
 (3) 決算日における工事進捗度

工事収益総額は請負契約金額のことですが、工事の完成見込みが確実である必要があります。これらの要件を満たさない場合は、工事進行基準によらず工事が完成した時点で売上を計上します(工事完成基準)。

工事進捗度は、原価比例法により見積もられるのが一般的です。原価比例法は、決算日までに発生した工事原価が工事原価総額に占める割合で決算日における工事進捗度を測る方法です。

【会計処理】
簡単な例で、工事進行基準と工事完成基準による違いを見てみましょう。
設定:工期3年、工事収益総額6億円、工事原価総額5億円、1期目進捗度30%、2期目進捗度40%、3期目進捗度30%

■工事完成基準
<1期目>
売上:0
費用:0 
利益:0

発生した工事費用1.5億円(工事原価総額5億円×30%)はB/Sに未成工事支出金(仕掛品)として計上。未成工事支出金残高1.5億円。

<2期目>
売上:0
費用:0
利益:0

新たに発生した工事費用2億円(工事原価総額5億円×40%)はB/Sに未成工事支出金(仕掛品)として計上。未成工事支出金残高3.5億円。

<3期目>
売上:6億円
費用:5億円
利益:1億円

3期目に工事が完成した時点で売上(完成工事高)が計上されます。新たに発生した工事費用1.5億円と合わせてトータルの工事費用5億円がB/S(未成工事支出金)からP/L費用(完成工事原価)へ振り替えられます。

■工事進行基準
<1期目>
売上:1.8億円
費用:1.5億円
利益:0.3億円

1期目に発生した工事費用1.5億円をP/Lに費用計上し、それに見合う売上1.8億円(工事収益総額6億円×30%)を計上します。

<2期目>
売上:2.4億円
費用:2億円
利益:0.4億円

2期目に発生した工事費用2億円をP/Lに費用計上し、それに見合う売上2.4億円(工事収益総額6億円×40%)を計上します。

<3期目>
売上:1.8億円
費用:1.5億円
利益:0.3億円

3期目に発生した工事費用1.5億円をP/Lに費用計上し、それに見合う売上1.8億円(工事収益総額6億円×30%)を計上します。

総額は両者で変わりませんが、工事完成基準と工事進行基準の売上計上のタイミングの違い、理解できたでしょうか?

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