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おい自分、チカラ抜けよ――再発見の自転車ツアー

投稿日:2008/09/25更新日:2019/04/09

「自転車はただ速く走れば良いというものではない……」。謎解きをしながら、東京の名所を自転車でめぐる“東京謎解き散走”。残暑の東京を駆け抜けて、自転車との新たな付き合い方を見いだした。(このコラムは、アイティメディア「Business Media 誠」に2008年9月18日に掲載された内容をGLOBIS.JPの読者向けに再掲載したものです)

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自転車パーツ最大手シマノが2006年、南青山にオープンしたアンテナショップ「OVE(オーブ)」。“自転車文化創造拠点”として、自転車やサイクル用品、関連図書が並ぶナチュラルな雰囲気のカフェだ。

OVEでは単なるアンテナショップの枠にとどまらず、毎月4~6回ほどグループで自転車に乗って散策する“OVE散走”を開催している。9月7日、“東京謎解き散走”と題したツアーに私も参加し、朝9時から夕方までどっぷり謎解きにハマった。

参加者ほぼ全員がリピーターの謎

謎解き散走当日、店舗に入るとずらりと並んだヘルメットがお出迎え。奥にはパーツ倉庫や修理用具一式も見える。

「自転車を選んでください」と話すのは散走リーダーの三好さん。レンタルしたオートマチック自転車「SMOVER(スムーバー)」は、自動変速自転車。

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出発前記念撮影。中央ピンクはルイガノの2009最新モデル

謎解き散走ではオリエンテーリングのように地図を見ながらポイントをたどる。A・B・Cの3チームそれぞれに、3~4人の散走ライダー(申込者)と2人のOVEスタッフが振り分けられる。私はAチームで、渋谷の自宅から愛車のSMOVERを駆ってやってきた男性Nさんと、どんな自転車を買おうかと思案中の女性Uさん、スタッフの佐々木さんと田辺さんの計5人。

出発前に各々の自己紹介。驚いたことに私を除くほぼ全員が散走のリピーターだった。なぜだろうか? 謎解き散走が始まる前に、謎をかけられた。

9時30分を過ぎたころには全員が集まり、皇居の北の丸公園を目指して、いざ出発。

しかし、みんなス~イスイと進んでいくものの、私のSMOVER、カチャカチャとペダルがカラ回りしてなかなか前に進まない。やっとの思いで北の丸公園までたどりついたところで理由が分かった。

力を入れて踏み込み過ぎていたのだ。

自動変速車はゆっくりとこぎだすもの。スピードを競わず、散策しつつ走るのが散走だ。いつも余計な力を入れて空回りなのが、私の人生。またやってしまった。おい自分、チカラ抜けよ。

北の丸公園では、最初の目的地の謎解き地図を受け取る。謎は「越後屋(三越)をよく作品に登場させたことから、日本橋三越の屋上に石碑が建てられた小説家は誰?」。去来する名はあれども、ともかくは目的地の三越までどの道を通るか考えよう。

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さて散走スタート(写真:Megumi Sasaki)

先頭は交代制でまずはNさん。「この辺は庭みたいなもんですよ」と自信あふれるお言葉。その通り迷わず一直線に向かえた。

日曜の三越に、自転車用のヘルメットと短パンで入ったのは初めて。受付嬢にチラリと見られただろうか? 屋上に上がると石碑あり! なあんだこの人か(過去問は再使用するらしいので答えは秘密!)。

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左からNさん、私、Uさんの3名。答えバレてますか?(写真:Megumi

さぁて次は、富岡八幡宮にある偉人の銅像探し。先導役は人生に方向舵無しの私。日本橋から人形町、箱崎へ向かう。道路は自動車の一方通行。そこで私から謎を1つ。「自動車の一方通行道路、自転車は車道を“逆走”できるか?」。答えは「標識次第」。標識に「通行可」とあれば逆走可、無ければダメ。自転車も道交法を守りましょう。

隅田川大橋手前までス~イスイ。しかし、何と高速高架下で道が途切れている! 迂回するしかないかなと、汗がたら~り。すると、Uさんが目ざとく「ここに道があります!」と、橋上へ上がる道を発見。橋は案外自転車に優しい構造になっている。

富岡八幡宮に着くと、恒例の骨董市が開催中。アレコレお店を散策しているうちに答え探しを忘れそうになる。隅っこに目的の銅像を発見して、お昼は近くの和食処「富水」で穴子丼をいただく。穴子3匹が器からハミだすほどの大きさで、「うまい」「デカい」「安い」(しめて1000円)。OVE散走では謎のポイントをめぐるだけではなく、うまい店や甘味処、佃煮屋までチェックできるのだ。

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ヘタりつつ迂回しつつも

残暑の厳しさに「ビールが欲しい!」と3度叫んだ後、Uさん先導で3つめの謎の地、築地の浅野内匠頭邸跡を目指す。途中、大きな橋を2つ渡る。東京湾の空気はとっても爽やかだったが、渡りきったら暑さでヘタる。察してくれたスタッフの田辺さん、アイスクリームと飲料補給のために先回りしてくれた。優しいなあ。アイスがアタマにツンツンきた。

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(写真: Megumi Sasaki)

力を取り戻して再出発。あと2つポイントをクリアしなきゃ。築地から新橋の愛宕神社へとヒタ走り! と思いきや汐留で足留(め)。交差点が渡れない。再開発エリアは自転車にやさしくない。迂回して探した高架下の道から、愛宕神社の山にのぼる。

で、問題は何だっけ?(笑)

“明治元年に愛宕山から江戸を見渡した2人の偉人はだれか?”

ほぉ、答えは大河ドラマでおなじみのあの2人でした。最後の謎解きは紀尾井町の清水谷公園。あの辺りなら鼻が利く。赤坂見附の裏道を走り抜け、ニューオータニから公園へ。そこに明治時代暗殺された大立者の石碑あり。謎解き完了!

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田辺さん(上)、佐々木さん(下)

散走のプロ、自転車に乗る姿がキマっている田辺さんは自転車ツーキニスト。何台も自転車を乗り替えた佐々木さんは写真もプロ。とても楽しいOVEな1日をありがとうございました。参加者ほぼ全員がリピーターという最初の謎は簡単に解けた。なぜなら私もリピーターになるからです!

OVEな気づき

散走を終えて、私の自転車観は変わった。

散走体験の次の休日、いつものように愛車ロードレーサーで河川沿いの自転車道路に繰り出した。ママチャリじゃない“本格”自転車はエクササイズっぽく、ストイックにスピードを出して走る、そういうものだと思っていた。その日は「何か違うな」と感じて専用道を降りた。

ゆっくり散走してみよう。

すると、街の光景が変わった。新築の家、古くなったけどまだ頑張っている家、ハイビスカスの大輪、ボートの倉庫。乗る姿勢も変わった。必死でこぐ前屈みでなくて背筋もピンと伸びる。自転車視野が広がった。

これが“OVE”な気付きか。OVEとは“Opportunity”(機会)、“Value”(価値)、“Ease”(気楽さ)の頭文字を組み合わせた言葉で、「生活の中に自転車散走を埋め込む」というメッセージが込められている。「オレの趣味は自転車だ」ではなく「生活が自転車で楽しいんだよ」、OVEはそういう人を増やすための試みなのだ。

▼「Business Media 誠」とは

インターネット専業のメディア企業・アイティメディアが運営する、Webで読む、新しいスタイルのビジネス誌。仕事への高い意欲を持つビジネスパーソンを対象に、「ニュースを考える、ビジネスモデルを知る」をコンセプトとして掲げ、Felica電子マネー、環境問題、自動車、携帯電話ビジネスなどの業界・企業動向や新サービス、フィナンシャルリテラシーの向上に役立つ情報を発信している。

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散走のルート(出典:Google map)

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