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流動比率と当座比率の違いって何?

投稿日:2017/08/23更新日:2019/04/09

財務安全性の代表的な指標に流動比率と当座比率があります。いずれも会社の短期的な支払い能力を表す財務指標であり、流動比率は150%程度(※)、当座比率は100%を上回るのが望ましいとされます。

【流動比率】
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

流動資産はざっくり言うと1年以内に会社に現金として入る資産、流動負債は反対に1年以内に会社から現金で支払う負債です。基本的なコンセプトは、流動資産>流動負債であれば短期間(この場合は1年)の会社の支払能力は問題ないだろう、と言うことです。

【当座比率】
当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100
当座資産=流動資産‐たな卸資産

と表されるのが一般的です。たな卸資産が当座資産から除外されるのは、たな卸資産に投じたおカネが現金化されるまで長期に及び、現金化されない可能性もあることを考慮しているからです。流動資産はざっくり「1年以内に現金化される資産」と言いましたが、厳密には営業活動に投じたおカネが、仕入、在庫、販売を経て現金で回収されるまでのサイクルにある売上債権、たな卸資産、仕入債務は、例えそのサイクルが1年を超えても流動資産、流動負債とされます(これを正常営業循環基準と言います)。また、仕入れた商品が思ったように販売できず滞留在庫となったり、不良在庫として廃棄するリスクもあります。

当座比率は、このような現金化されないリスクを含んだたな卸資産を除外してもなお、当座資産が流動負債を上回っているかをチェックする財務指標という訳です。同様に、売上債権も滞留、不良債権は現金化されないリスクがありますので、当座資産(流動資産にも)には回収不能リスクを反映した貸倒引当金を含める必要があります。

また、前渡金、前払費用などの項目も通常は当座資産から除外されます。前渡金と前払費用の詳細については、「前払費用はなぜ「資産」なのか?」を参照ください。前渡金は商品仕入れ代金の前払分であり、将来的にはたな卸資産の仕入れ代金に充当されます。また、前払費用は将来の費用へ充当されることとなり、いずれも通常は現金で回収されません。当座比率は、短期間の会社の支払能力を表す財務指標であるため、このような現金で回収されない資産は除外すべきです。

流動資産の「その他」はどう取り扱うべきでしょう。部外者にとって、「その他」に含まれる具体的な項目は不明です。現金化できる資産も含まれているかもしれませんが、そうでないものも含まれている可能性があります。このような内容の不明な項目については当座資産から除外して、少なく見積もってもこの程度の当座比率はある、と見るのが一般的と考えます。

当座比率の趣旨は、流動資産の中の現金化が困難な項目を除外してより厳密な短期の支払い能力を表すことですから、当座資産の内容を個別に吟味する必要もありますね。

※ 流動比率は200%あると理想と言われますが、実際には150%程度あれば短期的な支払い能力には問題ないでしょう

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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