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減損損失が年度末にかけて増加するのはなぜ?

投稿日:2017/02/21更新日:2019/04/09

3月決算会社の第3四半期決算が出そろいました。東芝が7000億円超、ソニーが1000億円超と、多額の減損損失を公表する会社も見られました。固定資産の減損損失については「減損損失って何?」で説明しましたが、今回は減損損失の「時期」についてお話ししたいと思います。

会計ルールでは、固定資産に減損すべき「兆し」が見られた際に、都度「減損の要否」を検討して、必要であれば減損損失を認識することになります。しかし、実際には第3四半期から年度末に向けて減損処理を行う会社が多いようです。

固定資産の減損の原因は、例えば製品の売り上げ不振によって製造設備の稼働率が低下し、状況が徐々に悪化、あるいはその状況が継続するようなことが挙げられます。そのような状況下で、経営者はいつ減損損を認識するか判断します(上場会社は会計監査が必要なので、公認会計士または監査法人の了解も求められます)。

繰り返しますが、固定資産の減損は取得当初の計画通りに固定資産が稼働しないことが要因です。経営者は、固定資産の減損のリスクが高まった場合、減損損失が不要となるような改善プランを策定し、それを年度予算に反映します。年度予算に対して第1四半期、第2四半期と実績が積みあがり、第3四半期から年度末にかけて予算達成か否かが見えてきます。年度予算の達成度合いが減損の要否に大きく影響するため、第3四半期から年度末にかけて多くの会社が固定資産の減損の要否を検討することになります。このような事情で、1月下旬から3月下旬にかけて減損損失を公表する会社が多くなると思われます。

東芝やソニーの例を見ても減損損失の金額は多額になることが多く、稼いだ利益が一気に吹っ飛ぶことにもなりかねません。そのため会社としてはできれば減損は回避したいところですが、減損損失を行う場合は株価への影響も含めてタイミングも重要となります。第3四半期に発表する場合、年度末ギリギリのタイミングで減損処理を判断してサプライズを起こすよりも、早めの第3四半期決算に反映させて、同時に来年度の改善計画を示すことで投資家へアピールをする狙いもあるでしょう。

また、海外子会社の決算期を12月とする会社も少なくありません。この場合、親会社の第3四半期決算には海外子会社の年度決算数値(1~12月)が含まれるため、海外子会社での減損損失が親会社の第3四半期決算に反映されるということもあります。

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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