「たな卸資産と在庫って違うの?」でも紹介しましたが、たな卸資産には製品、商品、原材料、半製品、仕掛品、貯蔵品などが含まれています。それぞれの定義や違いについて意外に難しく感じるものもあるのではないかと思います。今回はこの内、半製品と仕掛品の違いについて説明したいと思います。
半製品とは、会社にとって中間的製品であり、既に加工が終わり貯蔵中で販売ができる状態のものです。ある会社が製造販売している製品はA工程、B工程、C工程の3つの工程を経て完成されるとします。例えば、A工程は完了してB工程に投入されるために一時的に保管されている状況のたな卸資産が半製品となります。なぜその状態で販売可能なのかと疑問を持たれるかも知れません。社会には様々な事業者が存在します。A工程完了品を最終製品として製造販売している事業者もいますし、A工程完了品を材料として購入し追加加工を加えた製品を製造販売している事業者もいるでしょう。
最初の例では、A~C工程を完了したものを、会社にとっての最終的な製品としてたな卸資産にしていますが、A工程を経た状態でも販売することは可能ということです。また、製造工程は完了して外観や機能的には製品と同様の状態にあっても、まだ最終の検査工程を完了していない、または梱包されていない状態のたな卸資産を半製品と区分する場合もあります。
仕掛品は、製品、半製品などの製造のために仕掛中の状態のたな卸資産を言います。先ほどの例で示すと、A工程に投入されまだA工程が完了していない状態です。英語で仕掛品はwork in processと言いますが、こちらの方がイメージしやすいのではないでしょうか?仕掛品は、特定の事業によっては別の勘定科目で表されることがあります。例えば、建設業における未成工事支出金が該当します。建設途中で仕入れた工事材料、労務費、建設工事に係る諸経費などを未成工事支出金として集計され貸借対象表に計上されます。
半製品と仕掛品は、会社にとっての最終製品に至る製造過程にあるたな卸資産としては共通しています。しかし、ざっくりしたイメージでは会社にとって最終製品ではないがそのままの状態で外部へ販売可能な状態で保管されているものは半製品、これに対して、依然としてある工程内で仕掛中でありそのままの状態では長期保管も外部販売もできないものは仕掛品となります。