「たな卸資産と在庫って違うの?」よくある質問です。
結論から言うと、「同じ」と考えて問題ありません。通常、会社で販売している商品や製造のために保管している原材料、製造過程にある未完成品の仕掛品や半製品、製造は完了し販売のために保管している製品等、会社が販売を目的として保有する資産を「たな卸資産」と言います。「たな卸資産」という名称は、会計ルールに則って正式な決算書を作成する場合に使用されます。いわばフォーマルな会計用語といってもよいかも知れません。
一方、ビジネスの現場では「在庫している」「在庫がない」といったように「在庫」という呼び方をよく耳にします。商慣習上、ビジネスンの現場で使用されるビジネス用語と言えるでしょう。両者は同じモノを指しますが、シチュエーションに応じて呼称が変わるということです。自転車とちゃりんこの関係に似ていますね。
一方、「たな卸資産と製品、商品とは何が違うのですか?」と聞かれることも少なくないです。
例えて言うならば、「たな卸資産」はグループ名(嵐やAKB48など)であり、原材料、仕掛品、製品、商品などはそのメンバーということです。決算書上は、原材料、仕掛品等の個々の資産名で記載されることもあれば、まとめて「たな卸資産」と表記される場合もあります(「在庫」として記載されることはありません)。
たな卸資産は、会社が販売を目的として保有する資産です。そして、何を販売するかは会社の事業内容によって異なります。ある資産がどの会社にとっても常にたな卸資産に該当するかというとそうではありません。例えば、「土地」は不動産販売業を営む会社が販売用に保有する場合は「たな卸資産(販売用不動産)」として貸借対照表に記載されますが、通常の製造販売業であれば有形固定資産(事業に使用する目的で長期間保有する資産)として取り扱われます。