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ROEはなぜ総合的指標と言われるのか?

投稿日:2016/01/12更新日:2021/10/21

前回はROEの基本的な意味をご紹介しました。ROEは、会社の業績を総合的に表す財務指標という意味から、「総合的指標」と言われます。

ROEの計算sを展開すると以下になります。
ROE=当期純利益÷株主資本
  =(当期純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷株主資本)
  =売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

ROEは、売上高当期純利益率、総資産回転率、財務レバレッジの3つの要素に分解することができます。売上高当期純利益は収益性(儲ける力)、総資産回転率は効率性(おカネの効率的な活用)、財務レバレッジは財務安全性(総資産に占める借金の割合)を表します。ROEは収益性、効率性、財務安全性と言った3つの業績指標の要素を併せ持った財務指標という点から「総合的指標」と言われます。

例えば、2社のROEに差がある場合、両社の何が差の原因となったのか、すなわち儲ける力(収益性)なのか、お金を効率的に使う力(効率性)なのか、それとも総資産に占める借金の割合(財務安全性)なのかによって業績に対する評価も異なると思います。業績の分析を効率的に行うためにも、ROEを要素分解し、両社のROEに最も差を与えた要因を特定して、その点から詳細な分析を行うことが望ましいでしょう。

ROEを高めるには、収益性を高める、効率性を高める、あるいは(借金の割合を高める)、3つの方向性があります。収益性や効率性を高めるというのは直観的にも納得感が得やすいと思いますが、借金比率を高めるというのはどうでしょうか?借金比率のある程度の増加はROEを高めることになりますが、あまりにも高すぎると財務リスク(倒産の危険性)が高まりますので注意が必要です。一方で、日本の会社のROEが欧米の会社のROEと比べて低い主な原因として、当期純利益率(収益性)の低さを指摘されることが少なくありません。ROEを効果的に高めるために、経営者は会社の財務状況を踏まえて3つの方向性のどの側面により重点を置いた施策を実行するのかを判断することになります。

次回は、こちら

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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