企業の財務状況を理解するうえで欠かせない「貸借対照表(B/S)」。この資料から読み取れる情報を理解することで、企業の健全性やビジネスモデルの特徴を見抜く力が養われます。
※本記事は、GLOBIS学び放題の学習コース、「貸借対照表 ~企業の財務活動と投資活動を読み解く~」の内容をもとにしています。実務で活用する方法など、より詳しく財務諸表の読み方について知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。

貸借対照表とは「お金の使い方」と「集め方」の一覧表
貸借対照表は、会社がどこにお金を使い、どこからお金を集めたのかを一目で示す資料です。
「貸借対照表(Balance Sheet:B/S)」は、企業の財政状態をある時点で切り取って示す表です。左側には「資産(お金の使い方)」、右側には「負債」と「純資産(お金の集め方)」が記載されています。
例えば、資産には会社が購入した機械や保有する現金などの「企業の財産」が記されます。一方で、負債は銀行からの借入金など「返済義務のあるお金」、純資産は株主からの出資金や会社が過去に稼いだ利益の蓄積で、返済不要の資金を指します。
左右の合計が必ず一致するという構造から、「バランスシート」とも呼ばれます。
資産と負債の配置ルールとは?「流動性の高さ」が鍵
貸借対照表の並び順には、資金の流動性を反映した明確なルールがあります。
貸借対照表は単なる一覧表ではありません。「流動性」=どれだけ早く現金として出入りするか、という観点で上下に配置されています。
- 資産の上部には「流動資産」(例:現金、売掛金など)が記載され、1年以内に現金化できるもの。
- 資産の下部には「固定資産」(例:建物、設備など)が並び、長期的に保有される資産。
負債も同様に、支払期限の早い順に並んでいます。
このような構成を理解することで、貸借対照表の読みやすさが格段に向上します。
B/SとP/Lのつながり――「利益」がどこに溜まっていくか
損益計算書で示される「利益」は、貸借対照表の純資産に蓄積されていきます。
企業が1年間でどれだけ稼いだかを示す「損益計算書(P/L)」の当期純利益は、B/Sの純資産の中の「利益剰余金」に反映されます。
つまり、企業が利益を出せば出すほど、将来返済の必要がない自己資本が増えることになります。これにより資産も増加するため、貸借対照表は自然とバランスを保ちます。
B/Sから読み取るビジネスモデルの違い
貸借対照表を比較することで、企業ごとのビジネスモデルの特徴を読み解くことができます。
例えば、鉄道事業を展開するJR東日本のB/Sを見ると、固定資産の割合が非常に高く(約88%)、その多くが長期負債で賄われていることが分かります。これは、インフラ設備に多額の初期投資が必要なビジネスモデルゆえです。
一方、DeNAのようなネットサービス主体の企業では、流動資産の比率が高く(約45%)、純資産による資金調達が中心です。これは、物理的な資産に依存せず、柔軟性の高い経営スタイルを象徴しています。
まとめ――貸借対照表の理解が企業分析力を高める
貸借対照表は、企業の「今」を示す静的な財務書類ですが、その中には企業のビジネス戦略、成長性、財務健全性が反映されています。
その構造やルールを理解し、他の企業と比較できるようになると、投資判断や業界分析、M&Aの事前調査など、幅広い場面で応用可能です。とくに経営企画や営業、経理に携わるビジネスパーソンにとっては必須の知識といえるでしょう。
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