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100社のユニコーンを育てる「G-STARTUP」の魅力とは?――ガラパゴス中平氏×事務局長に聞く

投稿日:2020/02/05

グロービスが「日本からユニコーンを100社作る」というミッションのもと開始したアクセラレータープログラム、「G-STARTUP」。本プログラムは、「ユニコーンになるために起業家としての視座を高める」「国内屈指の起業家×VCの対談とMBAメソッドに学ぶ」「現役VCの伴走により次の資金調達を目指す」という3つの特徴を持っている。今回は1st Batch採択した35社の中の1社、株式会社ガラパゴスの中平健太氏と、事務局長を務めるグロービスの高原康次との対談から、本プログラムの魅力を紐解いていく。

メンタリングを通じて“ユニコーンの視点”を学ぶ3ヶ月

——このアクセラレータープログラムの概要を教えてください。

高原:「G-STARTUP」は、「日本からユニコーンを生む環境を作りたい」との強い意思から始まったプログラムです。2019年5月に第一期の募集開始、9月から11月までがメンタリング期間、最終的に11月27日にデモデイを開催し、一連のプログラムが終了します。メンタリングでは1社に2名のメンターが付き、各社の課題や目標のすり合わせを行いながら、事業成長に向けて並走します。

本プログラムは、1992年の誕生から歴史を積み重ねてきたグロービスのノウハウを注ぎ込んで創り上げました。ユニコーン企業の経営者の目線やその姿を目指すためのノウハウを提供すること、ユニコーンならではの空気感を再現すること、それらを通じて資金調達につなげていくことに念頭を置いています。先日も、メルカリの取締役会長である小泉文明氏にご来社いただき、講演をいただきました。

——今回の対談相手にガラパゴスの中平氏を選んだ理由は?

高原:ガラパゴスさんは、AIを使ったデザインサービス「AIR Design」を展開されているベンチャー企業です。すでにプロダクトが完成していること、そして中平さんに「テクノロジーを使って世界を変えていこう」という高い目線があることが大きな魅力でした。最初のセッションで真っ先に手を上げて質問してくれたのも中平さんで、この場の空気を牽引してくれるような頼もしさも感じましたね。

中平:ありがとうございます。グロービス代表の堀さんと面識があったこともあり、最初から図々しく振る舞えたのかもしれませんが(笑)。

——ガラパゴスの事業ビジョンや、2019年7月に発表された主力プロダクト「AIR Design」の詳細を教えてください。

中平:僕らは「チェンジプロセス、チェンジデザイン、チェンジ・ザ・ワールド」をビジョンに掲げており、デザイン制作のプロセスを変えることでデザインそのものを変え、その先に産業革命を起こしたいと思っています。

この背景には、これだけテクノロジーが加速する現代においても100年近く変わっていないデザインの制作工程があります。ソフトは進化しても人間の手作業は一切減っていない。この業界構造にメスを入れようと、1億円ほど投資して創り上げたのが人間の1,200倍の生産性を誇るデザインAI「AIR Design」です。

例えば、「AIR Design」ではAIでロゴを制作することができます。オーダー情報からAIがフォントや色をレコメンドし、プロ並みのロゴの制作時間はわずか15秒。これによって、圧倒的な短納期やA/Bテストを前提としたクリエイティブ制作が叶います。現状は、「ロゴ」と「LP」のAIデザインを提供しています。

——「AIR Design」が完成するまでどれくらいの期間を要しましたか?

中平:トータルで3年ほどです。プロダクトの構想を描き始めた2015年末の段階では、AIエンジニアという存在は世の中に見当たらなかったので、社内のサーバーサイドエンジニアに「君は今日からAIエンジニアだ」と言って学習してもらい、AIエンジニアを育成しました。データの提供は大手広告代理店さんにお願いし、大量の雑誌のデータを使って解析しました。

ガラパゴス中平氏が「G-STARTUP」に惹かれた理由

——今回、中平さんが「G-STARTUP」への参加を決められたのは、ちょうど「AIR Design」が完成したぐらいのタイミングですよね。数あるアクセラレーターログラムの中でなぜ「G-STARTUP」に応募されたのでしょうか?

中平:以前、僕は株式会社ベーシックの「B-SKET」というプログラムに参加して、「AIR Design」のLP版をローンチすることができた経験があります。これは、事業を0から1にする段階では非常に良いプログラムでした。

そしてプロダクトが完成した今、僕らは本気でデザイン業界を根底から変えていかなきゃいけない。でも、それって「自分たちだけでできるんだっけ?」と問い直したときに、めちゃくちゃ高い壁がありました。

そんなときにグロービスさんがユニコーンを輩出するためのアクセラレータープログラムを立ち上げると聞いて、大きなヒントがあるだろうと思いました。実際に、高原さんをはじめ運営の方々がすばらしく、プロが真剣に考えて作っていることを随所で感じます。

また、現役のベンチャーキャピタリストがメンタリングをしている点も大きい。まだ先の話にはなりますが、将来的にグロービスさんに投資してほしいと思っていることもあり、現役のVCの目線が得られるのは魅力でした。

——実際にメンタリングを体験されて、率直にどんな感想を持たれましたか?

中平:僕のメンターは、グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクターの湯浅エムレ秀和さんと、同・シニアアソシエイトの南良平さんで、お二人とも現役バリバリのVCです。非常にハイコンテクストなコミュニケーションが取れる心地よさがあり、もう少し噛み砕くと、30代後半にできたすごい仲いい友達みたいな。わかります?(笑)

高原:普段、VCと話している感覚とは明らかに違いますよね。メンターの関係性がベースにありつつ、現役VCの目線で率直なフィードバックをしてくれる存在。他の参加者の方からは、「これぐらいがシリーズAだよね」みたいな、現役VCだからこそ持っている数値感覚を知れたのが良かったという声が聞かれましたね。

中平:メンタリング開始前に実施された参加者とメンターのマッチングは良かったですね。私とエムレさんは相思相愛だったんですよ(笑)。

——マッチングでは、どんなことをするんですか?

高原:参加者にピッチをしてもらった後、1対1でしゃべる時間を作って、最終的に一緒に組みたい相手をお互いに選んでもらいます。そこで、中平さんとエムレが両思いになったんですよね(笑)。

中平:僕がエムレさんにシビレたのは、僕のピッチを見た後、「産業を根底から変えようとしている方ですよね」という目線でしゃべってくれたこと。すぐに好きになりましたね。最初からフィーリングは一致していましたが、時間を重ねるごとに仲良くなり、今では冗談交じりのやり取りを交わせるほどの関係性になりました。

——3ヶ月に渡ってメンタリングを受ける中で、特に手応えのあったコンテンツがあれば教えてください。

中平:ケースメソッドはすごく良かったです。「アマゾンは最初になぜ書籍販売にフォーカスしたのか?」をテーマに、本を選んだ理由と勝ちきった理由を紐解いていきました。このケースメソッドの内容自体に学びがあったのはもちろん、もう少し俯瞰して見ると、「ケースメソッドってこうやって勉強するものなんだ」という気付きもあったんです。グロービスさん、レベル高いなって。

——このメンタリング期間を経て得られた変化を聞かせてください。

中平:大きく変化があったのは「営業戦略」と「データ戦略」の2つです。営業戦略ではエムレさんと細かい戦術をすり合わせながら新たな施策を立て、すでに実行の成果が出始めています。一方、データ戦略は、南さんと0から考えていく中で参入障壁が明確になり、国内のテッククリエイティブ領域でどう圧勝していくのかというストーリーを描けるようになってきたかなと。

高原:ビジネスモデルを変化させましたよね。

中平:そうですね。メンターとディスカッションする中で、“誰に売るのか”という産業構造の解像度が上がったと思います。また、グロービス・キャピタル・パートナーズが出資している企業や南さんの友人にヒアリングさせていただき、VCの方たちがベンチャー企業に持っているリアルな課題をキャッチできたことも非常に価値がありました。

——今、ガラパゴスさんはどんな未来を見据えていますか?

中平:やはり「G-STARTUP」の大黒柱である僕らが、圧倒的な結果を出してVCからの出資を受け、成長して上場する。その先にユニコーンになったというキレイなストーリーを描けたら最高ですよね。

今、「AIR Design」はロゴ、LPときて、次のアクションはバナーとチラシ、その先にキャンペーンページと動画広告と続きます。販売先は事業会社のマーケターさんや大手・中小の広告代理店さんです。

彼らの課題は、デザイナーのリソースを安定的に供給できるところがないこと。でも「AIR Design」ならAIを使ってプロセスを整理しているので、常に均一のクオリティでコストも抑えられる。「それなら使うしかないよね」という価値観をまずLPとバナーで確立させたいですね。

——現状の日本では、「仕事を奪われる」と考えるデザイナーとのコンフリクトがありそうですが、このあたりはいかがでしょうか?

中平:僕らはデザイナーの仕事を奪うのではなく、みなさんと一緒に産業を変えていきたいんです。そのメッセージをしっかり伝えていきます。アパレル業界が手縫いから自動生産になって産業構造が変わったように、デザイン業界を変える初速を生み出したいんです。

報酬が安い作業の部分はAIに任せて、人間はインプットやAIがアウトプットしたものを選ぶ作業をやればいい。この働き方が実現できればデザイナーの付加価値が圧倒的に高まるだけじゃなく、産業に関わるすべての人が幸せになる。僕らが作りたいのは、そんな世界です。

——最後に、「G-STARTUP」2nd Batchはどのような展開を考えていますか?

高原:2020年2月よりスタートする2nd Batchでは、明確に“資金調達支援”と位置づけて、シリーズAに向けた支援を実施します。これから卒業される1st Batchの方と2nd Batchの方をつなげて、コミュニティを広げていきたいとの思いもあります。

現状の日本で窮屈な雰囲気が漂うことが時にありますが、「G-STARTUP」を通して起業家が活躍することで良き日本を作り、次の世代がよりおもしろく働けるような社会になってほしい。イノベーションを楽しみ、イノベーションで価値を生み出せるような空気を作りたい。私たちもまだまだ問いだらけですが、「日本でユニコーン企業を生み出す支援をするには何が必要なのか?」を探りながら、より良いプログラムを創り上げたいですね。

(撮影:古林洋平)

※本記事は、2019年11月13日にeiiconが取材して掲載した「100社のユニコーンを育てるグロービスのプログラムに迫る。――事務局長・高原氏×ガラパゴス中平氏に聞く「G-STARTUP」の魅力とは?」の内容に一部変更を加え、転載したものです。

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