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過去の決算書に間違いがあったらどうすれば良い?

投稿日:2018/01/10更新日:2019/04/09

今回は、過去の決算書に間違い等が発見された場合に必要な対応について説明します。

結論から言うと、過去の決算書に「重大」な間違いが発見された場合は、過去に遡って決算書を修正する必要があります。これを「過年度遡及修正」と言います。3月決算の会社では、2012年3月期から過年度遡及修正に関する会計ルールが適用されています。どの程度の間違いが重大かについては一律の金額基準等はありませんので、会社ごとに個別に判断することになります。

また、過去の決算書の遡及修正が必要となるのは、間違いが発見された場合だけではありません。たな卸資産の評価方法など、会計方針の変更や表示方法の変更の場合も過年度遡及修正が必要になります。

具体的にどの時点までの遡及修正が必要になるかと言うと、過去の決算書の間違いについては、その間違いが発生した時点まで遡って修正します。つまり、その間違いがなかった(正しい会計処理をした)として、今期までの決算書を作成し直します。

また、会計方針の変更等の場合は、変更後の方法を創業来適用し続けたと仮定して今期の決算書を作成し直します。大変な作業になると想像されますが、有価証券報告書の場合は2期間の決算書が開示されますので、前期のB/S等の期首残高に過年度遡及修正の累積的な影響額が反映されることになります。

一方、引当金、減損損失、減価償却の耐用年数の見直し等の見積もり方法を変更する場合は、過年度遡及修正は不要です。例えば貸倒引当金の見積もり方法を変更した結果、過去の貸倒引当金が過大だったとします。この場合は、変更した期の決算書に過去の過大分を戻し入れますが、その際、営業費用(販管費)か営業外費用の控除として処理します(従前は、貸倒引当金戻入益<特別利益>として処理しました)。

見積もり方法を変更した結果、過年度の貸倒引当金等の金額から大きく乖離する場合、その要因が過去の見積もり金額の間違いと判断されると過去の決算書の間違いと見なされて過年度遡及修正が必要になる場合があるので注意が必要です。

なお、減価償却方法の変更は、会計方針の変更には該当しますが、会計方針の変更と見積もり方法の変更を明確に区分することが困難と考えられるため、見積もり方法の変更と同様に取り扱われ、遡及修正は不要です。

過年度遡及修正は、連結決算、単体決算の両方に適用されます。会社法決算についても基本的に同様ですが、別途金額的重要性を考慮して過年度遡及修正の要否を検討します。また、過去の会社法決算の修正には監査や株主総会の承認等の手続きが必要になります。

 

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