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「株価暴落」「銀行国有化」——金融不安は資本主義の崩壊を意味する

投稿日:2008/10/22更新日:2019/04/09

米国の住宅価格下落に端を発した金融市場の混乱は、欧米政府の積極的な介入によって、何とか封じ込めることができたようにも見える。しかし、米国ではこの積極的な介入に抵抗が強かった。「国民の税金を使って、強欲なあまり経営に失敗した金融機関を救うのか」という反発である(ちなみに日本でも1996年に「住専国会」と呼ばれる国会で、住宅専門金融機関に6850億円の公的資金を投入することが審議された。野党はピケ戦術で妨害したものである)。

とりわけ米国では11月4日に大統領選挙を控えている。この選挙では同時に、下院議員全員と上院議員の3分の1が改選される。だから下院ではブッシュ政権の方針が否決された。選挙を控える議員にとっては、有権者の反発が恐ろしいからだ。ブッシュ大統領は2009年1月に退任することが決まっているから、当然、議員に対する抑えも効かない。結局、上院で先に可決した修正法案を下院で可決することで、金融安定化法を成立させた。ブッシュ政権にとっては薄氷を踏む思いであったに違いない。

だが金融安定化法が成立したものの、世界的な株価の乱高下は止まらない。市場はまだ、政府がどこまでやる気なのかが信じられないのかもしれない。極端な話だが、先進国のすべての危ない銀行を国有化して支払い能力を国家が保証すれば、金融機関破たんの不安は解消される。もっともそのために必要な資金は数百兆円にもなるだろうから、政府の財布がもたないかもしれないが。

資本主義は変わるのか?

しかしこれだけ政府が介入するようになると、もう1つ問題が出てくる。フランスのサルコジ大統領が語ったように、「自由放任の時代は終わった」という認識が世界的に広まれば、それこそ世界の資本主義のあり方が変わる可能性もある。

1929年の株価大暴落、それに続く世界恐慌は世界経済に壊滅的な打撃を与えた。経済規模が先進国で30%から40%も縮小すれば、街には失業者があふれて当然だ。米国の失業率は25%、4人に1人が失業していた。そして経済規模が縮小した各国は保護貿易に走り、関税を引き上げて排他的な貿易圏を形成した。それがドイツや日本などの疎外感につながり、結果的に第二次大戦へとつながっていく。

現在の世界的な不況が世界恐慌に発展する可能性はほとんどないが、市場中心の資本主義が国家規制下の資本主義に変わる可能性は決して小さくない。エコノミスト誌最新号の「追いつめられた資本主義」という記事がこの点に触れている。

同誌によると、資本主義を攻撃する論理には2つあるという。1つはポピュリスト的な論理で、「アングロ・サクソンの資本主義は失敗した」というもの。しかし、実際には、過去四半世紀の間に貿易の障壁が下がってきたことで、世界の富は劇的に増えたという。金融収縮があっても、この10年の個人所得の伸び率は史上最高だ。

もう1つの議論は、市場経済全体を批判するのではなく、「金融における規制緩和が問題の根元にある」とする批判だ。金融は規制されなければならない。なぜなら他の産業分野は、すべからく金融がなければうまく回らないからである。だから政府は金融産業に深くコミットしなければならないという議論だ。

確かにこのところのウォール街の暴走は目に余るものがあった。金融技術の発達が金融派生商品を生み出し、今、世界にはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という一種の「保険商品」が62兆ドル(6200兆円)も残り、この損失が火種になっている。

しかし規制が緩かったことだけが、問題ではない。かつて米国の住宅ローン市場は、最も規制されていた分野だった。もともと政府機関だったファニーメイとフレディマックという住宅金融公社が支配していた市場である。問題は規制ではなく、FRB(連邦準備委員会)が住宅バブルを無視して、低すぎる金利を長期に保ったことにある。

規制が厳しければ危機に陥ることがないともいえない。それは日本と韓国の経験を見れば分かるだろう。両国とも規制は西欧に比べればはるかに厳しい。必要なのは、規制の量ではなく、規制の質である。

そしてエコノミスト誌のこの記事は、こう結んでいる。「いかに欠陥があろうとも、資本主義は人間が発明した最も優れた経済制度なのである」

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