キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

米大統領選(4) 経済危機の影響

投稿日:2008/10/14更新日:2019/04/09

米大統領選は、経済問題が最も重要な争点となるなど、ここ最近で状況が一変している。合併や買収、経営破綻などで金融部門が浮き足立つにつれ、民主党候補、イリノイ州上院議員のバラク・オバマ氏に支持が集まり始めている。相対する共和党候補、アリゾナ州上院議員ジョン・マケイン氏は、この危機的な経済状況への対応において、オバマ氏よりも優れていると有権者を説得できない限り、この選挙戦において主導権を握る事はないだろう。

マケイン氏は、共和党大会後の9月上旬の時点では、3〜4ポイントリードしていた。しかし経済危機が深刻化する中、オバマ氏が一気に巻き返し、逆に4〜5ポイントリードという展開となった。近年の大統領戦で、これほど急劇に支持率が変わったことはない。何が起こったのか。

いくつか理由がありそうだ。

大統領選の争点は、イラク戦争やテロとの戦いではない。連邦準備制度が「この1年で米国は2.4兆ドルを損失した」と推計するなど景気の悪化にはどめがかからず、経済が米国民にとって最重要課題となった。多くの有権者は、「金融関係については伝統的に共和党の分野のはずだ」と、共和党に責任の所在があると認識している。そして、共和党に対して、経済問題を解決できるのか、強い不信感を持っているようである。

またオバマ氏は、先週行われた第1回大統領候補討論会で、非常に良いパフォーマンスを見せた。討論会直後の調査では、有権者がオバマ氏を大統領として具体的にイメージできるようになった、という結果が出ている。米国人は、毎晩テレビに出てきても安心できる人を大統領に選ぶと言われる。金融危機という絶好のタイミングで、オバマ氏はそのような安心を有権者に想起させることができたのだ。

経済危機は決して回避されてはいないし、今後の動向も読めない。しかしながら選挙のキャンペーンは1ケ月強で終了する。つまり、両候補者に残された時間は、少ない。「今後の経済危機に立ち向かうにより値する人物である」ということを有権者に説得できなければ、マケイン氏はリードを奪い返す機会がないだろう。マケイン氏がもう一度有権者の心をつかむために、具体的な経済危機への処方箋を示す必要があるが、議論をどう展開するか、その答えは見つかっていないようだ。

一方でオバマ氏は主要な州で余裕がある。これまで通りの手堅いディベートを続け、経済問題を前面に押し出してキャンペーンの核に据えれば良い。収束する兆しもなく引き続く経済混乱により、オバマ氏は間違いなく優位に立った。(英文対訳:是村由佳)

  • Adam Carstens

    サンダーバード経営大学院修士課程修了(MBA)

    米国の経営コンサルティングファーム、アテンション・カンパニー/ノース・スター・リーダーシップ・グループ、にて多数のグローバル・コンサルティング・プロジェクトに従事。その間、リサーチ/執筆活動に携わり、Japan's Business Renaissance (邦訳: 「サムライ人材論」)、Got Game: How the Gamer Generation Is Reshaping Business Forever、など数冊の経営本の執筆に関わる。 また、南カリフォルニア大学やサンダーバード経営大学院にて、技術経営、戦略論などの科目設計、講師などを経験。その他、米国下院議員、上院議員の元で、政策立案・コミュニケーションや、アクセンチュアにおいてもプロジェクトに携わる。

関連動画

学びを深くする

記事に関連する、一緒に学ぶべき動画学習コースをまとめました。

関連記事

合わせて読みたい

一緒に読みたい、関連するトピックをまとめました。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

17,800本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の97%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分
学びの時間に。

まずは7日間無料
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース