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Web3の成長を後押しする4要素-Web3で変わる世界 vol.4

投稿日:2022/10/20

ブロックチェーン黎明期より、同技術の本質的な価値と可能性に賭け、社会システムの構造展開に挑戦してきた株式会社Ginco代表取締役の森川夢佑斗氏による「Web3とは何か」の連載。これまで「Web3の思想」「技術(ブロックチェーン)」「ビジネスモデル」を見てきた。Vol.4の今回は、ビジネスパーソンなら理解しておきたいWeb3のサービスを成長させる要素について解説する。(全5回、第4回)(第3回はこちら

※本記事は、2022年6月9日にグロービスのテクノベート勉強会で実施した森川氏の講演「Web3で変わる世界」をもとに再編集しています。また、本稿は投資や購買の勧誘を目的とするものではありません。

4つの要素の概要

Vol.3では、Web3のビジネスモデルについて、①ファイナンス、②マーケティング、③マネタイズという3つの観点から説明しましたが、ここでは、そのサービスの成長を後押しした「プロセスエコノミー」「ゲーミフィケーション」「FOMO」「クリプトマーケット」の4つの要素について見ていきたいと思います。

図表4-1 Web3サービスの成長を後押しする4つの要素

①プロセスエコノミー

プロセスエコノミーとは、従来のように「完成品としてのアウトプットを売る」という発想とは対極の「アウトプットが生み出されるプロセスを体験として売る」というもので、多くの人を巻き込み盛り上げていく手法です

たとえば、オーディション番組「Nizi Project」やクラウドファンディングのように、「こんなことをしたいから応援してください」と呼びかけ、プロジェクトのお金が集まってからプロセスも開示し、最後に商品を購入してもらうといった流れです。

Web3でプロセスエコノミーが成立しやすい理由は、トークンを持つことでユーザーはみな株主のような立場になり、企業とユーザーがサービス成長という共通利益を目指す運命共同体となること。そして、投資活動やコミュニティ活動など、サービス外で「サービスに関わる時間」が用意されていることです。

図表4-2 プロセスエコノミー

ゲーミフィケーション

様々なアプリケーションサービスにおいて、ユーザーをグロースさせる要素としてゲーミフィケーションが取り入れられています。たとえば、ゲーム内で利用者同士が評価したり、トロフィーが貰えたりといった特典や報酬が得られる。また、記念品をトークンやNFTにすることにより金銭的な価値も得られるようにすると、ユーザーのモチベーションはアップします。

ただし、ゲーミフィケーションにあまりにトークンを絡めすぎると、コミュニティが白けてしまう場合もあります。そもそも自己承認欲求や、自発的にやりたいと思っていることに対して金銭的なインセンティブをつけすぎてしまうと、「あの人はお金のためにやっている」と評価されかねないので、その行動自体がネガティブなものに変わってしまうのです。トークンの活用は、コミュニティのあり方やサービスの形態など、個別に考える必要があるでしょう。

図表4-3 ゲーミフィケーション

③FOMO(Fear Of Missing Out)

FOMOとは、Fear Of Missing Outの略語で、見逃したり取り残されたりすることへの不安という意味です。SNSは閉鎖的な空間になりがちなので、自分も皆に合わせないと取り残されてしまうという不安が生まれがちですが、一時期急速に広がったClubhouseのように、その不安を上手く取り入れると、サービスは指数関数的な成長を引き起こすことも可能になります

トークンは先行した方が利益を得やすいため、構造的に「取り残されたら損」だと思わせやすい特徴があります。つまり、トークンもしくはNFTが発行されるタイミングにいち早く乗らなければ、というFOMOが発生しやすくなるのです。

とくにNFTは数を制限するので、限定ものを得ると価格が上昇する可能性があります。したがって、「先行者で入れば絶対に損をしない」といった誇大広告などを意図的に起こすことによって、実際の利用者もしくは運営がキャピタルゲインを拡大できてしまうのです。これらのことから、ある意味で、Web3サービスとの相性は良いとされます。

図表4-4 FOMO

クリプトマーケット

クリプトマーケットは新しい領域です。暗号資産投資という今までにはなかった世界にお金が流れ込んでおり、2022年6月時点で167兆円もの価値に膨らんでいます。ユーザーは世界人口の約15%にあたる約11億人いるとされています。

なぜWeb3とクリプトマーケットの相性がいいのかというと、暗号資産を法定通貨に換金するときには課税やKYC*などの規制を受けるため、一度暗号資産に変えた後は法定通貨に戻すインセンティブが弱くなるからです。暗号資産のままにしておきたいという動機が強くなり、使いどころがないことから167兆円も滞留している状況とも捉えることができます。    

KYC*…Know Your Customerの略。本人確認を行う手続きのこと。

また当然、暗号資産のまま増やしたいというニーズが出てきています。最近、非中央集権型なファイナンシャルサービスであるDeFiで運用して価値を増やす試みが行われました。ただし、DeFiは金融サービスの中でも少々込み入ったものなので、多くの人が使えるサービスではありませんでした。そんななか、暗号資産の使い先としてNFTが登場します。こうした理由もあってNFTは大きなマーケットに急成長したのだと思います。

すでに飽和している法定通貨の世界で新しいサービスを出すよりも、まだ供給が足りていないクリプトマーケット の世界においてサービスを出すほうが、より多くのユーザーを獲得できお金を使ってくれるのではないかという見立てがあるため、クリプトマーケットに対してサービスを出していくという発想が生まれたのです。それがWeb3であるという整理ができます

図表4-5 クリプトマーケット

Vol.5に続く

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